登山1

地方・観光

地方自治のあり方を基本から考えてみる機会に!:『地方創生の正体』から(1)

昨年、そのタイトルに惹かれて読んだ
地方消滅の罠: 「増田レポート」と人口減少社会の正体
(山下祐介氏著・2014/12/10刊)は、いい著書とは思いましたが、その独善・
独断性・ツッパリ感に多少の違和感があり、このブログでは紹介せずじまいに
なっていました。

もともと、増田レポートと一連の『地方消滅』や『東京消滅』論などには
かなりの違和感を持ち、それに批判的な書に、より強い関心をわたしは持
っています。

その後、ちょっと口当たりのいい『ローカル志向の時代
(松永桂子さん著・2015/11/20刊)を紹介しながら地方創生と個人の働き
方について考えるシリーズを始め、現在も継続中。

しかし、最近はちょっと物足りなさを感じ始めており、購入はしたが、目
の前に並んだままの書『地方創生の正体: なぜ地域政策は失敗するのか
山下祐介氏・金井利之氏共著・2015/10/10刊)を、昨日取り出し、読み
始めました。

まだ第1章を読み終えるかどうかの段階なのですが、最初のインパクトが
かなり強く、ずっと継続するかどうかわかりませんが、取り敢えずこの
「第1章 「国-自治体-市民」の構造を問いなおす」の紹介と感じたと
ころのメモを始めることにしました。

ミクロの地方再生の成功事例・失敗事例をかいつまんでみていくことにも、
多少の意義・意味はあると思いますので、継続して、それは追いかけて行
こうと思います。
しかし、本書のように、マクロから見ていくことがないと、どうも片手落ち
というか、公正ではない、望ましいことではないと感じていました。

主義として、文章のほんの一部の摘出や、一部の書き抜きでは、その本質を
誤ってしまう弊害を防ぐため、極力、全文引用転載のスタイルをここでも取
ることをお許しいただきたいと思います。

ag3

「第1章 「国-自治体-市民」の構造を問いなおす」

第1章の前文にあたる文章は、省略し、金井利之氏が2015年5月に行った、
全国の市町村長有志に向けての講演から、紹介します。

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1.「地方創生」で自治体は困り果てる(1)

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<山に登ったら何が見えるか>

「地方創生」を症例に取りながら、日本の地域社会がどのような統治構造(体質
・病)になっているかという分析に向けた手掛かりとなる話をしたいと思います。

なお、以下では、「地方創生」とカッコつきで書くときは、国の政策としてのそ
れを指し、一般的な地域活性化・地域振興としての真の地方創生とは区別します。

震災復興も終わっていないのに、また、アベノミクスの効果も上がっていないの
に、2014年8月頃になって、突然に第二次安倍政権は「地方創生」ということを
言い出しました。
もちろん、その前段としては、2013年末から2014年6月にかけて、日本創生会議
・増田寛也氏らのレポートの「消滅可能性市町村」や「地方消滅」の話題提起が
あったので、むしろ、周到な準備があったと見るべきかもしれません。
その間の経緯はともかく、国の政府レベルの政策課題としては、突然に浮上した
ものと言えましょう。

その結果、国では「まち・ひと・しごと創生」という名称に変わって、プログラ
ム化が進んでいきます。
9月3日には「まち・ひと・しごと創生本部」が設置され、続いて「地方創生国会」
となります。
11月28日に「まち・ひと・しごと創生法」が制定されます。
それを受けて、国では「人口ビジョン」と「総合戦略」が12月27日に閣議決定され
ました。

このように「地方重視」の姿勢を見せながら、11月21日に衆議院が解散され12月
14日に総選挙が行われ、ほぼ同じ勢力で政権与党が勝利します。
そこで、「地方創生」のための具体的な事業として、「地方創生」交付金事業が
2014年度末になってアタフタと立ち上がり、補正予算が組まれました。

ところが、「地方創生」の具体策は国にはアイディアがありません。
そこで、全国の自治体にアイディアを供出せよという、総動員令が下命されます。
こうして、自治体は、」バタバタと「地方創生事業」を国に申請して、補助金を
獲得しなければならなくなりました。

ある市町村の首長さんは、「地方創生」を山登りに譬えていました。
それを聞いて、まず、「地方創生」について私が抱いたイメージについてお話し
します。

” The Bear Went Over the Mountain” (熊さんが山へ登ったよ)という子ども向け
の歌をご存知でしょうか。
この歌の歌詞がとても面白いのです。
では一番の歌詞を紹介しましょう。

The bear went over the mountain,
The bear went over the mountain,
The bear went over the mountain,
To see what he could see.

” To see what he could see. ” とは、要するに熊さんが「山に登ったら何が見えるか
な」と思いながら、山を登っていったわけです。
この歌の最後のオチは何だと思いますか。

And all that he could see,
And all that he could see,
Was the other side of tha mountain,
The other side of tha mountain,
The other side of tha mountain,
Was all that he could see.

です。
つまり山に登っていったら、山の反対側が見えた、それがすべてだと。
アングロサクソン系の人たちは、子どもたちにこれを歌って教育しています。
(ただし、フランス民謡が歌の起源という説もありますが、歌詞は英語なので)。

彼の国の人々は「山に登ったら何か素晴らしいものが見えるわけではない。ただ、
山の反対側が見えるだけだよ」と教えています。
わたしはこれを聞いたとき「だから日本は米英に勝てないんだな」と思いました。

その続き、後半は、次回に・・・・

登山2
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今週3月11日は、東日本大震災からもう5年。

時期的に3月に入り、マスコミでは、その復興問題に集中した特集記事・報道が
毎日行われています。

この書は、地方創生が主課題ですが、内容的には、東日本大震災後の復興のあり
方に相当の比重を置くものとなっています。
ですが、申し訳ありませんが、このブログシリーズでは、東日本大震災と結び付
けての記述部分は、最小限にしていこうと思っています。
地方自治の実態の本質を映す事例として、復興における自治体・地域と国との
関係問題は象徴的であり、理解やすいかもしれませんが、敢えてその意図は排除
して、一般論として地方創生を考えていくことにしたいと考えています。
ご理解頂ければと思います。

「まち・ひと・しごと創生本部」、「まち・ひと・しごと創生法
なんだかよく分からない政治・政策です。

 

 

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