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地方・観光

高知県大川村、村議会廃止検討は、政治・行政改革モデル研究の機会

先月から話題となっている、過疎化が進む地方の政治と行政の在り方をめぐる
高知県・大川村の議会廃止検討問題。
日経掲載の関連記事を、時系列的にいくつかピックアップし、その動向・状況を
確認してみます。

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まず、2017/5/1配信の記事で事情・状況が分かります。
1.<高知・大川村、議会の廃止検討 議員の担い手不足

人口約400人の高知県大川村で、地方自治法に基づいて村議会を廃止し、有権者の村民が
予算などの議案を直接審議する「村総会」の設置の検討を始めることが5月1日、分かった。
 和田知士村長は「(2年後にある)次回の村議選で立候補者が定数に達しない可能性があ
る」と理由を説明。
 離島を除き全国の自治体で最少人口の大川村は高知県北部の山間地に位置し、人口は1960
年代の約10分の1に減少。
高齢化率は44%に達する。
 村議会は2003年に10人だった定数を順次6人にまで減らしたが、村議のなり手不足が深刻。
 公職選挙法では市町村議会の当選者の不足数が定数の6分の1を超えた場合、再選挙になる。
 19年4月予定の村議選で立候補者が5人以上いなければ再選挙が必要で、混乱が予想される。

 地方自治法は、町や村は議会の代わりに有権者による「総会」を設置できると規定。
 過去には戦後の一時期に東京都の離島・旧宇津木村で設置された例が唯一ある。
和田村長は6月村議会の所信表明で、村総会設置に関する研究を開始し住民への周知に取り
組む考えを示す。


※記事中の資料を転載しました。

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2017/5/29配信による高田哲生高知支局長のレポートは以下です。
2.<議会廃止、住民が予算審議 高知・大川村が検討 人口減、議員のなり手なく

高知県大川村が村議会を廃止し、有権者全員で予算などの議案を審議する「村総会」の設置
検討を始めた。実現に向けては多くの課題があり、問題提起という側面もある。
 議会の苦悶は、人口減や高齢化が進む多くの過疎自治体の課題を映している。
 今月15日、村議会の朝倉慧議長(77)は総会設置に向けた条例の必要性や村民の理解を得る
手段など、5項目について答申するよう議会運営委員会に諮問した。

 高知県北部の山間地にある大川村は白滝鉱山の銅採掘で栄え、1960年代の人口は4000人超。
 しかし、72年に鉱山は閉山、早明浦ダム建設で主な集落も水没して人口は激減。
 合併計画は隣町の反対で頓挫した。

 前回無投票当選の現在の定員6人の議員の平均年齢は約71歳で、3人は75歳以上の後期高齢者。
 有権者は約350人。高齢者や選挙に立候補できない公務員、25歳未満をのぞけば、候補は100
人ほどに絞られる。
 議員報酬は月額15万5000円と県内自治体で最低。若い世代が家族を養うには厳しい金額だ。
 次回の村議選で引退を考える議員もおり、立候補者が5人以上いなければ再選挙となり混乱も
予想される。

 村総会の検討が報じられると、インターネット上では直接民主主義への期待感や、通信技術の
発達で村総会は可能といった意見も出る。
 ただ点在する集落から住民が集まる方法や、通信環境の整備費などを考えるとハードルは高い。

 村総会については高知県も「実際に運用していくのは難しい」(尾崎正直知事)との見方。
 若者らを呼び込むことで将来の議員のなり手を増やすことが根本的な解決になるとし、村に
派遣中の職員などを通じて産業振興を支援する構えだ。

 人口減が今回の背景だが、最近は移住者が10人を超える年もある。
 人口も従来、想定していたほどは落ち込まず、最新の国勢調査では15歳未満の人口比率が
上昇している。
村総会の設置検討を表明と共に、地鶏の生産拡大による産業振興や人口ビジョンについても

村民になげかけ、「議会のあり方にとどまらず、村の将来全般を村民に考えてもらう」とする。


※記事中の資料を転載しました。

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2017/6/13配信の以下のタイトルでの記事。
上の記事内容と重なる部分は削除し、残りを引用しました。

高知・大川村、議会廃止し「村総会」 村長が検討表明

地方議員のなり手不足は全国共通の課題だ。
 2015年の統一地方選では無投票当選が21.8%に上った。
 ただ村総会は高齢者が多い地方で有権者全員が集まれるのか、議案を読み込めるのかなど
実務面の課題が多い。
 地方自治に詳しい山梨学院大学の江藤俊昭教授は「議会をなくすより、夜間議会や議員の
兼業を促す仕組みなどの工夫が先決だ」と指摘する。
 総務省によると、ドイツの基礎自治体「ゲマインデ」は議会を夕方から開き、報酬は小額。
 スウェーデンやフランスの基礎自治体「コミューン」の議員は原則無報酬という。

 菅義偉官房長官は12日の記者会見で「若者や女性を含め議員の多様性が確保されるよう、
地方議会で取り組みが肝要だ」と語った。

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加えて、同日2017/6/13付配信の2つの関連記事に、以下があります。

人口1000人以下の村、4分の1が「村総会」検討

日本経済新聞が人口1千人以下の村の村議会議長に聞いたところ、約4分の1が「村総会」
検討の必要性を感じていることがわかった。
 人口1千人以下の村は全国に28あり、高知県大川村を除く27村にアンケートし、19村から
回答を得た。

 村総会の検討を「将来的に感じる」としたのは北海道音威子府村、東京都青ケ島村、山梨県
丹波山村、島根県知夫村の4村。音威子府村と青ケ島村は「議員のなり手不足」を理由に。
 長野県平谷村は「一つの方策として検討すべきと考えるが、今早急には回答できない」。
「必要性を感じない」は14村。村総会の課題(複数回答)として15村が「住民全員が集まるの
が難しい」と回答。12村は「住民全員が議案を精査するのが難しい」。

 地域の課題(複数回答)を尋ねた設問には12村が「人口減少で自治体の維持が難しい」。
「財政難で自治体の維持が難しい」は5村、「職員数が少なく、行政機能の維持が難しい」が5村。

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「村総会」で有識者研究会 総務相

高市早苗総務相は6月13日の記者会見で、高知県大川村が村議会を廃止し「村総会」の設置を
検討し始めたことを受け、7月に有識者研究会を設ける意向を示した。
 議会に代わる「総会」は前例が乏しいため、設置や運営の課題を洗い出す。
 背景には高齢化による議員の成り手不足があることから、地方議員を育成する方策なども議論。
「各町村の判断を尊重し、相談があれば適切な助言を行う」と述べ、地方自治体への助言に必要
な議論を進める考えを示した。

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最後に、先週2017/6/17配信分が、以下です。

3.議会維持へ検討会議 高知県と大川村、議員兼職など課題

高知県の尾崎正直知事は6月16日の定例記者会見で、議会にかわって有権者全員で議案を審議
する村総会の検討を始めた大川村と共同で「大川村議会維持対策検討会議」を立ち上げると発表。
 議員の兼職兼業規制のあり方や議会運営の取り組み事例の研究などを通じて、議会を維持する
ための課題を研究する。

 会議は大川村から5人、高知県から5人の計10人で構成。県が村側に設置を提案した。
 村総会は議論の対象にしない。
 6月22日に大川村役場で初会合を開き、7月中旬に2回目の会合を県庁で開く予定。
 必要に応じて総務省に政策提言していく。

 大川村の和田知士村長は6月定例議会で「もしもに備え想定外を想定するために村民総会を勉
強する」と表明。
 尾崎知事は会見で「想定外を想定する前にやれることはある。村の取り組みを我がこととして
全力で応援し、議会を維持できるようにしたい」と話した。

 会議では2014年度から県と村で取り組む「大川村プロジェクト」の強化もテーマとする。
 これまで畜産振興や集落活動センター開設などを通じて雇用創出や移住者増につなげており、
尾崎知事は「大川村の再生は中山間地再生のモデルになる」と強調する。

 一方、大川村の和田村長は16日、村議会(定数6)閉会に際し「私は400人の人口を維持し
守っていくために努力を続ける」と訴えた。

 和田村長は議場で「総会設置を勉強するにしても、議会の維持が大前提」と強調。
「今、何かをしなければ確実に村の人口は減っていく。村民も議会を傍観するのではなく、僕
も私もと参加をしてほしい」と述べた。

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どうやら、村総会制への移行ではなく、村の在り方全体を変えていくこととセットで、村議会
を変革・継続させていくことになるそうに感じますね。

ただ、私は、今回の問題は、単に地方の人口減少化・過疎化という側面だけで捉えるべきでは
ないと考えています。

議会制を守ることは、議員である身分を守ることと同一であり、ほとんどすべての首長と議会
議員の当然の行動となるでしょう。
しかし、議員定数、議員の要件、議員の仕事内容・責任、議員報酬などを考えるとき、果たし
て議会制民主主義が適切に機能しているのかという問いに対してと同様に、納得できる根拠や
基準を確認することができないのです。
つまり、無駄が多いのではないか、コストパフォーマンスが公正に評価できないのではないか。

もう一つの視点は、立法と行政の機能・役割の重複についてです。
適性をもった首長が選ばれ、そのもとで行政が的確に行われれば、議会は要らない。
行政の働きを、公正に監査・評価できる機構・機能があれば、です。

この課題に取り組めば、政治改革と行政改革を同時に行うことができるわけです。
政治行政にかかる財政コストも大幅に削減できます。

大川村の村総会制。
仮にそのあり方を考えるとき、私たちが住む地域社会における町内会と総代制を思い起こすこと
ができます。
総代が集まって総会が形成される。
総代が、その自治体の行政の監査・牽制・評価機能を持つ。
もちろんそういうシステムになると、総代の選び方選ばれ方、その役割などが当然問題にはなり
ます。
しかし、人口の少ない地域・地方自治体では実験的に行ってみる価値は十分あると考えます。

いわゆる直接民主主義の在り方を考える機会になりますが、現状の議会制民主主義、とりわけ、
議員定数の違憲問題のみを課題とされる、微視的な構造改革ではなく、真の意味での政治改革
と行政改革を統合して考える構造改革。
その課題をも示唆してくれる、大川村の村総会制の問題提起。
そう読み、行動を変えるべではないか・・・。
そう思うのですが・・

その時、地方創生・地方再生、地方経済の在り方と統合して検討すべきことは言うまでもあり
ません。

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次回、国政レベルでの議会制民主主義の構造改革をどうするか、について、今回と繋がる
という認識で考えてみたいと思います。

 

 

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