政庁跡

地方

日本遺産(16)太宰府市(福岡県):古代日本の「西の都」~東アジアとの交流拠点~


文化庁
が、地域の有形、無形の文化財をストーリー化してパッケージで認定。
観光振興などで地域の活性化に活かす新しい事業として設定した「日本遺産」

2015年4月24日に初認定された24府県の18件を、1件ずつ紹介しています。

(文頭の画像は、九州歴史資料館所収・大宰府政庁復元模型写真の転載です。)

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 古代日本の「西の都」~東アジアとの交流拠点~
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その第16回は、太宰府市(福岡県)
《  古代日本の「西の都」~東アジアとの交流拠点~  》

そのストーリーの概要は・・・

大宰府政庁を中心としたこの地域は、東アジアからの文化、宗教、政治、
人などが流入・集積するのみならず、古代日本にとって東アジアとの外交、
軍事の拠点でもあり、軍事施設や都市機能を建設するのに地の利を活かし
た理想の場所であった。

現在においても大宰府跡とその周辺景観は当時の面影を残し、宗教施設、
迎賓施設、直線的な道や碁盤目の地割跡は、1300年前の古代国際都市を
現代において体感できる場所である。

M-1

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詳細なストーリーは・・・

<「西の都」太宰府>
日本の西、九州の地にはかつて都があった。
れが太宰府である。

1300 年前、そこには「大君の遠の朝廷」である大宰府がおかれ
(『万葉集』)、「天下之一都会」と
呼ばれた(『続日本紀』)。
古代・中世を通して、
日本の宮都や海外からもたらされる先進文化で
彩られていた。

1

<世界とつながる「西の都」>
1300 年前、中国の唐王朝が世界帝国として繁栄していた。
このため唐の文物・文化・政治シス
テムを周辺諸国は進んで取り入れ、
日本も、大宝の遣唐使・
粟田真人あわたのまひと)が唐から先進の
情報を持ち帰り、改革を進めた。
こう
して日本は歴史上もっとも国際色豊かな時代といわれる奈良時代
を迎えることとなる。


皇帝に厚遇された粟田真人が見た唐の都長安は、東アジアの
先端とな
る都市であった。
彼が収集した情報をもとに平城京と
太宰府はつくられた。
太宰府にはすでに百済の宮都を模した要
塞が築かれていたが、唐の宮都
を実際に見た粟田真人が赴任し
直接造営に携わることで、「西の都」と
して新たに生まれ変わ
ったのである。

2

それは水城みずき)大野城など前代の要塞を利用し、その中に約2km
四方にわたって碁盤目の街区(大宰府
条坊)を設けた本格的な都城
とじょう)であった。
大宰府政庁や関連する役所を街区の北の中央に据え、その前面に
は朱雀
大路を敷設した。
その幅は長安城朱雀(
すざく)大街(たいがい)の1/4、平城京朱雀大路
の1/2 という規格をもち、国内2
位の広さを誇っていた。
まちには人びとの住まいとともに、官人子弟の教育機関(学校院)、
天皇にゆかり
のある寺院(観世音寺・般若寺、迎賓館(客館きゃくかん
など、宮都と同様の施設が備えられた。
屋根には都と同
じデザインの蓮華文(れんげもん)の甍が軒を連ね、
粟田真人が唐で見た獅子像と同じ顔の鬼瓦が行き交う人々を見下ろし

ていた。
このように太宰府は、東アジアの国際標準の都の仕様で築かれた都市で
あった。
それは、この地を訪れた
人々に日本の国際性を目に見える形で示すべく、
古代国家が威信をかけて築いた「西の都」だったのである。

こうして、外国使節や商人が往来し、舶来の品々が行き交う国際都市が
誕生した。


<外国使節を迎える都>

「西の都」では、外国使節を迎え国家による外交・交易が行われた。
使節(賓客)は最初に博多湾岸の筑紫館(
つくしのむろつみ)
(鴻臚館こうろかん)に入り、ここから大宰府に向かった。
筑紫館を発った使節は、直線的に伸びる官道を進み、天智朝に築かれた
水城の西門に至り、さらに進んで推定羅城門から太宰府の街並みを眺め
つつ朱雀大路を北上し、客館に入り滞在した。
そして外交儀礼に際しては、威儀をととのえ、客館から朱雀大路を北上
し大宰府政庁へ向かった。
政庁では楽が流れるなか、儀礼、そしてもてなしの饗宴が行われた。
滞在する使節のために日本・唐・新羅の最高級の食器が備えられ、豪華
な食が振舞われた。
ときに中国将来の喫茶も行われていた。

<花開く文化>
このような「西の都」太宰府では文化的素養を持った人物が外国の賓客
をもてなすためにも求められ、また、人の交流拠点でもあったため鑑真、
空海、最澄などの知識人も滞在し、新しい文化が流入、集積していった。

例えば平安時代初期の書画詩文に秀でた小野篁(おののたかむら)は、
大宰鴻臚館で唐人と漢詩を唱和し交流を深めている。
また、万葉集に収められる大宰府の長官であった大伴旅人邸で行われた
「梅花宴(ばいかのえん)」では唐から持ち込まれたばかりの梅の花を
めでつつ和歌を披露しあうという新しい文化が生まれた。

その後、梅は菅原道真の伝承とともに、時代を越えて太宰府と関連深い
花として親しまれている。
太宰府での道真は朱雀大路に面した南館で不自由な生活を送ったとされ、
没後太宰府天満宮に祀られるようになると南館と天満宮の間で神幸行事
が行われるようになった。
現在も続く神幸行事は大宰府条坊など古代の地割を踏襲した道を使って
平安絵巻が年に一回秋分の日に展開される。

3

<先進文化の集積>
観世音寺は「西の都」で繰り広げられた交流により多くの文化・文物が
集まった姿を今に伝える。
観世音寺は、天智天皇が発願し、唐で玄宗皇
帝から袈裟を直接賜った玄昉
(げんぼう)が落慶法要を営んだ官寺である。

5m を超える観世音菩薩像を始め都や大陸文化の影響を受けた彫像が次々
と造立されていった。
舞楽もおかれ外国使節の饗宴では使者をもてなしていた。
その面が伝わっている。
また、鑑真は日本に漂着後、観世音寺に滞在し正式な僧になるための授戒
を日本で初めて行った。

そのこともあってか、天下三戒壇のひとつとされ多くの僧を輩出した。
授戒を行う戒壇そのものが現在に伝わっている。
空海など入唐僧の長期滞在もあり唐から持帰った経論の書写などがなされ
ていた。

さらに、梵鐘は日本最古のものであり、菅原道真が漢詩「不出門」で
「観(世)音寺は只 鐘聲を聴く」と詠んだ正にその鐘である。

4

このように、太宰府は朝廷が外交・交易を行うために設けた「西の都」
であった。
それは百済の宮都・唐の宮都にならって築かれ、東アジアの先進文化と
日本の文化とが行き交う場所であった。
その遺産は太宰府の随所にみられ、日本を代表する古都のひとつとして、
人々を魅了している。

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【ストーリーの構成文化財一覧表】とその画像

リスト1

画像1-1
画像1-2

リスト2jpg

画像2-1

画像2-2

リスト3

画像3-1

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M-3
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丸暗記が全くダメな私にしては珍しく覚えているのが、菅原道真が詠んだ
「東風吹かば、匂い起こせよ梅の花、主なしとて春な忘れそ」という句。

もう40年近く前になりますが、私の大恩人の経営者の方の創業の地、福岡
市の本社に数か月、研修で滞在した折り、あまり時間が取れなかったので
すが、大宰府天満宮を訪れたことがかすかな記憶として残っています。

大宰府 だざいふ、という響き。
昔からなんとなく好きです。

そして、全国各地にある「天満宮」。
そのすべての起源がここ、大宰府にあることも、なんとはなしに郷愁を感じ
させ、また訪れたいと思わせます。

しばらくこの「日本遺産」シリーズを休んでいましたが、ようやく九州編に
入り、残りも2カ所になりました。
年内には、終われそうです。

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日本遺産ロゴ
日本遺産認定発表後、順次1件ずつブログ化しています。
あまり知られていない文化の側面もこの日本遺産シリーズで知ることができます。
投稿済みのものを以下にリスト化しました。
ご関心をお持ち頂いた遺産をチェックしてみてください。

⇒ 日本遺産、初認定18件一覧:文化庁認定のストーリー型文化財、2020年迄に100件へ
⇒ 日本遺産(1) 水戸市・足利市・備前市・日田市:近世日本の教育遺産群-学ぶ心・礼節の本源-
⇒ 日本遺産(2) 群馬 桐生市・甘楽町・中之条町・片品村:「かかあ天下 ー ぐんまの絹物語 ー」が富岡製糸場と紡ぐストーリー
⇒ 日本遺産(3) 高岡市(富山県):「加賀前田家ゆかりの町民文化が花咲くまち高岡-人、技、心-」
⇒ 日本遺産(4)七尾市・輪島市・珠洲市、志賀町・穴水町・能登町(石川県):灯り舞う半島 能登 ー 熱狂のキリコ祭り ー
⇒ 日本遺産(5)小浜市、若狭町(福井):海と都をつなぐ若狭の往来文化遺産群~御食国若狭と鯖
⇒ 日本遺産(6)岐阜市:「信長公のおもてなし」が息づく戦国城下町・岐阜
⇒ 日本遺産(7)明和町(三重県):祈る皇女斎王のみやこ斎宮
⇒ 日本遺産(8)大津・彦根・近江八幡・高島・東近江・米原市(滋賀県):琵琶湖とその水辺景観ー祈りと暮らしの水遺産
⇒ 日本遺産(9)宇治・城陽・八幡・京田辺・木津川市、宇治田原町(京都府):日本茶800 年の歴史散歩
⇒ 日本遺産(10)篠山市(兵庫県):丹波篠山デカンショ節-民謡に乗せて歌い継ぐふるさとの記憶
⇒ 日本遺産(11)明日香村・橿原市・高取町(奈良県):日本国創成のとき―飛鳥を翔(かけ)た女性たち―
⇒ 日本遺産(12)三朝町(鳥取県):六根清浄と六感治癒の地-日本一危ない国宝鑑賞と世界屈指のラドン泉-
⇒ 日本遺産(13)津和野町(島根県):津和野今昔~百景図を歩く~ (前編)
⇒    同   後編:百景画像残り
⇒ 日本遺産(14)尾道市(広島県):尾道水道が紡いだ中世からの箱庭的都市
⇒ 日本遺産(15)愛媛県・高知県・徳島県・香川県(57 市町村):「四国遍路」~回遊型巡礼路と独自の巡礼文化~

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