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環境・エネルギー

電力小売り自由化と送発電分離は、電力料金引き下げを意味しない?:日経<電力自由化の影響>(5) (6)から

2015/8/24から日経の<経済教室>紙面にある
<やさしい経済学:公共政策を考える>で、
(第5章)として 「電力自由化の影響」というシリーズが始まりました。
これまでこのテーマでブログを書いておらず、いずれ、と考えていました。

先に、電力自由化を受けての異業種間での提携事例として、楽天と丸紅
の取り組みをここで紹介しました。
楽天が電力小売り参入:電力自由化が促すビジネスモデルの進化・拡充と効

この機会に、上記シリーズの各回の内容を引用して、理解を深めたいと思います。
これまでのブログは以下。
⇒ 電力・ガス小売り全面自由化への工程:日経<電力自由化の影響>から(1)(2)
⇒ 電力システム改革の要、電力広域的運営推進機関(広域機関):日経<電力自由化の影響>(3)から
⇒ 電力システム改革第2段階・電力小売り全面自由化と企業間競争:日経<電力自由化の影響>(4)から

今回は、その第5回と第6回を紹介します。
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 5.発送電分離に光と影
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 2020年に電力システム改革の第3段階として、電力会社の送配電部門
を別会社化する「発送電分離」が実施されます。
これにより戦後日本で続いてきた発送配電の一貫経営が廃止され、
10電力体制は事実上の終幕を迎えます。
この発送電分離にはメリットとデメリットがあります。

<発送電分離のメリット>
1.電力業界の競争が活発化:

電力供給の中枢を担う送配電部門を大手電力から切り離し中立性を高め
れば、新規参入した事業者が送電線や電柱を使いやすくなります
 00年以来の部分自由化で、大口需要部門では地域を超えた電力会社間
の競争が可能になりました。
にもかかわらず東日本大震災以前は、九州電力が中国電力管内のイオン
宇品店(広島市)に供給した1例しかありませんでした。
このような状況を打破するうえでも、発送電分離は大きなインパクトを
与えるでしょう。

 2.再生可能エネルギーの拡充を促進:

送電部門の中立性を徹底する発送電分離が再生可能エネルギーの拡充に
資することは間違いありません。

 <発送電分離のデメリット>
1.
日本の電力業がもつ高い系統運用能力に傷をつける恐れ:
電気はためることができないため停電が起きやすいという取り扱いの難し
さが伴います。
わが国の電気事業の最も優れた要素は、停電を回避する系統運用能力の高
です。
それは、発送配電一貫の垂直統合体制の下で培われてきました。
発送電分離でこれに傷をつけることにならないかと心配されます。

2.発電・送電・配電設備間のバランスのとれた投資を
行いにくくなる:
小売り全面自由化と発送電分離が実施されたのちに、初期投資が膨大で回
に時間がかかる発電設備の建設が適切に行われるかについては懸念を禁じ
ません。5年後に迫った発送電分離は、その光と影の両面に注目する必要
があります。

J-4
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 6.料金下がらぬ可能性も
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2016年の電力小売り全面自由化および20年の発送電分離で、小口契約者
含む電力需要家が自由に電力会社を選択できるようになることは間違い
りません。
この点は、電力システム改革の大きな成果だと評価できます。

 一方で、小売り全面自由化と発送電分離によって電力料金が低下するか
というと、必ずしもそうなるとは限りません。自由化とは市場に任せるこ
とであり、市場では需給関係によって価格が決まるからです。
現時点で電力はどちらかといえば供給不足の状態にあり、このままだと全
面自由化後、電力価格が上昇する恐れは否定できません。

 たしかに全面自由化直後には競争の激化に伴い、電力料金は低落するで
しょう。
しかし、中長期的には料金の緩やかな上昇が生じる可能性は高いのです
電力自由化で先行した諸外国でも、同様の現象がしばしば観察されました。

 今年7月に経済産業省は、2030年度のエネルギー需給の新たな見通しを
策定し、そのなかで「電力コストを現状よりも引き下げることを目指す」
方針を打ち出しました。

 その際、
◆電力コスト引き下げを実現するためには発電用の燃料費の削減
◆固定価格買い取り制度(FIT)による再生可能エネルギー電源関連の
買い取り費用の抑制
の2点が焦点になると説明したのです。

 つまり経産省は30年に向けた電力コストの引き下げに関して、電力シス
テム改革による料金引き下げ効果を織り込まなかったのです。
電力自由化が必ずしも料金低下をもたらすとは言い切れないのが実情なの
です。

※執筆者:橘川武郎東京理科大学教授
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発電所3
自由化と聞くとコストダウン、と反射的に思ってしまうのですが、どっこ
い、そう簡単にはいかないようです。
再生可能エネルギーによる発電事業者が増えることが、即、価格競争を意
味するわけでないことは、実際に、固定買い取り価格制度で高値止まりする
ことをこの短期間に、私たちは知り、体験もしています。

しかし、長期的にみれば、種々の分野での技術革新や改善、大規模化など
で、利用者にとってメリットがあるようになると期待したいものです。
すなわち、発電コストが下がり、買い取り価格制度自体が改善・改革され
る段階に入り、固定ではなく、実質的な自由化状態になると思うからです。

送発電分離については、目に見えない部分の改革で、気になるのは停電の
リスクが増える、とあることですね。これは実際に体験してみてわかるよう
になることでしょうが、できれば体験せずに済ませたい・・・。

こうした電力システム改革が、文中にあるように、再生可能エネルギーに
よる発電を強力に推し進め、CO2削減による地球温暖化対策、環境問題に確
実に貢献することを願うのは、当然のことでもあります。
太陽光2

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