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プロテニス

錦織圭ランキング下降、試練の2017年。心技体すべてに不安。来季に繋がる克服策を!

AO3-3

前回、
錦織圭ランキング下降、試練の2017年。ツアーファイナル4年連続出場赤信号
というテーマで、前編を述べました。
今回は、その後編です。

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昨年12月30日に27歳となり、もうプロテニス界では、若手ではなく、中堅どころに入っ
てきた錦織圭。

昨シーズン、2016年度には一つのタイトルしか取れなかったことで、一つのターニング
ポイントに入りつつあったと言えます。

ただそこで彼は、心技体、すべての面で課題を抱えていたと言えます。
その3つ課題を見ていくことにします。

彼のここ数年での一番の課題は、フィジカル、身体・肉体面にありました。
試合途中でのケガや故障。
プロテニス選手の中で最も小柄な部類の彼。
身長2m近い選手、2回りも3回りも大きな選手の強烈なサーブをレシーブ、リターンし、
重く強いストロークを打ち返し、左右前後、縦横無尽に走り回る。そのくり返し。
体を傷めないはずがありません。

AO1-5

ここ数年は、11月開催のツアーファイナルに出場したため、体をじっくり休める暇もない
状態。
1月第1週から即、新シーズンに入るのですから、1シーズン乗り切るための体作りは、短
期間しかないため、簡単なことではありません。
12月は、日本の契約スポンサーのために来日しての仕事も多数。
実際には、シーズンに入り、故障しては途中欠場。
それが原因でツアー大会の出場取りやめ。
その間に、ケガの回復と体づくり、両方に取り組むしかない状況が続いていたわけです。
今シーズンは、昨シーズン以上にケガでの途中リタイアや欠場が目立ちます。
日本人の体格・体質では、いかんともしがたいハンデがあるのも事実。
常に、いつケガをするか、ぶり返すか、の不安をもったまま大会・試合に臨んでいるのです。

従い、その不安を少しでも軽減するためには、短いですが、オフシーズンをじっくり体力を
今以上につけるトレーニングをやるしかない。
そのためには、10月でシーズンを終えて、11月のツアーファイナルに出場できない方がいい
とさえ言えるのです。

最近の例では、昨シーズン、ケガに悩まされ良い結果が出せなくなっていたロジャー・フェ
デラーが、シーズン後半のすべての大会の出場を取りやめて、ケガの回復とトレーニングに
充てました。
その結果、今シーズンに十分な休養とトレーニングを積んで臨み、復活を印象付ける良い成績
を納めています。
その結果は、前回も掲載した、以下の今季の獲得ポイントランキングに示されています。

ATP170626-2

ここまでは、錦織の「体」の不安と課題についてでした。
次は、「技」すなわち「技術」の不安と課題についてです。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

今季が始まるに当たって、私は、錦織が昨年よりも技術的にどんな向上をして臨むか
関心を持っていました。
昨季は、彼の重点課題の一つ、サービス、特にセカンドサーブに工夫がみられました。
それが、何とかランキング8位を維持できた理由の一つと評価しています。

しかし、今シーズンが始まってからの彼のテニスには、あまり変化が見られませんでした。
ハードコートでは、ラオニッチやイズナーなどビッグサーバーを苦手としていますが、
速い展開になるストローク戦では、彼の持ち味が強みとなり、北米での大会では、比較的
コンスタントに好成績を残してきました。
一方、クレーコートでは、ビッグサーバーのサービスの威力が弱くなるため彼にとって
はプラスですが、反対に、彼の弱いサービスは、そのまま弱点になります。
ストロークは彼の持ち味なので、私はクレーコートはプラスになると思っています。
3年前くらいまでは苦手としていたようでしたが、少しずつ克服できてきたようです。
しかし、ボールが弾み、イレギュラーバウンドも多く、スピーディな攻撃は難しくなり
ます。これは彼にとってはマイナス。
そして、体にも負担がかかります。

技術的な変化、進歩が昨シーズンで止まったように見える錦織。
対戦するほとんどすべての選手は、188㎝以上と言えるでしょう。
そして、多くの選手は、錦織に勝つチャンスはある、と臨んできています。
個人的には、言うのは簡単ですが、彼のファーストサービスの入る確率が7割をキープでき
るまでの精度を技術的に持つことができるようになれば、そこそこの地位は維持できると
思っています。
しかし、60%そこそこでは、いつサービスゲームをブレークされてもおかしくないゲーム
展開になっています。
1試合、すべてのサービスゲームが平均的に安定しているということはないですから、一層
ブレークされるリスクがあるわけです。

AO3-2

次に、彼が好きなラリー、ストロークですが、これも素人が勝手なことを言うと、一本一本
のストロークが、それぞれ意味のあるストロークであって欲しい。
そういう精度の高いストロークに磨きをかけていって欲しいな、と思うのです。
どちらかというと、テニス大好きプレーヤーが、ラリーを楽しんでいる、と思えるシーンが
多いと思えるのです。
次のストロークに備えた一打。
次に決めにいくための布石となるストローク。
そう感じさせるようなストロークが意外に少なく、簡単に打ち合っているうちに、先手を相
手に打たれて、体勢を崩される、受けに回らされる、決められる・・・。
そんなシーンを、今シーズンは頻繁に見るのです。

強かった時のジョコビッチのストロークは、本当に、一本一本すべてに意味があり、ムダな
ただラリーをしていると思えるようなストロークはありませんでした。
とにかくその技術が高かった。
また、フェデラーの柔軟な、多種多彩なストロークも錦織の見本とすべきものです。
サービスのバリエーションと正確性という技術的課題。
それに、ストロークの精度の向上と、多彩な攻撃の技術レベルの向上。
まだまだ、取り組むべき、取り組める技術課題が、彼にはあると思います。

そういう点で、そろそろ、マンネリになっていると感じるコーチ陣を変える時期ではないか。
そんな気がしています。

AO1-2

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
「技」の不安と課題が解消されるどころか、一層大きくなっていく。
そして、「体」は、相変わらず、というよりも、以前よりもケガ、故障をする機会が増えて
きている。
それがプレーに投影される。
思うプレーができなくなってきている。
通じなくなってきている。

そなれば、それらは当然「心」の不安、メンタルの不安を増幅させることになります。
イライラが募ります。
今季、ラケットを叩きつけて壊す場面が目立ちます。
キレイなプレー、マナーの良いことで人気があった錦織が、一転して、批判を浴び、悪いイメ
ージを観客・ファン、テニス界が持つようになってきている。
悲しいことです。
多くの日本企業がスポンサー契約を結んでいることもあります。
そういう姿は、高額を得ているプロアスリートとして見せてはいけない。
そう思います。
大人にならなければいけない・・・。

「心」、気持ち、精神・・・。
プロの世界では、メンタル面でのコーチと契約することが多いですが、果たして彼にとって
適任のパートナー、トレーナーはいるでしょうか・・・。

心・技・体。
すべての面での課題に取り組み、バランスのとれた、プレーヤーになって欲しい。
そのためには、少し時間のゆとりが必要ではと考えます。
今季これまでの3つの要素の不安は、これから残りの大会の試合を重ねることで改善・解決
できれば理想ではありますが、それは非常に難しいことではないかと思います。
これまでの挽回を図ることが可能なのは、ウィンブルドン大会後、米国に戻り、北米中心の
大会に集中する時期に、体の不安がなくなっている時に限って、ではないでしょうか。
難しいことのような気がしますが・・・。

ゆえに、今季のツアーファイナルに出られなくてもいい・・・。
しかし、実は今季のツアーファイナルのスポンサーとして、日東電工が付き、
Nitto ATP  Finals と冠が付いているのです。
同社にしてみれば、当然錦織の連続出場があると想定していたはず。
それを裏切る結果になってしまっては、日東電工として泣くに泣けない・・・、
さてどうなるでしょう・・・。

AO4-2

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

今シーズン、序盤。
初戦のATP250のブリスベン国際で決勝で、過去対戦成績で優位だったディミトロフに敗退。
第2戦となった全豪オープンでの4回戦でのフェデラー戦敗退の後臨んだ、ATP250のアルゼンチン
オープンの決勝で、一度も負けたことがなく、手の内もよく知っているドルゴポロフにも敗れて、
みすみす、レベルの低い2つの大会で優勝を逃してしまったところから、目算が崩れ始めた。

そして、3連覇していた相性がいい米国でのメンフィスオープンの出場をやめて、ランキング上位
をめざす戦略として、その後のヨーロッパでのクレーコートシーズンに備えるために選んだ南米の
クレーコートでのリオオープンでは、ぶざまな初戦敗退。
その結果でかなり焦りも出てきたのではと想像されます。

その後、3月の2つのATPマスター1000クラスの大会とも、格下の選手に準々決勝で敗退。
ケガにより、戦いきれなかったためもあり、その後ケガの回復で、試合の出場を見合わせ。
復帰後の5月の2つのATPマスター1000の大会も、一つは準々決勝でジョコビッチに、一つは、
3回戦でデルポトロに敗戦。
その後の、錦織ならば絶対に優勝が可能なレベルのATP25の大会でも、準決勝で下位の選手に敗退。

そして全仏では、準々決勝で、今季不調のマレーに勝てず。
ウィンブルドン備えるべく出場した、先週のドイツでATP500のドローで比較的恵まれていた、ゲリー
ウェーバーオープンでは、3回戦で故障リタイア。

と、ここまでの今季の苦闘の概況です。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
さて、またケガの状況に不安を抱えながら臨むことになるウィンブルドン。
現状の今季ポイントランキングは、上の通り。
昨年を含む1年間分での世界ランキングは、これも再掲になりますが、以下。(2017/6/26現在)

ATP170626-1

そのため、来週7月3日から開催される、グランドスラム、ウインブルドン大会では、このランキング通り、
9位の錦織は、上位選手が全員出場するため、第9シードになることが昨日発表されています。

ウィンブルドンを含め、残り4ヶ月。
錦織は、どんな、心技体の状況で各大会に臨むでしょうか。
願わくば、29歳、30歳、31歳とランキング上位を維持できる心技体を形成していくためのシーズンに
なるように、と祈って、注目していきたいと思います。

AO2-3

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 世界トップレベルのテニスコーチ、ゲイブ・ハラミロが
現代テニスのフォアハンドの習得の全プロセスを公開!
ゲイブ・ハラミロの『Making Champions 10 -How to Hit a Forehand 1&2-』

◆こちらは、両手バックハンド・ストロークも学べます。
ゲイブ・ハラミロの『Making Champions』 Vol.1 -フォアハンド- & Vol.2 -両手打ちバックハンド- [GJ0001]

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