037

女性活用

トヨタ元広報役員不起訴で考える行政・司法広報のあり方とハンプ氏帰国後他社復職活躍の米国社会

 

6月18日に、麻薬密輸容疑で警視庁に逮捕され、勾留延長されていた
トヨタ自動車常務役員ジュリー・ハンプ氏(55歳)。
6月30日に辞任を申し出、受理されていたため、「元」が付きましたが
7月8日、東京地検が不起訴(起訴猶予)とし、釈放されたことが報じられました。

本件については
トヨタ役員逮捕、オキシコドン、麻薬密輸容疑報道を考える
で述べました。
また役員辞任報道で感じたことも
錦織 曇り、後、ジュリー・ハンプ 霧、後、なでしこ 晴れ で・・・。

不起訴・釈放をめぐる報道は、ある意味事務的ではありますが、
その処分については、ほぼ妥当としながらも、逮捕した警視庁サイド
の思いを代弁した内容が、やや印象に残ります。

0-30
----------------------

不起訴処分(起訴猶予)とは、犯罪の疑いはあるが、
情状を考慮して「裁判をするまでの必要性がない」と検察側が判断した処分
であり、有罪を立証する証拠が足りない嫌疑不十分とは異なるもの

地検によると、ハンプ元役員は米国在住の父親と共謀。
麻薬成分「オキシコドン」を含む錠剤57錠を国際宅配便に隠し入れ、
滞在先の東京都港区のホテルの客室宛に発送し、6月11日に密輸。

宅配便は「ネックレス」として輸入申告され、錠剤は箱の中に隠すように
して入れてあった。
同容疑者は「医師の処方が必要な薬だとの認識があった」と供述しており
地検も一応「麻薬を輸入したとの認識はあった」と判断。

その後の捜査で、当初の57錠とは別に、オキシコドンを含む200錠の錠剤を
船便で取り寄せていたことも判明。

「膝の痛みを和らげるため、父親が米国で処方された薬を送ってもらった」
と供述している内容が「共謀」に当たるわけですか・・・。

「輸入は体調不良に対処するためで、快楽を求める乱用目的ではなく」
役員を辞任するなど社会的制裁を受けていることなどを考慮し
不起訴としたわけです。

まあ、既に新聞で報じられた警視庁の取り調べ内容をそのまま認めている
わけです。

警視庁としては
当初、一部虚偽の供述があったことと、今年4月にあった同じオキシコドンを
含む錠剤の密輸事件で逮捕した米国人男性が起訴され、その薬への本人の
依存性を認識し、執行猶予付き有罪判決を受けたことなどで
不起訴決定には不満、というか、衝撃が広がった、と中日新聞にありました。

ただ、今年2月別の麻薬成分を含む医薬品を輸入したとして摘発された米国人
女性は、医師である母親に薬品を発送してもらったことなどから、不起訴処分
になった事例もあります。

すなわち
麻薬成分を含む医療用薬物の持ち込みが摘発された類似事件では、
起訴・不起訴の両方のケースがみられ、
検察は使用目的や量などから「麻薬として常用していたかどうか」を判断基準に
しているとみられているとのことです。

0-03
この事件については専門家の評価が分かれており、以下のとおりです。

◆板倉宏日大名誉教授:「米国では一般的な薬品で悪質性は低い。
起訴猶予は妥当。」

◆薬物問題に詳しい小森栄弁護士:「法律で規制対象の薬物という認識が
あったのなら
起訴すべき。乱用の意図を否認すれば不起訴となってしまう」
と検察側の判断に疑問。

◆加藤克佳名城大教授:「起訴猶予は妥当。そもそも身柄拘束が必要だった
のかの
疑問が残る。容疑を否認したから逮捕したのだろうが、証拠隠滅の恐れ
が皆無とは
言えないもののの、社会的地位から考えて逃亡の恐れはないだろう。
とはいえ、外国人であっても法令順守は当然であり、今後は一層の徹底が求め
られる。」

------------------------------

まず、根本的には、米国で認められているが、日本では認められていない
薬品が、日本では麻薬とされているという問題があります。

そして、正直に申告すれば、持ち込むことが認められないことをほぼ認識
してはいたが、多分税関は見逃すのではないかと高を括って輸入した安易な
気持ちがあったこと。
これで墓穴を掘ったと言えます。

ただ、この薬は自分専用の治療薬として使用することが目的で、販売・配布
を考えていなかったであろうことも推測できます。

すなわち、犯罪性・悪質性は非常に低かった、もしくはなかったと思われます
から、私も、拘束・勾留延長には、疑問を感じました。

そしてまた、警視庁での取り調べの内容が、日々公開される不自然さ。
地検にこの事件の容疑が警視庁から回付される前に、逐一リークされ、制裁
を受けているかのような報道。

公式に警視庁から地検が知らされるよりも国民、一般人の方がこの事件と容疑
内容を早く知ることになることの疑問。
行政が司法の業務より先行して、代行するかのように独断で進めていくことへ
の疑問。

不思議な感覚です。

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また、私が知らなかっただけなのかもしれませんが、上述した他の類似した
麻薬・医薬品事犯の報道は実際あったのでしょうか。
そして、こうした事件・判例などは、行政から外国人社員を受け容れる企業
に情報提供し、注意を促すなどの広報活動を行ってきたのでしょうか。

事件取り調べ状況のリークなども含めた警視庁(行政)と司法(検察)の
広報のあり方に疑問を感じざるをえません。

なお、トヨタとしては、せっかく広報担当役員として抜擢した女性活用
グローバル人事だったのですが、ほんのちょっと一時的にイメージを低下
させた程度でしょうか。

こうなると、医薬品についての法律だけに限らず、刑法・民法など企業と個人
両面で知っておくべき法律まで、事前に理解しておく必要があることになり、
言い出すときりがなくなってしまう可能性も出てきます。
やっていられない! ですね。

GMやペプシ在籍のキャリアを持ち、トヨタに入社し、初の女性役員として
期待されたジュリー・ハンプ女史。

母国に帰れば
「災難だったね。」の感覚で迎えられ、日本での事件など、何もなかったか
のように、また有名な企業に迎えられて復職し、活躍の場を得ること、間違
いないでしょうね。

彼我の違い、また浮き彫りになるに違いありません。

もう一つ、つまんない疑問ですが
供述は当然、英語なので、どうせ報道するなら、外国にも正しく伝わるように
英語で公開・報道すべきと思うのですが・・・。

これも広報のあり方の問題なのであります・・・。

ダイバーシティもまた当然、一筋ではならない課題です。

f-woman1
 

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