スマコミ稲毛

人口減少

高齢者の地方移住の可能性と課題②・移住事例と背景:<人口病に克つ>超高齢化を生きる(2)より

日経では、2014年9月から<人口病に克つ>と題した特集を1面でシリーズ化。
2015/11/10 から、”いまだ経験したことのない超高齢化が迫る”とし、
最終第5部「超高齢化を生きる」を始めました。
第1回:現役シニア?も不足する地方自治体の現状と明日
第2回:高齢者の地方移住の可能性と課題①

今回は第3回ですが、第2回の内容と関連させて紹介された都会から地方への
移住例を、以下に引用します。

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 超高齢化を生きる(2)② 私たちが都会を離れたワケ
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人口減少とともに進む超高齢化。
75歳以上が急増する将来を前に、住み慣れた都会からの移住を決断する
高齢者。
将来の介護施設不足などの統計データをもとに論じられるケースが多く
なった移住だが、実際に移り住んだ当事者は何に悩み、何を決め手に動
き出したのか・・・。

【北海道伊達市=池田武史さん(68)】

 池田武史さん夫妻は北海道伊達市での移住生活を満喫している。

横浜暮らし30年。勤め先のメーカーを定年退職して2007年に移住。
学生時代を札幌で過ごし、ワンダーフォーゲル部に所属。
北海道にはいいイメージがあり、知人にも「伊達は雪が少なくていい」
と勧められた。
退職1年ほど前から市職員に相談して準備。
まずはアパートを借り、少しして今の家を購入した。
地元の自然や歴史を学び、伝える「洞爺湖有珠火山マイスター」
になるなど日々は充実。元気でいる限りこちらで暮らしたい。

最初は地域に溶け込めるか不安だった。
道内生まれの妻は横浜に友人も多くて嫌がると思ったが、押し切る
形でね。幸いなことにこちらの生活が気に入ってくれているようだ。
夫婦ともどもご近所や知人に恵まれた。

実は移住当初、私も妻も親が東京周辺にいた。
2人とも親の近くに兄弟が住んでいるからここに来られた。
後ろめたさはある。あと不安があるとすれば医療だ。
伊達で難しい場合には室蘭や札幌まで行くが、車の運転が大変。
伊達で完結できるのが理想だと思うが……。

安心ハウス

伊達市は2002年に「伊達ウェルシーランド構想」を打ち出し、
元気な高齢者の誘致に力を入れた。
市認定の賃貸住宅「安心ハウス」(画像上)や郊外戸建ての「優良田園住宅
画像下)、
相乗りで割安なタクシー、ワンストップの相談窓口などを用意。
お試し移住も受け入れた。

優良田園住宅

高齢者の満足度は総じて高い。
当初は30歳代も増えて高齢化率の上昇が抑えられた。
ただ最近は課題もみえてきた。
例えば新たな移住組も入りやすい居場所づくりの難しさや医療・
介護負担への
懸念。
体調を崩して都市部への再移住が避けられないケースも出てきた
というが、
他地域で受け入れ余力がなくなった時にどうなるのか。
市長は街の若い担い手不足も痛感し、同時に若者も呼び込む政策
への移行
を図っている。

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【スマートコミュニティ稲毛(千葉市)=真鍋恵子さん(66)】

神奈川県平塚市の一軒家に住んでいたが、駅から遠く、70歳を過
ぎたら駅近くのマンションに引っ越そうと考えていた。
スマートコミュニティの存在を知り、出身地の福岡でシニアマン
ションに暮らす親が「あと5年早く入ればもっと楽しめた」と言
っていたのを思い出した。
それに家事から卒業でき、趣味のダンスも楽しめそう。
メーカーを退職した夫と相談して家を売り、12年に入居した。

愛着のある家財道具の整理や平塚の友人との距離には悩んだ。
子どもたちも今は「遊びに行く場所ができた」と歓迎してくれるが、
最初は介護施設のイメージで「なぜ施設に入るの?」と驚かれた。
入居後も人間関係で深入りしすぎないよう注意するなど気は遣う。

でも新たな出会いが多くあって楽しい。
夫をダンスに引き入れ、会話も増えた。
移住はモノや関係を整理するきっかけになる。
元気な今のうちに楽しめた方がいい。

スマコミ稲毛3

スマートコミュニティ稲毛は2010年に誕生した分譲マンションと入
居者
専用のクラブハウスからなる元気な高齢者向けの住まい。
マンションは資産になり、クラブハウスでは月9万円程度で朝夕食と
80を
超す様々な活動への参加といったサービスが受けられる。
平均72歳の700人が暮らす
社交ダンスやゴルフ、囲碁、絵画、カラオケなど様々な楽しみをみつ
け、
食生活も充実させて健康寿命を長く保とうという発想で、入居後
の介護認定者
はわずかだという。
新住宅棟も建て、2~3年後には1400人規模に拡大する計画だ。

スマコミ稲毛2
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share金沢1
【シェア金沢(金沢市)①=笛木ミイ子さん(76)】

金沢に住んでいた子どもの紹介で埼玉県から夫婦で移った。
最初は医者を探すにもご近所との付き合いも何もかも大変。
共同生活に慣れるのに時間がかかった。でも暮らしてみると、ほぼ普通
の生活ができる。
共同売店の店番に入ったり、夫婦で外出したりと楽しい。
身体が動かなくなったらどうしようという思いはあるが、今のところい
い選択だったと感じている。

【シェア金沢(金沢市)②=鈴木総七郎さん(73)】

神奈川県横須賀市に生まれ育って73年。
妻を亡くし、自分のことは自分でと思い、自分の懐事情やたまには横須
賀に行き来できる程度の交通の便のよさ、自由に生活できる雰囲気など
を重視して決断。

最初は観光してのんびり暮らしたが、目標を持つ方が生きがいになるか
らとヘルパーの勉強を始めた。
9月からは子どもの世話やデイサービスなどで働く。
シェア金沢のような場所は運営者にしても初めての試みでこれから問題
に直面すると思う。
それでも我々入居者の声や外からのアイデアを採り入れ、高齢者の受け
皿だけではなく、望めば活躍の機会が与えられる場であってほしい。

シェア金沢社会福祉法人の佛子園(石川県白山市)がもともと専門に
して
いた障害児施設だけでなく、学生や高齢者、周辺住民が気軽に出入
りして交流
できる場所にしようと2013年に開設した。
広大な敷地には住宅以外にも温泉やレストラン、バー、介護拠点や児童
支援
施設、産前産後ケア施設、農園などが並ぶ。
入居者80人弱のうち、半数は高齢者。年齢は平均80歳近い。
共同売店の運営に入居者が携わるなど住民参加を重視。
希望に応じて様々な活動の場があるのが売りだ。

share金沢2

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3地域・施設とも介護・医療機関とも連携していざという時に備えてい
が、元気な高齢者が生き生きと暮らすのが原則だ。
移住に詳しい三菱総合研究所の松田智生主席研究員も「移住は手段に過
ない。老後をどう過ごすか考えるきっかけだ」と指摘する。

超高齢化時代をどう生きるか。
解決策が簡単に見つかる問題ではない。

「介護施設が東京圏には足りない」「高齢者を地方に押しつけるのか」
という都市対地方の構図はともかく、早い時期から自らの今後を考える
時間を持つことが重要になりそうだ。

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どの事例も、切羽詰まってからの選択・判断ではなく、ある程度のゆとりを
前提とし、リタイア後の生き方を前もって考えていたことからのアクション
と言えます。

いずれにしても、移住してみて、どうも考えていたのと違う、住みずらい、
居たくない、という状況になってはまずいです。
何らかの形でお試し移住ができればまだよいですが、それとて、将来にわた
って問題なく過ごせることが確認できるわけでもありません。

希望する条件をしっかり明確にしておき、失敗がないように、現地を見、関
係する人々の意見を聞き、調べることが欠かせません。

しかし、十分な準備をしたから絶対大丈夫、と断言できるわけでもなく、意
外と無計画に、感性に任せて行動した結果が良かった、ということもあるで
しょう。

そのくらいのチャレンジ精神があっての判断もよいかもしれません。

ひとそれぞれ・・・。
なのでしょうね・・・。

夫婦1

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