三徳山投入堂

地方・観光

日本遺産(12)三朝町(鳥取県):六根清浄と六感治癒の地-日本一危ない国宝鑑賞と世界屈指のラドン泉-

 

文化庁が、地域の有形、無形の文化財をストーリー化してパッケージで認定。
観光振興などで地域の活性化に活かす新しい事業として設定した「日本遺産」

2015年4月24日に初認定された24府県の18件を、1件ずつ紹介しています。

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「六根清浄と六感治癒の地 ― 日本一危ない国宝鑑賞と世界屈指のラドン泉―」のストーリー

その第12回は、三朝町(鳥取県)の
《 六根清浄と六感治癒の地-日本一危ない国宝鑑賞と世界屈指のラドン泉-  》

そのストーリーの概要は・・・

三徳山は、山岳修験の場としての急峻な地形と神仏習合の特異の意匠・構造を
持つ建築とが織りなす独特の景観を有しており、その人を寄せ付けない厳かさは
1000年にわたって畏怖の念を持って守られ続けている。

参拝の前に心身を清める場所として三徳山参詣の『拠点を担った三朝(みささ)温泉』は、
三徳山参詣の折に白狼により示されたとの伝説が残り、
温泉発見から900年を経て、なお、三徳山信仰と深くつながっている。

今日、三徳山参詣は、断崖絶壁での参拝により「六根(目,耳,鼻,舌,身,意)」
を清め、湯治により「六感(観,聴,香,味,触,心)」を癒すという、
ユニークな世界を具現化している。

①三徳山
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詳細なストーリーは・・・

 「名勝及び史跡 三徳山(みとくさん)」は、「神と仏の宿る山」とも称される、
日本を代表する修験道の聖地。

修験道とは、「山」そのものを神仏として敬い、自然との一体感によって、
新しい自分に生まれ変わり、人が持つ本来の清らかな心を発揮できるとされる
日本独特の信仰。

この清らかな心から生まれる日々の何気ない行動は、
日本人を端的に表現する「真面目」・「勤勉」・「清潔」といった言葉で表され、
世界に誇る「日本人の美徳(国民性)」そのものと言えます。

現在の「三徳山」という表記は、江戸時代ころまでは、「美徳山」と標記されて
いました。
これは、「自然豊かな美しい山」であることを示すだけでなく、この地での修行が、
日々の喧騒を捨て、自分自身の悪い行いや悪い心を浄化し、清めることで、
「美徳」と言われる日本人の心のありようを再生する場所であったからです。

三徳山における、「美徳」とは、「美しい心(法身ほうしんの徳)」・
「にごりのない心(般若の徳)」・「はたらきのある心(解脱の徳)」の三つの徳を
修行によって体得することを指します。

⑥投入堂
※投入堂

三徳山内で行う行動の全てが「六根ろっこん」(目・耳・鼻・舌・身・意
清らかにする修行そのものです。
この中心となる修行が「国宝投入堂(なげいれどう)」への参拝であり、
「日本一危ない」と称される「行者道」の踏破なのです。

六根の感覚全てを研ぎ澄ましながら、神仏に近づくように一歩一歩修行の道を踏破し、
その果てに仰ぎ見る「国宝投入堂」は満願の証であり、人は達成感から必ず破顔一笑し、
生涯忘れることのない風景が参拝者の心に刻まれます。

⑦②三徳山神事

そもそも三徳山の始まりは慶雲3年(706 年)とされ、その縁起は、修験道の開祖と
言われる役えんの行者が、三枚の蓮の花びらを「神仏のゆかりのあるところへ
落としてくださいと空へ投げると、一枚は、伊予の国(現在の愛媛県)の石鎚山へ、
一枚は大和の国(現在の奈良県)の吉野山へ、残る一枚が伯耆の国(現在の鳥取県)の
三徳山へ舞おり、それらの山を修験道の行場として開いたという「蓮の花びらの伝説
として伝わっています。

三徳山信仰の象徴として山中に鎮座する「国宝投入堂」は、「断崖の岩窟」という
極めて特殊な自然環境のもとに建てられている為、建築方法は今も不明な点が多く
「謎のお堂」と言われ、その人を寄せ付けない厳かさは、1,000 年に渡り、
畏敬の念を持って守られ続けています。

この「国宝投入堂」が持つ「自然空間と建築が創り出す絶妙の緊張感」は
日本建築の中でも取分けインパクトが大きく、独創的で唯一無二の建造物であります。
これは日本が誇る写真家の土門拳氏が著書「古寺巡礼」の中で、
「日本第一の建築は?と問われたら、三仏寺投入堂をあげるに躊躇しないであろう。」
と賞賛していることからも、「世界に誇る日本の宝」と言えます。

古から現在に至るまで、参拝の前に心身を清める場所として三徳山参詣の
『拠点を担った三朝温泉』にも、三徳山との関わりを示す「白狼(はくろう)伝説
が語り伝えられています。

これは、源氏再興の祈願の為、その家臣である大久保左馬之祐が、三徳山参詣の折に
木の根元で白いオオカミを見つけたが、「参詣の道中での殺生はいけない。」と
見逃してやったところ、菩薩が夢枕に立ち、白いオオカミを助けたお礼に
「かの根株の下からは湯が湧き出ている。その湯で人々の病苦を救うように」と
源泉のありかを教えたという伝説です。

この湯は万病に効く救いの湯として、「株湯(かぶゆ)」と名付けられ、
温泉発見から900 年を経た今もなお、こんこんと湧き続け三徳山への参拝作法の中で
重要な役割を果たしています。

⑨株湯

山岳信仰では、「温泉が湧き出ることも神仏の力の成すところ」との考えから、
「三徳山への修行前に三朝温泉に入湯し、ココロと体を清める」という一連の作法が
生まれました。

温泉が「三日目の朝を迎えるころには、どんな病も治癒してしまう。」と言われるほど
の良泉であったこともあり、この作法は歴史的に受け継がれ、今日では温泉での
「湯治」の意味も加わり、三朝温泉で六感を癒やし(六感治癒)、
三徳山で六根を清める(六根清浄しょうじょう)という作法に発展したのです。

こうした三徳山と温泉との関係は、三徳山の仏として三朝温泉に祀られる「湯薬師様
や三徳山への参詣道に残されている鳥居や石の道標、石仏にしのぶことができます。

⑨⑨道標

また、近年その泉質が、世界屈指のラドン泉であることが判明し、医療分野にも温泉が
用いられるようになってからは、三徳山及び三朝温泉での恩恵を享受する為、
更に多くの人々が来訪するようになりました。

その為「栃餅・豆腐・古酒」といった地元の食文化、昭和の風情残す町並みと射的や踊り
といった遊興文化が発展するとともに、三徳山周辺から切り出した藤カズラを材料に行う、
長さ160m 重さ4 トンの「三朝の大綱引きジンショ」といった体験型の民俗文化も生まれ、
三徳山への参拝作法と相まって、現在は独自の温泉文化を形成しています。

⑧精進料理
⑨2枚jpg

このように三徳山参詣により「六根」を清め、その拠点を担った三朝温泉での湯治によって、

「六感」を癒す一連の作法は「人と自然が融合する日本独自の自然観」を具現化したもの
であり、ココロと体を洗うことで、本来人が持つ清らかな心を再生する「命の洗濯」が
出来る地は、三徳山・三朝温泉を有するこの地しかありません。
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③2枚三仏寺12
⑤三仏寺3

リスト
⑨

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またまた、というか、たまたま、というか
「ろっこんしょうじょう」と子どもの時に耳にし、山登りの時などには
掛け声として口に出していた言葉に
このような意味があるとは・・・。
恥ずかしながら、この歳になるまで・・・。

加えて
「六根清浄」とセットで「六感治癒」があり、
それぞれの6つの要素に、上の一覧表のとおり、対応するモノや
コトのストーリーがあることも、恥を上塗りして、知らなんだ~!

かくなる上は、修験者となって、いざ三徳山へ!
と思う心とは裏腹に、めざすは、ラドン温泉の三朝温泉に!

しかし行くならやはりカニの季節!

この夏は、六根清浄と六感治癒のイメトレ、イマジネーションで
乗り切りましょうぞ!

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日本遺産ロゴ
日本遺産認定発表後、順次1件ずつブログ化しています。
あまり知られていない文化の側面もこの日本遺産シリーズで知ることができます。
投稿済みのものを以下にリスト化しました。
ご関心をお持ち頂いた遺産をチェックしてみてください。

⇒ 日本遺産、初認定18件一覧:文化庁認定のストーリー型文化財、2020年迄に100件へ
⇒ 日本遺産(1) 水戸市・足利市・備前市・日田市:近世日本の教育遺産群-学ぶ心・礼節の本源-
⇒ 日本遺産(2) 群馬 桐生市・甘楽町・中之条町・片品村:「かかあ天下 ー ぐんまの絹物語 ー」が富岡製糸場と紡ぐストーリー
⇒ 日本遺産(3) 高岡市(富山県):「加賀前田家ゆかりの町民文化が花咲くまち高岡-人、技、心-」
⇒ 日本遺産(4)七尾市・輪島市・珠洲市、志賀町・穴水町・能登町(石川県):灯り舞う半島 能登 ー 熱狂のキリコ祭り ー
⇒ 日本遺産(5)小浜市、若狭町(福井):海と都をつなぐ若狭の往来文化遺産群~御食国若狭と鯖
⇒ 日本遺産(6)岐阜市:「信長公のおもてなし」が息づく戦国城下町・岐阜
⇒ 日本遺産(7)明和町(三重県):祈る皇女斎王のみやこ斎宮
⇒ 日本遺産(8)大津・彦根・近江八幡・高島・東近江・米原市(滋賀県):琵琶湖とその水辺景観ー祈りと暮らしの水遺産
⇒ 日本遺産(9)宇治・城陽・八幡・京田辺・木津川市、宇治田原町(京都府):日本茶800 年の歴史散歩
⇒ 日本遺産(10)篠山市(兵庫県):丹波篠山デカンショ節-民謡に乗せて歌い継ぐふるさとの記憶
⇒ 日本遺産(11)明日香村・橿原市・高取町(奈良県):日本国創成のとき―飛鳥を翔(かけ)た女性たち―

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