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電力自由化による電気料金。安さだけの事業者のリスクを考える:新電力・日本ロジテックの事業撤退から

2016/2/20付日経1面で
電力自由化に関する特集記事の1回目が
「得するのは誰? 安さの恩恵に偏り」というタイトルで掲載されました。

ところが、
2016/2/24に、4月からの家庭用電力の全面自由化を前に、
既に、事業所等向け電力販売事業を手掛けている新電力のひとつ
「日本ロジテック協同組合」が、資金繰りが悪化して事業所登録ができず
小売り事業から撤退する旨、報じられました。

上記の電力自由化特集(その1)の記事内容は、以下のとおりです。

-------------------------------

4月の電力小売り全面自由化に伴い、誰もが電気を買う会社を選べるよう
になる。
米国や韓国の2倍という料金水準は下がるのか。
最前線の動きを追う。

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「そんなに安くなるなら乗り換える」。
2月初旬、神奈川県大磯町に住む64歳の主婦は、営業担当者が持参した
料金メニューを見て電力会社の切り替えを即決した。
東京電力に払っている電気代は年約18万2000円。
石油元売り最大手、JXエネルギーの「ENEOSでんき」に契約を切
り替えれば、1万6000円ほど減らせるとわかったから。

 ◆都市ガスとセットでお得に(東京ガス)
◆ガソリンが1リットル10円引き(昭和シェル石油)
◆携帯と一緒で5%安く(KDDI)
◆ケーブルテレビのお客様は電気も(ジュピターテレコム)

これまで東電など大手電力10社が独占してきた約8兆円の家庭用電気の
市場。
門戸が開かれた途端、「規制に守られてきた大手電力よりも安くできる」
と各社がこぞって名乗りを上げる。

<料金プラン乱立>

カカクコムは1月、居住地域や家族の人数などから簡単に電気料金を
比較できるサイトを開設した。
乱立する料金プランの内容は複雑。
生活実態に合った電気を選ぶのはもはや至難の業だ。
「2009年の家電エコポイント導入時以来の盛り上がり。電気も家電と
同じように比べて選ばれる商品になった」
(サービスマーケティング部の下宮慎平マネージャー)

経済産業省が小売電気事業者として登録した企業は169社に上る。
しかし、自由化がもたらす価格競争の恩恵をすべての消費者が等しく
享受できるわけではない。

「電気使用量で上位3割の顧客を死守せよ」。
東電社内では小売り部隊に号令がかかる。
現行の電気料金は使用量が多い世帯ほど高く、利幅も大きい。
逆に使用量が少ないと、赤字で供給している例もある。
東電が導入する値引きプランは一戸建てに住む4人以上の家族など、
確実に利益を生む得意客向けだ。

<単身者不利に>

全世帯に供給する必要がない新電力も「ボリュームゾーンを狙う」
(新電力大手)。
値引きプランの対象は平均的な月300~400キロワット時を上回る使用量
が中心。
日本の総世帯の半数は電気をあまり使わない単身や夫婦のみ
使用量の多寡で値引き額には年1万円以上の差ができる。

電力自由化の温度差は世帯間だけでなく、地域間にも存在する。

経産省の認可法人がまとめた電力切り替え状況によると、2月12日時点の
申し込みは約14万件に達した。
ただ、96%は東電と関西電力の管内に集中し、北陸は300件、四国は200件、
中国はゼロといういびつな状況にある。
地方は電力小売りに新規参入する事業者が少なく、自由化の認知度も低い
ためだ。

新電力169社の本社所在地も関東、関西、中部で8割を超える
人口が集中する都市部を狙う傾向は顕著だ。
地方の大手電力幹部は「本格的な競争が始まるまで値下げ幅を最低限に
抑える」と明かす。

日本の家庭向け電気料金は東日本大震災後に約2割上がった。
規制産業から自由競争への移行は値下げ圧力となり、事業者は収益重視
の戦略にかじを切る。
副作用として「公平感」は薄れる。

sun3
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家庭用自由化を前に、気勢をそぐかのような日本ロジテックの撤退ニュース。
近々別のブログで事情や影響などを確かめたいと思っていますが、感じた
こと、気になったことを、メモします。

まず、電力販売事業には、自社で電力発電事業を行っていなくても、ガス
などの他のエネルギー事業を持っていなくても参入できるということ。

ああ、そうだったんだ、と恥ずかしながら、今度の件で確認!

通信事業企業なども参画していますが、これらはエネルギー事業を持たなく
ても、その公共的な事業の性格から顧客基盤を持ち、サービスを組み合わせ
ることで相乗効果を上げることが可能。
そういうイメージを持つことができるのですが、そうでない事業者は、結
局安さ、料金だけで勝負するしか手立てがないわけですね。

日本ロジテックの場合は、まさにそれ。
資金力がないと薄利での事業の継続は難しいわけです。
自由競争における経営の難しさの端的な理由と言えます。

たまたま、事業所向け電力販売で、問題が明らかになったわけですが、
家庭用電力においても考えられること、想定できることが事前に明らかに
なったわけです。

「安ければよい!」というわけでは決してない!
心して検討し、選択すべき!
勉強になりました。

記事に戻ると・・・

地方での恩恵はあまり期待できない、とのこと。

どこでもできるわけではないですが、地方は、独自に、再生可能エネルギ
ーにより地産地消、自給自足を自治体や地域、街や団地などのコミュニテ
ィや事業所単位で目指すべきではないか・・・。
そう考えるのです。

他の電力販売事業者に期待できず、結局高い電力料金、エネルギーコスト
を負担することを強いられるのならば、自ら発電を手がけ、必要な電力を
賄う。
仮に不足すれば、不足する分だけ調達し、余れば売電する。

もちろん、既存事業者の価格よりも安くできる初期投資、運転資金、コス
ト管理など事業経営に不可欠な要素をじゅうぶん検討し、事業継続が可能
なめどを立てたうえでのことです。

成功モデルが、数年のうちに出てくることを期待したいと思います。

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