人口ビジョン1

人口減少

無理やり作らされた地方人口ビジョン:自治体の主体性・独自性こそ問われる人口減少対策

2015/11/16 付日経で
「39都道府県が人口ビジョン、縮む地域 反映 出生率上昇で歯止め」
と題したレポートが掲載されました。
47都道府県となっていませんし、対象となるすべての自治体のビジョンが
出揃ったわけではありません。
中間報告的なものですが、ちょっと気になったので、引用して考えてみた
いと思います。

----------------------------

地方創生に向け国が自治体に策定を求めた「地方人口ビジョン」を39都道
府県
がまとめた。

地方人口ビジョンは、都道府県、市町村、東京23区の各自治体が地方創生
取り組むことを前提に描いた。
ひとりの女性が生涯で産む子どもの推計値である合計特殊出生率の上昇な
を織り込んで将来人口をはじき出している。

現状のままだと国の人口は60年には8674万人と10年比で3割減になると
予想されるが、国は同2割減の1億194万人にとどめる方針を示している。
14年に1.42の出生率を20年に1.6程度、30年に1.8程度、40年に人口を維持
できる水準の2.07とし、減少ペースを抑制する。

様々な対策で人口減に歯止めをかけた場合の目標人口。
地方版総合戦略の土台となる。
2060年に1億人を確保するという国の長期ビジョンと連動するように出生
の上昇を想定したシナリオが目立つ。
が、目標にもかかわらず人口増を見込むのは沖縄のみで、厳しい現実が映る。

<人口最少県、鳥取県>
2040年に消滅可能性都市をゼロにする、と目標は意欲的・・・。
日本創成会議が40年までに若年女性が半減すると指摘した「消滅可能性都市」
は、県内19市町村のうち13町。
妊娠期から支援する「子育て世代包括支援センター」を5年間で全市町村
に設けるなど若年世代を増やし、「活力を維持する」狙い。
それでも60年の人口は10年比で15万人減を予想する。
<人口減少率が最も大きい秋田県・青森県>
県人口が50年間で108万人から61万人に44%減少すると見る。
出生率は国より10年遅れて2.07とする前提だ。
秋田に次ぐ青森は、国と同じ出生率の経過をたどると仮定するが、人口は
137万人から85万人に38%減るとみる。
両県とも現状のままだと人口は50%以上減るが、移住・定住対策の充実など
で歯止めをかける戦略だ。

<唯一の人口増計画、沖縄県>
14年の出生率が1.86と国を大きく上回る沖縄のビジョン名は「人口増加計画」。
35年までに出生率を2.30に高め、年間の移住受け入れ数を1600人と倍増させる。
国内外からの移住者受け入れを明記し、「世界から幅広く人を呼び込む」。
愛知は国と同じ出生率の推移を前提に60年に700万人を目安にしている。

<東京都・千葉県>
東京は、国の長期ビジョンが「東京圏への人口集中が、日本全体の人口減少に
結び付いている」と指摘しているだけに、微妙な書きぶり。
人口は現状の傾向が続いた場合の推計を掲載。
都民が希望する出生率1.76の
実現を「将来的な展望」と記載するにとどめる。

過疎地も抱える千葉は、県外転出者の再居住の意向調査などを基に減少率に
7~17%までの幅をもたせた。
都心へのアクセスや医療の整備などでUターンを促す。

<国のシナリオに沿った計画という現実>

日本創成会議の座長で、政府のまち・ひと・しごと創生会議のメンバーでも
ある増田寛也元総務相は「人口ビジョンは行政と住民が危機感を共有し、
思い切った対策に取り組むためのもの。厳しい推計に悲観せず、発奮材料と
することが大事だ」という。

39都道府県の目標にはばらつきがあるものの、合算すると人口減少率は2割
と、国の目標とほぼ一致している。
推計にあたっては国が長期ビジョンを「勘案」するよう求め、計算方法も提
したことが反映された面もある。
移住者も人口全体を左右する規模にはなりにくい。
残りの府県は12月以降に順次公表。
市町村・東京23区は10月末までに4割を超す自治体が策定している。

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この<地方人口ビジョン>は、国が示した合計特殊出生率に沿い、国が参
考として提示したフォーム・構成で、各自治体に作成・提出を求めたもの
です。
その元は、平成26年10月20日に、<内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局>
から
『「地方人口ビジョン」及び「地方版総合戦略」の策定に向けた人口動向分析・
将来人口推計について』として出された通達にあります。

その全体イメージは、冒頭の表であり、それに従って、以下の考え方と構成・
内容事例など、懇切丁寧に通達されているのです。

人口ビジョン2
人口ビジョン3
人口ビジョン4
人口ビジョン5
人口ビジョン6
人口ビジョン7
人口ビジョン8

省略しましたが、参考例は、各項で他に1ページずつあります。
ここまでできていると、どこも内容的にはそう違いがないようになってしま
うのでは、と思ってしまいます。
自治体も、労力を省くため、義務を果たすため、参考事例にできるだけ沿って
作ってしまうのでは、とも・・・。

すべての市町村レベルでこれを作成し・提出する。
大変な作業ですし、行動含め相当のコストとマネジメント能力が要求されます。

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図らずも、国が主導する出生率1.83を各自治体が実現しても、人口減少は避
けられない現実があります。

雇用問題もそれにセットしてくるわけで、いくら国の手順に沿って、人口ビ
ジョンを描いてみても、中身が問題。

どこも共通認識として持つべきこと。
それは、人口は減るけれど、自治体の面積は変わらないコト。
すなわち、土地を有効に活用すれば、一人当たりの生産性を上げることが可
ということです。
加えて、土地のコスト、住宅コストを下げることが可能であることも。

そこで、住宅・家賃などの生活でのインフラコストを引き下げ、土地の有効
活用を促進し、生産性を上げ、収入を確保する・・・。
敢えて、収入を増やすことを必須と掲げないのは、生活コストの引き下げで、
収入が上がらなくても、一定レベルを満たせば、生活は豊かになるからです

加えて、例えば太陽光発電など再生可能エネルギーの地産地消を図り、地域
住民と企業のエネルギーコストの低減を図り、域外へのエネルギーコストの
流出を抑制し、域内への資金の消費・投資に循環させる。
観光投資や子育てや若い世代への福祉政策などを強化する。
補助金頼みから脱却し、真の意味での自治を実現する。

土地の有効活用は、インターネットの有効活用と統合して、新しいビジネス
の起業ともつながる可能性を持ちます。
その仕掛け・企画・実現のためのリーダーシップは、やはり若い世代が担う
ことになるでしょう。

国のシナリオに乗らずに、独自性を持った地方創生プロジェクトを立ち上げ、
世代を統融合して、中長期的に取り組む・・・。
その地域での生活の豊かさをどのように創りあげていくか。
若い世代に期待したいですね。

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