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文化・暮らし

1年遅れでのガス自由化も後押しする電力業界再編:日経「迫る電力全面自由化」から(2)(3)

今年2016年4月1日からの家庭用電力を含む、全面的な電力自由化。
予想された通り、年が明けて、一斉に各社の新しい電力料金体系が発表
され、顧客獲得競争開始の火ぶたが切られた感があります。

そのタイミングに合わせて
日本経済新聞の<時事解析>欄で、1月4日から5回シリーズで
「迫る電力全面自由化」と題した解説記事が掲載されました。

それを、3回に分けて集中して紹介し、その後、各社の具体的な動きを
紹介しています。
第1回は
⇒ 規制改革・構造改革としての電力自由化と環境問題との繋がり

今回は第2回

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 2.料金は下がるのか 競争促す制度カギ
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全面自由化になると、どの程度の消費者が電力会社を代えるのか。
日経リサーチが2015年10月に全国20万人を対象に実施した調査では
「切り替えを検討したい」「やや検討したい」との回答があわせて約37%。

地域別では関東が約41%と最も高かった。
近畿は約39%と、14年12月の前回調査から4ポイント上昇した。
東日本大震災後、東京電力は1回、関西電力は2回、値上げした。
他地域と比べ、電気料金が高い。
割高感のある地域の消費者ほど切り替えを考えていることがうかがえる。

自由化の狙いの一つが、競争を通じた料金の引き下げだ。
ただし、自由化で日本に先行した欧州の例をみる限り、必ず下がるわけで
はない。
海外電力調査会の調べによると、ドイツの14年の料金単価は、00年比で
ほぼ2倍、英国も2倍近くに上がっている。

原油や天然ガス価格の上昇や、太陽光や風力など再生可能エネルギー買い
取りのための関連費用が増大したためだ
制度上の問題もある。
英国では自由化と同時に料金規制を撤廃した結果、競争が起きずに市場が
寡占化し、料金の上昇につながった

こうした事態を避けるには、円滑な競争を促す仕組みが重要だ。
国は電力取引の監視にあたる「電力取引監視等委員会」を設置した。
17年のガス自由化後はガス市場もあわせて監視する。

さらに、自由化に移行後も少なくとも20年までは、現行の電力会社の料金
メニューでも買えるようにして、料金規制撤廃による影響を受けない措置も
用意している。

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自由化の反面としての寡占化や価格形成プロセスの固定化・カルテル化。
これらは資本主義経済において起こりうること。

そうした不公平性を監視するための、その名のとおり「電力取引監視等委
員会」。
結局、自由化のためにこうした組織機能を持たねばいけないことで、税金
を使って、別領域でコストが掛かるわけです。
人間のやることは、やはりどこかおかしいですね。

いま、新電力の名のもとに多数の新規参入があり、開始からの顧客争奪戦
が始まりますが、当然、自然に落ち着いてくるわけです。
その際、競争から脱落する企業もあるでしょうし、結局横並びの、さほど
変わらない価格体系になってしまうことも予想されますが・・・。

2~3年である程度はっきりした業界相関図が形成されそうです。

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 3.電気・ガス一体販売 業界再編の契機に
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電力自由化時代に競争はどのような形をとるだろうか。

まず、電力会社が現在の供給区域を越え、他社の区域で販売する「域外供給」。
豊かな事業経験を持つ既存電力会社が本気にならなければ競争は進まない。
この点で電力各社は自由化の本番をにらみ、域外進出の準備を着々と進めて
いる。

最大の激戦地と見込まれるのが、電力需要が集中する首都圏だ。
関西電力は東燃ゼネラル石油と、九州電力は出光興産などとそれぞれ、東京
湾岸
に自前の発電所を建設する計画を進める。

都市ガス会社も有力なプレーヤー。
東京ガスや大阪ガスは電気とガスをセットで販売する。
都市ガス会社は発電燃料になる液化天然ガス(LNG)を、都市ガス原料と
して
豊富に輸入する。

供給区域内に張り巡らせた販売・保守網も強み。
顧客との接点を電力販売にも活用する。
東京ガスの広瀬道明社長は「首都圏の電力需要の1割を確保したい」と語る。

力会社もガス販売への参入を準備する。
電力・ガス自由化で先行した欧州では一つの会社が電気とガスの両方を売る
形態もみられる。
電力とガスの相互参入や、発電コストを下げるための燃料調達や発電所運営
での連携は業界再編を促す契機になる。

プライスウォーターハウスクーパースの狭間陽一電力システム改革支援室長
「小売り参入の条件は販売する電気を確保するための電源と、販売先とな
顧客基盤を持つことだ。いずれかを欠く場合、これを持つ相手と組むこと
必要になる」と指摘する。

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仁義なき戦いがいよいよ始まるのですが、大事なのは、私たちの日常生活に
支障が出ないコト。
そうした安全性・安定性についてのPRは、現状ほとんどありません。
送電線、電線を伝わってくる電力に色はありません。
停電やなにかしらのトラブルがあった時に、どこに連絡すればいいのかなど
今後周知が行われるのでしょうが、料金にばかり目がいき、運営システム・
管理システムがどうなるかは、わかっていません。

若干そうした点に不安を感じますが、まずは、料金がどのくらい下がるのか。

ガス・電力両方の支払先がひとつにまとまり、しかも料金が安くなる、という
のは、感覚的にも、「いいね!」と思ってしまいます。
電話料金とも一緒になれば、もっといいかも!?

セット・組み合わせゲームみたいな様相を呈している新しい電力業界です。

発電所2
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同じテーマで、日経は、2015/8/24から2015/9/3まで、
<やさしい経済学:公共政策を考える>の中で、
「電力自由化の影響」として取り上げています。

当ブログでも、以下のようにその紹介をしました。
第1回:電力・ガス小売り全面自由化への工程:日経<電力自由化の影響>から(1)(2)
第2回:電力システム改革の要、電力広域的運営推進機関(広域機関):日経<電力自由化の影響>(3)から
第3回:電力システム改革第2段階・電力小売り全面自由化と企業間競争:日経<電力自由化の影響>(4)から
第4回:電力小売り自由化と送発電分離は、電力料金引き下げを意味しない?:日経<電力自由化の影響>(5) (6)から
第5回:電力自由化で電力料金引き下げとエネルギー自給自足社会への道筋を:日経<電力自由化の影響>(7)から
第6回:真の電力自由化、問題点の核心は?:日経<電力自由化の影響>(8)(9)から

 

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