宇治川

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日本遺産(9)宇治・城陽・八幡・京田辺・木津川市、宇治田原町(京都府):日本茶800 年の歴史散歩

 

文化庁が、地域の有形、無形の文化財をストーリー化してパッケージで認定。
観光振興などで地域の活性化に活かす新しい事業として設定した「日本遺産」

4月24日に初認定された24府県の18件を、1件ずつ紹介しています。

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「日本茶800 年の歴史散歩」のストーリー

その第9回は、
京都府(宇治市,城陽市,八幡市,京田辺市,木津川市,宇治田原町,
和束町,南山城村)の
《 日本茶800 年の歴史散歩 》

そのストーリーの概要は・・・

お茶が中国から日本に伝えられて以降、
京都・南山城は,お茶の生産技術を向上させ、
茶の湯に使用される「抹茶」、今日
広く飲まれている「煎茶」、
高級茶として
世界的に広く知られる「玉露」を生み出した。

この地域は、約800年間にわたり最高級の多種多様なお茶を作り続け、
日本
の特徴的文化である茶道など、
我が国の喫
茶文化の展開を生産、製茶面からリードし発展をとげてきた歴史と、
その発展段階毎の景観を残しつつ今に伝える独特で美し
い茶畑、
茶問屋、茶まつりなどの代表例が優良な状態で揃って残っている
唯一の場
所である・・・。

京都MAP
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詳細なストーリーは・・・

京都府南部の山城地域は、日本文化、
特にその精神性を語る上で欠くことのできない「茶道」「茶の湯」の発展を、
その萌芽期から茶葉の品質向上や生産拡大の面で支え、
茶人や時々の権力者、町衆の支持を得て栽培や製茶技術の工夫・革新を繰り返し、
日本茶を代表する「抹茶」「煎茶」「玉露」を生みだした。

この地は、日本の生活に根付き、世界にも影響を与えている日本の喫茶文化を
リードしてきた、まさに「日本茶のふるさと」と呼ぶに相応しい地であり、
その足跡を順次たどり、見て、歩いて、味わうだけでなく、茶摘みや茶揉みの体験
などを通じ、日本の文化を紹介することのできる格好の地である。

◆ 宇治茶のはじまり
この地域は古くから貴族の別業の地として栄え、
貴顕の嗜好に応えようとする風土と都との水運、川霧の立つ気候や土壌、
植生などの好条件が備わっている。

13世紀には栄西禅師が中国からもたらした茶の栽培方法を、
明恵上人が宇治の里人に馬を使い教えたとされ、
この本格的な宇治茶生産の始まりの地には、『駒蹄影園(こまのあしかげえん)跡碑』
が建っている。
京都1

◆宇治茶の確立と初期の景観~抹茶の誕生~
15 世紀、宇治茶は足利将軍家の評価を勝ち取り
「将軍が珍重されている茶」とされ、日本一の茶となった。

将軍家や管領家は宇治に特別の茶園「七名園」を設け、
露地栽培による最高級の茶葉を作らせた。

その茶園の一つ『奥ノ山茶園』は、室町時代からたゆむことなく茶を作り続けている。
京都2 京都3

また、七名園の一つ朝日茶園跡には、日本の茶礼の基礎となった「永平清規」を
著した道元禅師を開祖とする曹洞宗『興聖寺(こうしょうじ)』が建立されている。
京都4

16 世紀、宇治では千利休ら茶人の要望に応え、京都との間にあった巨椋池(おぐらいけ)
に生育する葦で編んだ簀を茶畑に覆い掛け、渋みを押さえた茶葉・碾茶(てんちゃ)を
作る覆下(おおいした)栽培が始まり、鮮やかで濃緑色のうまみの強い「抹茶」を誕生させた。

宇治茶は天下人の織田信長、豊臣秀吉、徳川将軍家の庇護を受け茶産地の中でも
特別な地位を有し、宇治茶ブランドを確立した。

宇治市『白川』では現在でも天然の葦を使った本簀(ほんず)栽培が行われている。
京都5

この頃の様子は、イエズス会教会司祭であったジョアン・ロドリゲスの「日本教会史」
(16世紀後半)により詳しく西洋に紹介された。
また、『中宇治地区』は江戸時代には幕府領であり、有力な宇治茶師の屋敷
『上林春松(かんばやししゅんしょう)家』をはじめ茶問屋街が形成されており、
東端の『宇治川』に架かる日本最古の架橋『宇治橋』のたもとには、
同じく最古の茶屋といわれ、狂言にも登場する『通圓(つうえん)茶屋』があり、
現在も24 代目当主のお茶を味わうことができる。

京都6京都9

◆煎茶・玉露の誕生と新しい景観
17 世紀中期、『黄檗山萬福寺(おうばくさんまんぷくじ)』を開いた隠元禅師が、
乾燥した茶葉に湯を注いで飲む淹茶(えんちゃ)茶法を伝えたが、
18 世紀、永谷宗円はこれに着想を得、宇治田原町『湯屋谷』において
新芽の茶葉を蒸し焙炉(ほいろ)の上で手で揉み乾燥させるという
日本固有の革新的製法である宇治製法(青製煎茶製法)をあみだし、
色・香り・味ともに優れた緑茶である「煎茶」を誕生させた。

煎茶は、現在我が国の流通量の約80%を占めるほど愛飲されている。

京都10
この一大革新を生み出した『焙炉』は宇治田原町『湯屋谷』の『宗円生家』内に

据えられており、近くには『茶宗明神社(ちゃそうみょう)』が鎮座する。

京都11

茶普及による需要拡大に応えるため、和束町『湯船』『原山』などの山間部では
農家の裏山の傾斜地をそのままに開墾し、中腹まで等高線状に茶畝を作る露地栽培が
盛んになり、山なり茶園の景観がつくり出された。

この地の革新を求める風土は更なる上質な茶を追求し、覆下栽培と宇治茶製法を
結びつけ、世界的な最高級緑茶である甘みとコクの豊かな「玉露」を生み出した。

京都12京都13


この茶葉の栽培には砂地が向いており、まず木津川河川敷の八幡市『上津屋(こうづや)』と
城陽市『上津屋』に浜茶として広がった。
両地は木津川の右岸と左岸にあるにも関わらず、1889 年までは上津屋村として
一つの共同体であり、その中で浜茶に取り組まれてきており、
現在も長大な木製の流れ橋(上津屋橋)により密接なつながりを保っている。

また、木津川に隣接する京田辺市の小高い円錐台状の丘陵地『飯岡(いのおか)』
では周囲に水田(覆材の稲藁)、裾野に覆下茶畑、竹林(覆下組立材)、
上部に集落(茶農家)と展開する玉露生産の特徴的な景観が見られる。

京都16,17

◆宇治茶の近代景観
煎茶は明治期に生糸と並んで輸出需要が急増し、産地拡大の必要が生じ、
南山城村『童仙房(どうせんぼう)』では高い標高の開拓村が開かれ、
斜面の茶畑と平地の水田とが対をなす独特の景観を生んだ。
また、木津川の水運の要となった木津川市『上狛(かみこま)』に、
各地から茶葉が集まり、『茶問屋街』が形成され隆盛を極めた。

20 世紀以降、より大量の茶葉を生産するため、農家近くの山腹だけでなく、
山頂まで「山なり開墾」されるようになり、天まで届くかのような独特の美しい
横畝模様の茶畑景観が和束町『石寺』『撰原』『原山』などに広がった。

また、高山ダムの建設により山の中腹以上に茶園を移した南山城村『田山』『高尾』
では気候を考慮し、山頂から中腹にかけ天から落ち込むような珍しい縦畝模様の茶畑
が広がり、その中に茶農家が点在する独特の景観を形作っている。

京都18京都19

 

◆宇治茶、お茶文化の継承への取組
このようにお茶関連の歴史と文化、景観に恵まれたこの地域では、
その価値の再認識や継承に努めている。

京都府では、伝統的な煎茶手揉み法『宇治茶手もみ製茶技術』を
指定無形民俗文化財とし、保存を図っている。
立春から88 日目に摘んだ茶は上等で、飲むと長生きすると言われる伝承を守るため、
今も「宇治新茶・八十八夜茶摘みの集い」が行われる。

茶家では、八十八夜の頃に摘んだ新茶を茶壺に入れ、冷暗所で夏を過ごさせ、
熟成したうまみの出る秋に茶壺から茶葉を出し石臼でひいて飲むこととされていた。
その風習を今に受け継ぐため、毎年10 月には宇治茶まつりを催し、
茶祖に献茶する『茶壺口切りの儀』、使い古した茶筅(ちゃせん)の供養をする
『茶筅塚供養』が営まれ、多くの人が訪れる。
献茶には、豊臣秀吉の故事に倣って『宇治橋』の中程の『三の間』から
『宇治神社』の宮司により汲み上げられた「名水」が用いられ、
江戸時代の衣装を付けた行列により儀式会場の『興聖寺(こうしょうじ)』に運ばれる。

また、山城の各地では鎌倉時代から行われた伝統ある遊興「茶香服(ちゃかぶき)
(茶の飲み当て遊び)」や茶摘み・茶揉み体験を楽しみながら受け継いでおり、
茶葉は昔ながらの茶団子に加え、洋風のお茶のスイーツづくりにも工夫され、
多くの人が舌鼓をうっている。

京都20-23
京都24-26
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【ストーリーの構成文化財一覧表】
京都表

京都78
京都14 京都15

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偶然ですが、昨日日本茶飲料メーカーの農業生産法人参加と生産地等を課題に
以下のブログを書いたばかり。
その中に<宇治茶>も付け加えたこともあり、今回の日本遺産ストーリーも
興味深く読むことができました。
⇒  伊藤園の農業法人出資は地産地消滅?:「お~いお茶」の葉は全国どこでもいいっ茶?

一昨年、宇治に行った折は宇治平等院が修復工事中だったこともあり
もう一度訪れ、あの宇治川沿いを歩き、通圓茶屋に立ち寄り
宇治茶も買い求めたいと思っています。

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日本遺産ロゴ
日本遺産認定発表後、順次1件ずつブログ化しています。
あまり知られていない文化の側面もこの日本遺産シリーズで知ることができます。
投稿済みのものを以下にリスト化しました。
ご関心をお持ち頂いた遺産をチェックしてみてください。

⇒ 日本遺産、初認定18件一覧:文化庁認定のストーリー型文化財、2020年迄に100件へ
⇒ 日本遺産(1) 水戸市・足利市・備前市・日田市:近世日本の教育遺産群-学ぶ心・礼節の本源-
⇒ 日本遺産(2) 群馬 桐生市・甘楽町・中之条町・片品村:「かかあ天下 ー ぐんまの絹物語 ー」が富岡製糸場と紡ぐストーリー
⇒ 日本遺産(3) 高岡市(富山県):「加賀前田家ゆかりの町民文化が花咲くまち高岡-人、技、心-」
⇒ 日本遺産(4)七尾市・輪島市・珠洲市、志賀町・穴水町・能登町(石川県):灯り舞う半島 能登 ー 熱狂のキリコ祭り ー
⇒ 日本遺産(5)小浜市、若狭町(福井):海と都をつなぐ若狭の往来文化遺産群~御食国若狭と鯖
⇒ 日本遺産(6)岐阜市:「信長公のおもてなし」が息づく戦国城下町・岐阜
⇒ 日本遺産(7)明和町(三重県):祈る皇女斎王のみやこ斎宮
⇒ 日本遺産(8)大津・彦根・近江八幡・高島・東近江・米原市(滋賀県):琵琶湖とその水辺景観ー祈りと暮らしの水遺産

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