SM1

日記・随論

孤軍奮闘?の日銀・木内委員のバランス感覚・国民生活視点を支持する 

12月3日、都内で講演した、日銀の木内登英審議委員の話のポイントが
翌4日付の日経に
「日銀・木内委員、物価2%目標は「実力以上」」と題して掲載され、
目に留まったので紹介します。

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従来からの日銀の消費者物価指数(CPI)上昇率を安定的に2%に
するとの目標に関し
「現状の日本経済の実力に比べて高く、金融政策だけでは達成は難しく、
現状では1%程度の物価上昇が適切であり、高すぎる目標にこだわれ
ば金融緩和が行きすぎ、将来の金利上昇などのリスクにつながる」との
見方を示した、とあります。

日銀は、(というよりも、黒田総裁が、と言いかえた方が良いのではと
思いますが)2%目標を「2016年度後半ごろ」に達成するとの見通しを
示しています。

しかし、木内委員は「17年度まで視野に入れても達する可能性は低い」
と指摘。
「政府が成長戦略を着実に進めることによって、潜在成長率を中長期的に
高めていく必要がある」との考えも示したとのコト。

日銀が現在の年80兆円規模の国債買い入れを続けていくことは難しい
との認識を示したうえで、市場が金融緩和の限界を見透かせば「金利が
跳ね上がり、経済に大きな打撃を与える可能性がある」。
買い入れのペースを落として「安全運転にシフトしていくことが重要」と
主張。

資金
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野村証券の代表的アナリストから日銀委員になった木内氏は、かねてから
日銀内では、黒田総裁と異なる考えを持っている人物です。
私は、黒田氏にすり寄ることない彼が、一番健全な考え方をしていると
思っています。

黒田総裁は、アベノミクスに沿って、物価上昇率2%増を目標として、政府
寄りの強力な金融緩和政策を打ち出したことは知られています。
しかし、途中で、安倍首相との意志のズレが生じたにも拘わらず、その看
板も降ろすわけにいかず、の状況がズルズル続いています。
で、2%実現目標の時期を遅らせたのですが、その16年度後半ごろ、とい
うのも、あくまでも希望でしかありません。

今回の木内委員の発言は、今に始まったわけではなく、当初から異次元の
金融緩和と2%を目標とすることには反対でした。

9月3日に青森市で行った講演でも同様の発言をしており、日経でも
物価上昇期待への働きかけ効果「困難」木内・日銀審議委員」
と題して、以下のように報じています。

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黒田東彦総裁が異次元緩和の波及経路として重視する物価上昇期待への働きかけ
の効果について否定的に「日銀の政策姿勢のみで中長期の予想物価上昇率を継続
的に高めるのは困難という見解を示した。

木内委員は黒田総裁など執行部が主導する現行政策への反対派で知られる
日銀は2016年度前半ごろまでの2%の物価目標の達成をめざすが、
17年度まで視野に入れても2%に達する可能性は低い」とした。

また、中国経済の停滞などで日本の景気が減速する懸念について
「追加金融緩和による対応は不要」との認識を示した。
現在の量的・質的金融緩和は「通常の政策とは全く異なり、中長期の観点から
判断しないといけない政策」と指摘し、景気減速のなかでも国債の買い入れ額を
減らすべきだと主張。

 昨年10月の追加緩和にも反対し、今年4月以降は異次元緩和の縮小を提案。
会見では、日銀が国債の買い入れ額を減らしても保有残高を維持すれば
「ここまで金利を下げた効果は残り」国債買い入れの減額で「(異次元緩和の)
効果には悪影響を及ぼさず、副作用を軽減できる」と述べている。

 量的・質的金融緩和の副作用として「物価上昇期待に働きかける政策で消費
にマイナス面も出てきている」とも指摘。
 値上げを懸念した消費の抑制が起きているとして、期待への働きかけを重視
する黒田東彦総裁ら執行部と一線を画す考えを示した。

0-45
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またこんな記事も
(2015/10/7付日経)
「日銀、金融政策の現状維持を決定 木内委員は反対」

日銀は10月6~7日に開いた金融政策決定会合で、金融政策の現状維持を賛成8
反対1の賛成多数で決めた。
マネタリーベース(資金供給量)を年80兆円に相当するペースで増やす金融
市場調節を続ける。反対したのは木内登英審議委員の1人

 木内委員はマネタリーベースと長期国債保有残高を共に年間45兆円ペース
で増加するよう提案したが、反対多数で否決された。

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 黒田総裁に反対する委員がいない中、ただ一人異論を唱え、外部にも発信
し続けるのはなかなか難しいのでは、と思うのですが、結構意地を張って頑
張っています。
 今時、珍しい人です。

 わたしも、日本、一国だけの金融政策で、物価や株価、そして景気の道筋
をつけることは困難と考えています。
 その姿勢は「思い上がり」と思うのです。
 物価上昇が、即、賃上げに結びつく、と決めつけるのも近視眼的かつ独善
的です。
 円安ですべての企業・業種が潤うわけではなく、金融緩和ですべての企業・
業種が経営が楽になるわけでもない・・・。

 これだけ非正規社員比率が高い社会(2014年男性22.2%、女性57.0%)で
あり、年金収入に頼る高齢者が多い社会においては、やはり生活防衛に走る
のが当然です。
 賃金上昇も非正規社員には期待できません。
物価上昇期待どころか、物価抑制・下落期待に国民ベースで振れるのは当

然です。
 すなわち、2%上昇などほとんどは望んでいない。

 しかし、消費税率の引き上げはもう避けてはいけないと思っています。
急増する社会保障費に充当するための源資とするために避けては通れませ
ん。

 軽減税率をどうするか問題になっていますが、スーパーなどにおける価格
競争は、消費者の支持を得続けることができるかどうかで、今後一層厳しさ
を増します。

SM3
 
 先日OPECが減産を見送った原油。
円安が続く中でも逆行して継続する原油安によるガソリン・灯油代の下落は、
家庭にも企業にとっても、願ってもない援軍です。

 そうした中で、意地を張って2%上昇が実現すると唱え続けるのは、面子
へのこだわり以外の何物でもない・・・。
(実のところ、原油価格が反転して上昇し、それが物価上昇率2%に結びつけ

ば好都合とでも、内心期待しているかもしれません。)

2015年の総括・反省をそろそろ終え、金融政策も新しい年に向け、リセット
すべきかと感じます。
 いよいよ米国FRBも、グローバル経済を意識して、好意で引き延ばしてきた
利上げの段階に、年内はいりそうですし・・・。
そして円安が、未来永劫続くわけでもありません・・・。

ガソリン

 

 

 

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