浜岡原発

エネルギー

浜岡原発停止でも増益の中電:火力発電依存は課題を残す 

今月のエネルギー問題シリーズ。
1.太陽光発電、未稼働560万世帯分失効。再生エネ政策失敗の建て直し策は?
2.再生エネルギー地産地消目的の消費電力調整実証実験へ:中部電力、トヨタ自動車、豊田市

今回は、2017/5/14付中日新聞の
「中電、原発抜きで利益増 浜岡停止6年」と題した小柳悠志記者のレポートから。
興味深く読みました。
以下、一部省略して、紹介します。

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 中部電力が「原発抜き」で利益を拡大させている。
 東日本大震災後、浜岡原発を全面停止させてから既に6年。
 電源構成の8割強を火力発電に頼り、一時は赤字に落ち込んだが、原油安と電気料金
値上げで息を吹き返した
 一方、浜岡は規制基準の強化で再稼働が見通せず、原発に頼ってきた他の大手電力の
苦境と相まって原子力事業が再編に向かうとの見方もある。

永遠のコスト問題

 原発由来の電気は「最安」とされる。
 浜岡を止め、火力を代替で稼働させるコストを「原発1基当たり年間1000億円」。
 ところが4月末の2016年度決算発表で「年間500億円」と修正。
 中国の景気減速や米国のシェールガス産出などで原油価格が下がり、火力と原発の利益
の差が縮んだため。

 液化天然ガス(LNG)など火力の燃料は、世界経済や地政学的な変化で乱高下。
 中電はより安定的かつ安値で調達できるよう、15年に東京電力と世界最大規模の燃料
調達会社JERA(ジェラ)を設立した。
 LNGや火力発電資材購入では、扱う数量が大きいほど契約交渉も有利に働きコスト減
に効く。

ジレンマ

 震災前の中電は、電源構成に占める原発比率が10%程度と他の大手電力と比べて低い
のが泣きどころだった。
ところが震災後に国内の大部分の原発が止まると、火力の技術力を生かして業績好転へ。

 経常利益に燃料コストが電気料金に反映されるまでの差損を加味した「実力利益」では
14年度が400億円、15年度が600億円、16年度が900億円と右肩上がり。
14年4月に企業向け、5月に家庭向けの電気料金を値上げしたのも業績回復の要因。

 浜岡を再稼働させれば利益は理論上さらに上がる。
が、東海地震の震源域に位置する原発ゆえに安全確保の道は見通せない。
「再稼働への高いハードルはわれわれも痛感している。原発なしでも浜岡停止前の利益水準
(実力利益で1200億円程度)に戻せるようにするのが目標」と浜岡抜きのビジョンを描く。

原発再編の可能性

 中電に限らず、電力各社は震災後、厳格化された安全基準を前に、既存の原発の扱いを
どうするか頭を抱える。再稼働でも廃炉でも、資金面や技術者確保で重い負担が。
そこで予想されるのが原発再編。
福島第一原発事故の賠償と廃炉を抱える東電の再建に向け、経産省は東電と他社との原発
事業統合を模索する。
「販売電力量が少子化と省エネで落ち込む中、各社がリスクを抱えてまで原発を持ち続け
るメリットは少ない」「原発運営の技術維持と福島などの廃炉を貫徹するためには、大手電
力や原発メーカーが一体となった組織をつくる必要がある」と、ある大手電力首脳は語る。

尾鷲火力発電

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中電の事例ですが、ここからすべての電力大手に同様に言えるかどうか・・・。
どうなんでしょう、東電以外で、原発再稼働が思うようにいかず、経営難に陥っている、
そのために電力再編が大きな課題になっている、という話は聞きません。
すべて、東電がらみでのことです。

本来、そこで、再生可能エネルギーを主とする電源構成の一段の見直しが必要なのですが、
どうも政府・経産省はまったくといっていいほどそんな気がない。
その実態は、ちょうど今日2017/6/9付日経の一面の
原発新増設を明記。エネ基本計画、経産省が提案 30年度電源構成は維持
と題した記事で読み取ることができます。
(その記事内容は、日を改めて紹介することにします。)

再生可能エネルギーへの依存度を高めることが、消費者の電力料金負担を重くする。
それに加えて、原発のコスト優位性を盾に、原発再稼働を執念深く進めようとしているわけ
です。
しかし、あたかも国民・消費者主眼を装いはしますが、未だにそのコストが見通せない福島
原発処理コストへの無責任は言わずもがな、安全性と将来の核燃料廃棄処分コストという将
来の世代へのツケに対する罪の意識など、微塵もないのです。

そういう観点からは、中電の増益が火力発電に大きく依存していることは、やはり大きな問
題を残していると見るべきです。

加えて、安全性問題。
ちょうど、日本原子力研究開発機構「大洗研究開発センター」で起きた被ばく事故。
想定外の事故が、日常的に十分起こり得ることをまたまた認識させました。
(2017/6/9中日新聞夕刊:汚染室に3時間待機 被ばく事故で作業員5人

それらの多様な問題意識を軸にして、種々の話題を引き続き取り上げていきます。

ソーラー

 



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