母子1

時事ニュース

無戸籍児・非嫡出子・シングルマザーの不幸の連鎖を断ち切る社会へ:少子化対策の盲点と課題

 

「無戸籍の学齢児童・生徒の就学の徹底及びきめ細かな支援の充実について」
と題した通知が、 次の項目で、平成27年7月8日付で文部科学省から全国の教育委員会等
出されています。
1.無戸籍の学齢児童生徒の居住が判明した場合の対応等について
2.無戸籍の学齢児童生徒に対するきめ細かな支援について
(1)戸籍への記載に向けた支援
(2)学習上・生活上課題がある児童・生徒への支援
その内容は、こちらで確認できます。

その際添付・公開されたPDF資料は以下です。

未就学児1

これを受けて翌日、日経では以下の記事が掲載されました。

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<無戸籍の子 生活困難  文科省調べ、全国142人 3分の1に就学援助>

何かしらの事情で戸籍がない義務教育段階の子供(無戸籍児)が
全国で142人確認され、
うち3分の1が経済的困窮で就学援助を受けている。

学力に問題があったり、虐待が疑われたりする子供もいた。
文科省は同日、児童相談所との連携強化やきめ細かな支援を求める
通知を全国の教育委員会に出した。

生活状況などを含む無戸籍児の実態調査は初めて。
行政が把握できていない無戸籍児が実際にはさらに多くいるとみられる。

法務省が把握した無戸籍者は567人(今年3月10日時点)。
このうち6~15歳の義務教育年齢は142人で、小学生が116人、中学生は26人。
うち1人は就学していなかった。

文科省が各教委を通じて生活実態や学力を調べたところ、経済的理由で
就学が困難な子供に学用品などを支給する就学援助を受けている子供は49人。
就学している141人の34.8%を占めた。

このうち生活保護を受給している「要保護」は17人(12.1%)、
市区町村が生活保護に近い困窮状態と認めた「準要保護」は32人(22.7%)。
割合は全国の小中学生の平均(要保護1.5%、準要保護14.1%)を大きく上回る。

各教委の聞き取りで「生活上の課題がある」とされたのは23人。
「九九ができず、体格も小さい」「漢字を書けない」など同年齢と比べて
学力面で課題がある子供や、「ネグレクト(育児放棄)の疑いがあり
児童相談所などと連携して対応中」といった事例が報告された。

現在も学校に通っていない1人を含め7人は保護者が学校に通わせていない
時期があった。
うち2人は小学校に全く通っていなかった。

無戸籍児は「離婚後300日以内に生まれた子供は前夫の子供と推定される」
との民法の規定が原因と指摘される。
戸籍上、前夫の子供になることを避けようと母親が出生届を出さないケース
があるため。

戸籍の有無にかかわらず、保護者には子供の就学義務がある。
戸籍がなくても教育委員会に申し出れば通学できる。
ただ文科省は「親子が学校や行政機関に全く関わらなければ、把握は難しい」
としている。

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日本の少子化対策では、なかなか表立って政策課題にまで持ち込まれない
のが、シングルマザーとその子どもの保護・社会保障問題です。

本来、法の下では、子どもの命の保護と養育は、親のみならず、社会全体の
責任とすべき。

そうした人権問題において、日本では嫡出であることを要件とした親子関係・
夫婦関係そして家族関係が民法規定として、厳として存在し、不幸な問題を
投げかけてきています。

そのリスクのひとつの現象が、今回の通知に現われているのですが、根本的
に国・行政は、法律上の問題ではなく、当人=親の問題としてしか、認識し
ていません。
そのことは、以下からも読み取ることができます。

--------------------------------

以下に、
「民法772条(嫡出推定制度)及び無戸籍児を戸籍に記載するための手続等について」
と題してHPで確認した、法務局の見解を転記しました。

-------------------------
<Q:「無戸籍児問題」「離婚後300日問題」とはなんですか。>
(回答)子が出生した場合には,出生の届出をすることによって,
その子が戸籍に記載されます。
「無戸籍児問題」とは,子の出生の届出をしなければならない方(注)が,
何らかの理由によって出生の届出をしないために,戸籍に記載されない子が
存在するという問題です。
  戸籍は,法律上の親子関係を公証するものですから,出生届書には,
法律上の親子関係のある父母を記載する必要があります。
子の父母が婚姻している場合には,夫を父,妻を母とする出生届書を提出すれば,
出生の届出が受理され,子が戸籍に記載されます。
ここで,子の血縁上の父が夫とは別の男性である場合には,法律上の父と血縁上
の父とが異なることになりますが,市区町村の戸籍窓口においては,出生した子
の法律上の父が血縁上の父と同一か否かという実質的な審理はできませんから,
血縁上の父を父とする出生届書を提出しても,出生の届出は受理されません。
「離婚後300日問題」といわれるものは,母が,元夫との離婚後300日以内
に子を出産した場合には,その子は民法上元夫の子と推定されるため,
子の血縁上の父と元夫とが異なるときであっても,原則として,元夫を父とする
出生の届出しか受理されず,戸籍上も元夫の子として扱われることになるという
問題,あるいは,このような戸籍上の扱いを避けるために,母が子の出生の届出
をしないことによって,子が戸籍に記載されず無戸籍になっているという問題のことです。

 (注) 嫡出子の場合には父又は母が(ただし,子の出生前に父母が離婚した場合
には母が),嫡出でない子の場合には母が,それぞれ出生の届出をしなければなり
ません(戸籍法49条1項,52条)。

----------
<Q:嫡出推定制度は,なぜ必要なのですか。>
(回答) 仮に,嫡出推定制度が存在しなければ,誰からでも,またいつまでも
法律上の父子関係を否定することができることになってしまいます。
例えば,長年,父の子として生活してきたにもかかわらず,父が死亡した後に
なって,他の相続人から,父の子であることを否定されるといった事態もあり得る
ことになります。
さらに,第三者から,子の血縁上の父が母の夫以外の男性であるという主張が
されることにもなり得ますが,このような主張は,その主張の真偽に関わらず,
それ自体が家庭内の平穏とプライバシーを害するものであり,これによって
家庭が崩壊するといった事態も生じかねません。
つまり,嫡出推定制度は,民法772条による嫡出推定が及ぶ子については,
父と推定される者のみが,子の出生を知って1年以内に限り,嫡出否認の訴えを
提起することができるものとすることにより,その後は,血縁関係の有無に関わり
なく,誰も法律上の父子関係を否定することができないものとすることによって,
法律上の父子関係を早期に確定するとともに,家庭のプライバシーを守りながら
家庭の平和を尊重し,子の福祉を図ろうとする制度です。

----------
<Q:嫡出推定制度をなくすことはできないのですか。>

(回答)上に述べたとおり,嫡出推定制度は,子の福祉を図るために合理的で必要
な制度であり,これをなくすことは相当ではありません。
「無戸籍児の問題」「離婚後300日問題」といわれるものについては,
(元)夫を法律上の父としない取扱いを求めるための裁判手続等が存在することから,
法務省としては,これらの手続をとっていただくことが大事であると考えています。

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乳児手つなぎ

国が「合理的」と考える基準は、母や子の人権、幸福を軸とした場合の合理性
では断じてありません。

推定上の父を特定し、その父親の養育義務を法定に決定したとしても、そこに
愛情も責任も無ければ、母子のこれからの生活においては、不安と不平等を生
涯抱えることになります。

仮に父親に何らかの責任を担わせるとするならば、母子の直接の関与を不要な
ものとして、社会正義の下、法的に行使すべきです。

法律上の親子関係と血縁上の親子関係のどちらを優先させるか・・・。
これは、母親が決定する権利を本来持つものとすべきで、「離婚後300日問題」
をめぐる法規が、女性にとっての不平等規定であることは、既に家父長制の名
残りとして、社会的に強く指摘されていることであります。

受理する行政には血縁関係の是非の審理は不可能、という規定自体、DNA鑑定
が種々の係争・捜査等において公式な証拠・証明として採用される時代におい
てはなんの合理性もないことは明らかです。

法制自体で、「嫡出推定制度」とあくまでも「推定」としているのですから、
そこに問題が存在することを認めているのです。

少子化対策ではなかなかこうした固定的な家族観念に基づく矛盾や問題点に切
り込む政策や方策は具体化されないままです。

「家庭の平和を尊重し,子の福祉を図ろうとする制度」が実際には、反対に不
幸を招いているという現実。

今回の文科省の通知は、本質的な問題を外に追いやり、少数の現象を注意喚起
する程度で一応対策を打っているように見せかける程度のモノとしてしか評価
できません。

アベノミクスにおける女性活用政策は、一見、女性尊重主義を打ち出している
かのように見えますが、こうした時代錯誤・認識錯誤を抱えたものであること
を知っておくべきです。

日本人政治家と官僚の精神構造の未熟さが、課題先進国などと自ら名乗る矛盾
と重なりあっていることを情けなく、恥ずかしく思うものです。

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