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時事・随論

「仮想通貨」対「法定通貨」の新たな構図への道筋:「仮想通貨の未来」から-1

実名でのこのブログサイト。
前回の投稿が、なんと昨年2017年11月11日と、4ヶ月近く前のことです。
いろいろ事情があって、そのうちに再開をと思いつつも、年が明け、正月も過ぎ、3月の○○歳
の誕生日も過ぎ・・・。
その間、やはり投稿頻度は少なくなっていましたが、<介護相談.net>と<世代継承.net>は、
何とか格好を維持。
そして、今日、新学期スタートのエイプリルフール、4月1日。

意を決して、というレベルにはなっていないのですが、密かに、秘めやかに、めざす姿を漠然と
抱きつつ、投稿を再開します。

前回のテーマが「仮想通貨」だったので、リスタートも「仮想通貨」にしました。
前月3月19日と20日の2回、日経の【経済教室】欄に、『仮想通貨の未来』というテーマで、2
人の研究者の小論が掲載されました。

そのそれぞれの小論を、今回と次回紹介しつつ考えてみたいと思います。
初めは、中島真志麗澤大学教授による
「通貨の3大機能満たせず 中銀、新たな政策手段に道」と題した一文。
少し整理・省略して紹介します。

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「通貨の3大機能満たせず 中銀、新たな政策手段に道」

代表的な仮想通貨「ビットコイン」の価格の大幅下落や、仮想通貨「NEM」の巨額流出事件
をきっかけに、「夢の通貨」としてバラ色の未来をうたっていた仮想通貨のイメージに陰りと
疑念が生じている。

仮想通貨への疑念とその根拠

こう現状を捉え、
1)一般的交換手段(モノやサービスを手に入れる機能)
2)価値の尺度(モノやサービスの価値を客観的に表す機能)
3)価値の保蔵手段(将来に備えて価値を蓄えておく機能)
という、一般的な以下の「通貨の3大機能」に視点から、ビットコインを評価します。

*****************

 まず、
1)ビットコインを交換手段(おカネ)として保有する人はごく限定的。

発行量に一定の上限が定められているビットコインは、徐々に供給量が減っていく。
需要が増える中で供給が減っていけば必然的に値上がりするとみた人が、群がるように買
っているのが実態で、いずれ値上がりすると思っていれば、誰も使おうとしない。

2)価格が乱高下し、おカネとしての価値の尺度が不安定で利用を妨げている。
1日で10~20%も変動するものは、交換手段には適さない。
このため交換手段(おカネ)としてはほとんど使われず、「投機用の資産」となっている。
即ち、その性格は通貨から資産へと変質し、最近では仮想通貨ではなく「仮想資産」と呼
ぶべきものになっている。

また、取引量に制約があることから、交換手段としての限界をもたらす。
「ブロックチェーン」という、10分ごとにブロック(一種の帳簿)を作成して安全性を確
保する技術が使われているが、そのブロックの大きさが最大1メガバイトに定められてお
り、ビットコインは世界で1秒間に7件の取引が限界である。
即ち、非力なシステムであり、世界中の全世界のモノやサービスの取引の決済手段となる
のは到底困難と言える。

クレジットカード「VISA」のネットワークでは、1秒間に世界で5万件以上の取引の
処理が可能であり、ビットコインの処理能力を考えると、その差はあまりにも大きい。

3)高いボラティリティー(価格変動性)のため、将来に向けて「価値の保蔵手段」とし
ての保証はない。
また、通貨として「内在する価値」があるのかという問題がある。
ビットコインには配当や利子がなく、持っていても何のキャッシュフローも生み出さない。

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*****************

このように、通貨としての疑問を整理しました。
そして、これと対比して、各国の中央銀行の仮想通貨への認識と取り組みについて論じます。

現実的に課題を抱えたままの仮想通貨は、円や米ドルなどの法定通貨を脅かすような「通貨」
と果たしてなりうるか・・・。

***********************

各国中央銀行が注目する「デジタル通貨」と課題

ビットコインをはじめとする仮想通貨に対して懐疑的な見方が強まっている一方、世界の
中央銀行がブロックチェーンの技術を使った「デジタル通貨」の発行に向けた取り組みを
進めている。

ビットコインなど公的な裏付けや発行主体のない「私的なデジタル通貨」に対し、中銀の
デジタル通貨は、中銀が発行・運営主体となる「公的なデジタル通貨」である。
各国の通貨単位(ドル、円など)をそのまま使うため、現金とは1対1の交換比率となり、
ビットコインなどのように現金との交換レートが乱高下するといった問題が生じない。

すでに
◆カナダ中銀:「CADコイン」の実証実験
◆スウェーデン中銀:「eクローナ」の発行計画
◆シンガポール金融管理局:「デジタル・シンガポールドル」の実証実験
◆中国人民銀行:「チャイナ・コイン」の実証実験
◆ロシア中銀:「クリプト・ルーブル」の発行計画
◆ウルグアイ中銀:デジタル通貨「eペソ」を発行し、世界初の試験運用を開始。

こうした動向に対して、仮想通貨の出現によって追い詰められた中銀が、窮余の策として
自ら仮想通貨を発行しようという見方もある。
しかし、ブロックチェーンというイノベーションの出現に伴って電子的な通貨を発行しよ
うとするのはごく自然な流れであり、「歴史の必然」である。
と筆者は言います。

そして、デジタル通貨の発行などで、中銀が、消費や投資が刺激するなどの新たな金融政
策手段を手に入れることを意味する、とし英イングランド銀行の論文では、デジタル通貨
を「第2の金融政策手段」と呼んでいることも紹介しています。

しかし、他方、それにより「銀行の中抜き」のリスクが発生。
銀行への預金や融資業務など、金融仲介機能に深刻な影響を及ぼすことも考えられ、その
実現にはハードルがある、とします。

ただ、現状の現実の現金決済や流通のコストが高いことを考えると、デジタル通貨発行に
よる社会全体のコストの低減が、大きなメリットを創出する可能性があるとし、その恩恵
を最も大きく受けるのは、約100兆円もの紙幣が流通している現金社会の日本かもしれな
い、と結んでいます。

2

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初回では、もう少し、仮想通貨に対する一般の認識と社会的な動向について、詳しく述べ
てもらった方がよかったのでは、と思わせられる内容でした。
今年に入ってから、ビットコインおよび他の仮想通貨の価格の低下が、ようやく落ち着き
を取り戻したかと思うと、なにかしらの要因が起きて、水を差し、また下げる、というこ
とを繰り返しています。

 

昨年は、ビットコインで決済を行う店舗が増えて、その流通性・決済機能が社会的に定着
するのでは、と思われたのですが・・・。

これだけ乱高下すると、ビットコインで決済する店舗が減っていくことになります。
右高上りで、価格が上昇し続けるならば、決済で受け入れたビットコイン自体の価値が上
がり、円に換えるまで含み益が増え続けるのですが、下落すれば、保有している価値が下
がり、利益が損失に転じてしまいます。

この記事を書いている、4月1日18時の時点では、1BTCが72万2~3千円程度。
前回の昨年11月11日の投稿時点でも70万円台でした。
この間、相当の回数と幅でのアップダウンがあり、いままた最も安い価格に下がっている
状況です。

やはり、残念ですが、仮想通貨は、現状は、非常にリスクを伴う投機対象となっています。
〇〇ショックと名がつくような株式相場よりも下落幅・下落率は大きいのです。

一方、ICO、新規の仮想通貨の発行と取引所への上場は、以前に増して増えているよう
です。

発行元の目的は、ずばり、資金集めと言ってよいでしょう。
株式の上場と違って、まだ公的なルール作りや規制が行われていないがために、その前に
という感じでICOになだれ込んでいる状況です。

本来投資であるはずが、ここでも投機目的・投機手段としての仮想通貨ブームにあると言
えます。

今後、日本においては、金融庁の関与がどこまで及ぶのか。
ただそれに、海外の要素・要因が、予期せぬレベルで発生する可能性も多くありうること
も認識して、対応すべきことは言うまでもありません。

「億り人」願望が、悲惨な状況・結末に「送られ人」とならないように・・・。
4
次回、もう一つの小論を紹介します。
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