稲米

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日本独自のグローバル農業ビジネス展開を:「<時事解析>農業の国際競争力」から(3)

 

8月10日から日本経済新聞<時事解析>欄で「農業の国際競争力」
題した解説が5回にわたって掲載されました。
各回を紹介するシリーズ。
第1回:農業の「6次産業化」とは本来の農業の確立
第2回:国産農産品の輸出はこれから本格化。ソフトの輸出も!

今回は第3回です。

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 第3回:「成熟先進国型」に活路 需要家と連携カギ
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大泉一貫・宮城大名誉教授は、日本が世界の農業先進国から大きく後れを
取った起点をコメの生産調整(減反)政策が始まった1970年とみる。

米国やオランダ、ドイツ、フランスといった農業先進国は70年代から海外
市場を視野に入れた商品開発に力を入れる一方、日本はコメの過剰をいか
に抑えるかという内向きの政策に忙殺された。

2011年の農産物輸出額をみると、米国の1399億ドル、オランダの893億ドル、
ドイツの803億ドル、フランスの739億ドルに対して、日本は33億ドルに
とどまる。足元では伸びてきたとはいえ、農業先進国との差は大きい。

日本の農業が国際競争力を高めて、輸入品に対抗したり、輸出を増やしたり
するには、従来の内向き志向から脱却できるかがカギを握る。

大泉氏はオランダに代表される「成熟先進国型農業」の特徴として、農産物
の輸出力を持ち、生産性が高く、付加価値特化型であることを指摘する。
加えて、農業と食品産業の垣根が低く、川下にいる需要家と川上の農業生産
者の間に双方向の情報網(フードチェーン)が確立されている。

一方、日本の農産物流通は生産者から農業協同組合→卸売市場→需要家と一
に限られ、付加価値型の商品開発に不可欠なフードチェーンができてい
ない。

政府がめざす成長産業としての農業は、この課題を克服しなければ成り立た
ない。


大泉氏は千葉、鹿児島、愛知各県など国内でも成熟先進国型農業への展開を

進める産地はあり、競争力を持つ農業は構築可能とみる。

収穫7
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こうした旧態を長きに亘らしめた元凶は農協と農業委員会組織、優遇土地税
制、補助金行政など国主導の農業行政以外になかったわけです。

ようやくそうした悪政・悪習、不作為に対する改革の必要性が広く、深く
浸透しつつあります。

しかし、他に欧米に成功モデルがあるからと言って、それを「成熟先進国型
農業」として追い付き追い越せの目標にする必要はないと考えます。

現状を招いたのは、農地の狭隘さや農業就労者などの変化・構成など日本な
りの諸事情があってのことです。

ただ、この間何もせず手をこまねいていたわけではなく、小さな取り組みで
はありますが、産直、トレーサビリティ、無農薬・有機栽培、道の駅、など
消費者に視点を当てた取り組みは、こつこつ継続し、実を上げてきています。

また日本の農産物は、当然、日本の食文化を基盤として、これまでは展開し
てきており、その独自性を活かす農業と、グローバル社会に共通する、通用
する農業、加えて、取引対象とする国や地域に応じて考えるべき農業等、多
面性・多様性を踏まえて今後のあり方を考えることが必要です。

そこには、モノだけでなくノウハウ、人材などのソフト面からの支援、移転
も含むべきことは、前回申し上げました。

日本には、製造業や商社などグローバル経済社会で強みを持つ企業があり、
IT企業、金融、物流なども次第に厚い層を形成しています。

そこには、若い世代の人材が関わっており、農業分野に関心を持つ人材が
業界内外から参集する機運も高まっています。

最後方を走っていたランナーが、走る方向を変えれば、先頭ランナーになる
わけで、日本独自の取り組みを展開することで、他が追随・模倣することが
難しいグローバル農業ビジネスモデルを創り上げてもらいたいものです。

ここでの政府の役割は、農政に関わる種々の規制を緩和・撤廃することと、
各国が日本に対して規制している関連法の改善・改正を求めることで十分
と考えます。

農地3

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