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政治・社会経済

電力料金決定重要要素、送配電網使用料の小幅減止まりと電力自由化政策への疑問

来年2016年4月からの電力小売りの全面自由化の前の課題として、
新電力を含む電力販売事業者の料金決定に大きな影響を及ぼすの
が、送配電網の使用料金

その決定の経緯を、最近の日経記事で追ってみました。

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まず、
2015/12/3付記事で
「 送電網の使用料下げへ 電力監視委が方針案」
として、以下、報じています。

経済産業相直属の電力取引監視等委員会は2日、電力大手が所有する
送配電網の使用料金(託送料金)の査定方針案をまとめた。
電力需給を調整するコストなどを今夏の申請時より減らすよう求めた。
経産省は年内に査定を踏まえた託送料金を認可する。

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次いで、
2015/12/12には
「 電力監視委、送配電網の使用料小幅減額 電力料金下げ限定的に 新電力は不満も」
として、以下のように・・・。

経済産業省の電力取引監視等委員会は12月11日、電力大手が所有する
送配電網の使用料(託送料金)を決定。
大手各社の申請した料金より引き下げたが、借り手となる新規事業者
(新電力)からは「依然として高い」との声が上がる。
肝となるコストが小幅修正にとどまったことで、来年4月の全面自由
化後も電気料金が高止まりする懸念もある。

想定より東京電力の託送料金が高い」。
関東地方で参入を検討する新電力幹部は憤る。
消費者の電気料金のうち、電線や電柱の維持費などで構成する託送料
金は3~4割を占める。
電力会社に支払う託送料金が高いままだと、電気料金を引き下げにく
くなるためだ。

電力大手10社は今夏、家庭向けで1キロワット時あたりの託送料金を
7~11円台と申請。
東電は8.61円、関西電力は7.86円、中部電力は9.03円など。
これを月額約8000円の電気料金にならすと託送料金は約2500円
電力監視委の有識者がこの数字の妥当性を調べた。

事故で発電所が停止した場合に備え電力大手が予備的に抱える設備な
どにかかる「調整力コスト」が焦点となった。
「電力大手の余分な費用が託送料金に上乗せされている」との見方に
対し、電力大手は安定供給のためには必要と主張。
「双方のバランスに苦慮した」結果、申請時より東電が0.04円、関電
は0.05円などと小幅減額にとどまった。

来春以降に家庭部門への参入を予定して経済産業省への登録を済ませ
た新規事業者は現時点で約30社。
「申請時より若干下がると思っていたので想定の範囲内」との声も。
ただ「託送料金が下がれば新規参入しやすい」との見方もあり、新規
参入組に逆風が吹けば料金競争は低調になりかねない。

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そして、それを受けて
2015/12/19付で 

「送配電網使用料 電力10社が発表 新電力、プラン決定へ」
として以下を・・・。

電力大手10社は18日、所有する送配電網の使用料(託送料金)を発表。
家庭向けなど低圧の託送料金は1キロワット時あたり平均で関西電力
が7.81円、東京電力は8.57円となる。

新規事業者(新電力)にとって2016年4月の電力小売り全面自由化後
の電力料金体系にかかわるコストが決まることになる。
今後、新電力の料金プランの発表が相次ぎそうだ。

経済産業省が各社の申請を認可した。

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と、一連の報道は、ある意味出来レースのようなもので、既存大手電力
各社をまず擁護しようとする姿勢が透けて見えます。
電力小売全面自由化とはいっても、なければどうしようもない送配電網
を持つのは旧勢力の大手電力のみ。

電力監視委員会とは、本来、独占を排除し、電力料金を健全に下げ、国
民の暮らしを楽にするための監視・指導機関であるべき。
ところが、既得権者を守ることを当初から方針としているわけです。

新電力の意欲をそぐような意思決定をまず行ったと言えます。

一方、あたかも国民のために考えているかのようにアピールすることも
忘れていません。

2015/12/16付日経に
「 再生エネ 入札導入 買い取り価格、電気料金歯止め 新制度案」
と題した、以下の記事がありました。

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経済産業省は12月15日、

太陽光などの再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度で、2017年
以降一部に競争原理を導入することなどを柱とする見直し案をまとめた。
より安い価格で電気をつくる事業者が優先的に参入できるようにし、
再生エネの拡大に伴う電気料金の上昇に歯止めをかける狙い。

同日の総合資源エネルギー調査会の専門委員会で見直し案を示した。
来年の通常国会で関連法を改正し、17年以降に新制度を始める考えだ。

12年7月に始まった同制度は、再生エネの電気を電力会社に固定価格で
買い取ることを義務付けている。
高めの価格が設定された太陽光の急増で、家庭や企業の電気料金の負担
が重くなることが懸念されていた。

経産省は、新たに参入する大型の太陽光発電について入札を実施できる
仕組みを整える。
より安く発電する事業者を優先することで太陽光の導入に伴うコストを
抑える狙いがある。
入札をしない場合でも低コストで発電する事業者の事例を参考に買い取
価格を決める仕組みも導入する。

買い取り対象となる設備を国が認める認定制度も見直す。
今は一定の設備基準を満たせば買い取り対象として国が認定するが、新
たな仕組みでは電力会社との接続契約を結ぶことを条件とする。

太陽光1
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一見、この内容は、電力料金引き下げが目的と、大義名分が立っている
ように見えます。
しかし、元々は、太陽光発電事業への新規参入を促進するために設定した
固定買い取り価格が高過ぎたために、当初想定(どの程度想定したのかの
報道を見たことはないのですが)をはるかに上回る事業者に。
その結果、買い取り負担が大幅に増え、結果、電力料金を引き上げること
になってしまった。
本来は、長期的には、電力自由化は電力料金引き下げに貢献する目的であ
ったものが、こうした価格決定プロセスと将来予測のミスから、太陽光発
電参入事業者が悪者にされるような結果を招くことに・・・。

そこで、正義見方の経産省が、コスト低減に取り組む事業者を育成・指導
しよう、と変身を試みている・・・。

参入者の多くは、参入時から、長期的には、競争に勝つために、コストダ
ウンやそのための技術開発、業務改善に取り組むべきことは覚悟として持
っていなければならないはず。
そうでない事業者は、創業時の利得のみ得たあと、間違いなく淘汰され、
消滅するはずです。
決して経産省の指導・方針でそうなるわけではない・・・。

さて、こうした茶番も演じられながらも、電力小売り自由化時代を控え、
送配電網使用料金云々に関わらず、第一次段階での価格競争・サービス競
争の基盤が、そろそろまとまりつつあります。

次回、その動きを整理したレポートを紹介します。

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