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環境・エネルギー

電力自由化で電力料金引き下げとエネルギー自給自足社会への道筋を:日経<電力自由化の影響>(7)から

 

2015/8/24から日経の<経済教室>紙面にある
<やさしい経済学:公共政策を考える>で、
(第5章)として 「電力自由化の影響」というシリーズが始まりました。

関連して、先に、電力自由化を受けての異業種間での提携事例として、
楽天と丸紅の取り組みを以下で紹介しました。
楽天が電力小売り参入:電力自由化が促すビジネスモデルの進化・拡充と効

その語、上記シリーズの各回の内容を引用して、理解を深めてきています。
これまでのブログは以下。
⇒ 電力・ガス小売り全面自由化への工程:日経<電力自由化の影響>から(1)(2)
⇒ 電力システム改革の要、電力広域的運営推進機関(広域機関):日経<電力自由化の影響>(3)から
⇒ 電力システム改革第2段階・電力小売り全面自由化と企業間競争:日経<電力自由化の影響>(4)から
⇒ 電力小売り自由化と送発電分離は、電力料金引き下げを意味しない?:日経<電力自由化の影響>(5) (6)から

今回は、第7回を紹介しますが、今回の内容は、電力自由化が料金引き下げに
つながらない理由などを述べるものなので、関連している、前回の(6)を
再度、簡略化して掲載します。

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 6.料金下がらぬ可能性も
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2016年の電力小売り全面自由化および20年の発送電分離で、小口契約者
を含む電力需要家が自由に電力会社を選択できるようになる。
この点は、電力システム改革の大きな成果だと評価できる。

 しかし、小売り全面自由化と発送電分離によって電力料金が低下するか
というと、必ずしもそうなるとは限らない。自由化とは市場に任せるこ
とであり、市場では需給関係によって価格が決まるから。
現時点で電力はどちらかといえば供給不足の状態にあり、このままだと全
面自由化後、電力価格が上昇する恐れもある。

 たしかに全面自由化直後には競争の激化に伴い、電力料金は低落するだ
ろう
しかし、中長期的には料金の緩やかな上昇が生じる可能性は高い。
電力自由化で先行した諸外国でも、同様の現象がしばしば観察された。

 今年7月に経産省は、2030年度のエネルギー需給の新たな見通しを策定。
そこで「電力コストを現状よりも引き下げることを目指す」とし
た。
その際、◆電力コスト引き下げを実現するためには発電用の燃料費の削減
◆固定価格買い取り制度(FIT)による再生可能エネルギー電源関連の
買い取り費用の抑制 の2点が焦点になると説明した。

 つまり経産省は30年に向けた電力コストの引き下げに関して、電力シス
テム改革による料金引き下げ効果を織り込まなかった。
電力自由化が必ずしも料金低下をもたらすとは言えない事情を示している

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 7.発電投資の活性化必要
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 電力システム改革によって必ずしも電力料金が低下するわけではないの
は、小売り全面自由化と発送電分離によって発電設備を新増設する投資
抑制される恐れがあるからです
投資抑制が起これば電力需給はひっ
迫し、料金引き上げ圧力が生じます。

 2008年に電力小売りの全面自由化が見送られた際も、発電投資への影響
が最大の理由とされました。

 当時は地球温暖化対策の観点から原子力発電所の増強に期待する風潮
強く、原発新増設の足かせとみなされたのです。

 11年の東京電力福島第1原子力発電所事故を契機に原発を巡る状況は一変
しましたが、電力自由化が発電投資を抑制する恐れがあるという状
況には変
化がありません。

 したがって電力システム改革を進めるには電源をいかに確保するかが重要
になるのですが、政府の施策は不十分です

 今年7月、2030年度の電力需給見通しを新たに策定した際に政府は、原発
のリプレース(既存炉の建て替え)を想定から除外し、既存炉の
運転期間延
長だけに注力する方針を打ち出しました。

 また再生可能エネルギーの比率は国民が期待した水準よりも低い22~24%
という見通しを示し、地熱、太陽光、風力発電の新増設に水をかけ
ました
 さらに火力発電のなかで最大のウエートを占める液化天然ガス(LNG)
火力の新増設も、原発比率を押し下げることを危惧して消極的な見通しを
設定したのです。

 発電投資を活性化する施策が講じられなければ、電力システム改革は十分な
成果をあげません。

原発のリプレースも真剣に検討すべきです。
原発を使う場合に厳守しなければならない「危険性の最小化」という原則
からみても必須の条件だといえます。

 30年度における再生可能エネルギーの比率は30%程度まで拡大すべきです。
 さらに天然ガスの低廉な調達に努めてLNG火力開発を促進すべきです。
 電力需給見通しは早期に見直す必要があるといわざるをえません。

※執筆者:橘川武郎東京理科大学教授

SB1
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 今回の解説内容自体、どうも歯切れが悪いですね。
 原発再稼働に賛意も示し、再生可能エネルギー比率を高める必要もあり、
と玉虫色の内容です。

 現状、そして将来にわたり、電力料金の高止まりを懸念する最大の理由
は、導入時に設定した再生可能エネルギーによる発電の固定買い取り価格
が高かったことです。
逆説的に、これが電力料金引き下げを拒む方向に働いているわけです。

従い、根本的に自由化するということは、買い取り価格の自由化と販売
価格の自由化を意味することにつながらなければいけないはずです。

とすると発電投資の判断基準は、自社で発電する場合の発電コストをどれ
だけ下げることができるかにかかっています。
一部の先行企業は、当初の固定買い取り価格を事業参入の根拠・要因と
していたわけですが、これからは、独自の考え方・戦略で発電事業を考える
必要があるわけです。

固定価格買い取り制の欠陥は、将来に向けて発電コストが下がることを
あまり考えず、とにかくできるだけ早く原発など既存発電方式への依存比率
を下げたいという思いで、高め設定したことにあります。

たしかに、それがインセンティブとなって、ある意味猫も杓子も太陽光へ、
となった面があり、買い取り一時停止や買い取り価格の引き下げなど、梯子
を外すような動きを招いたことは周知のとおりです。
これは、政府の政策のミスであることは明らかです。

さて問題は、これからです・・・。

すでに種々の自由化を想定した事業プランや業務提携の動きが活発化しつ
つありますが、特徴の一つが、即電力料金の低下につながらなくても、ポイ
ントサービスなど、他社の異なるビジネスモデルと連携することで、間接的
に電力料金が安くなるような提携・サービス提供が目につくことです。
この辺りが日本の特性の一つではないでしょうか。

加えて、当然期待している、種々の改善や技術開発で、発電コストの低減
も進められています。
また、太陽光以外の地熱・風力発電などの多様化も進められています。

一方、企業や地方自治体、離島などにおいてのエネルギー自給自足化の取り
組み事例も増えつつあります。

すなわち発電投資の趨勢は、多様で、息が永く続くものになることを期待
できるのではないかと思っています。

また自由化される電力小売り料金に、原発廃止や福島原発後処理費用など
が上乗せされて決定されるなどという非論理的な基準が用いられることな
ど断じてあってはならないことは当然です。

水素社会の実現への道のりは簡単ではありませんが、
世代を引き継いで、地球環境の保全と直結させた、日本のエネルギーの自給
自足社会の実現という目標と取り組みは、共有できるものと信じています。

森林13

 


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