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地方・観光

愚の骨頂のプレミアム付商品券は国の無能の証!ばら撒き政策を拒否する地方自治への道:『地方創生の正体』から(4)

地方創生の正体: なぜ地域政策は失敗するのか
山下祐介氏・金井利之氏共著・2015/10/10刊)を紹介し、地方創生・
地方再生問題を基本から考えるシリーズ。

「第1章 「国-自治体-市民」の構造を問いなおす」
前文は、省略し、金井利之氏が2015年5月に行った、全国の市町村長
有志に向けての講演から。
第1回:地方自治のあり方を基本から考えてみる機会に!
第2回:「地方創生」という山を登れば、何が見える、何がある?
第3回:国が掲げる地方創生は、人口増減で勝ち負けが決まる相撲土俵?

今回は第4回です。

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1.「地方創生」で自治体は困り果てる(4)

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 ばら撒きとしての「地方創生」

  「地方創生」と言いながら、2015年前半に実際に国が行ったことは、自治体
に交付金をばら撒くことでした。
その意味で、国の為政者(政治家と官僚)には、アイディアが乏しいのです
 ただ、ばら撒き事業がセットされた以上、自治体は取りに行かねばなりませ
ん。
 なぜならば、自治体が補助金を獲得しようとしまいと、国はすでにカネを集
めています。
 したがって、地域社会・住民・自治体は、お金を「取り戻す」必要がありま
す。
 自分の自治体だけ補助金申請をしなければ、他の自治体、他の地域住民に横
流しになるだけです。
 だから、自治体からの申請は、活況を呈しているように見えます。

 個々の住民にとっても、事情は同じです。
 自治体が行ったことは当面は「プレミアム付商品券」の売り出しです。
 たとえば、4000円を出すと、5000円分の商品券がもらえるというわけです。
 しかし、この1000円分は、すでに、国民から国が集めていた財源です。
 だから、国民全体として見れば、プラス・マイナス・ゼロです。
 個々の国民はプレミアム付商品券を買わないと損をします。
 他の国民が得をするだけです。
 こうして、プレミアム付商品券は、大人気となります。
 少しでも損を取り戻そうと狂奔するのは、このような事業が作られた以上、
当たり前のことです。

 もちろん、後で触れるように、ばら撒き補助金は、真の地方創生には役立ち
ません。
 しかし、もらわないと損をします。
そこで、自治体は交付金の申請のために、せっせと書類をつくって、国の役
人に頭を下げます。
 住民は、自治体の「プレミアム付商品券」の売り出しや抽選に列を作ります。
 しかし、真の地方創生という点からは、無駄なエネルギーです。
 住民から国が収集したカネを、住民は、ただ「取り戻し」に行っているだけ
だからです。
 本当ならば、別に行列をしなくても。公平に機械的に配分するのが、本来の
行政のあり方なのに、わざわざ、ありがたがらせて並ばせているのです。

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馬鹿げた「プレミアム付商品券」については、以下のブログで、これまで何度も
取り上げてきました。

地方創生交付金が原資のプレミアム宿泊券・旅行券・商品券、鳥取県は4分で完売!今後も続々! (2015/4/17)
プレミアム商品券・旅行券は地方創生・再生・劣生いずれの策か:見かけのバラマキ地域経済活性化と決別を (2015/6/6)
地方創生新型交付金方式に異議あり:上から目線の国・行政は自身の仕事の効果検証から (2015/6/7)
不平等で不思議な地方再生策。暑さで狂う判断力。:ふるさと狂騒曲第2楽章「プレミアム商品券」編(変?)(2015/8/6)
自営業は、永遠に不滅です:『ローカル志向の時代』から(16)(2016/2/4)

本当に真面目に仕事をしているのか疑うしかない、ばら撒き政策。
政策なんていうレベルのものではありません。

そのために、どれだけ無駄なことが行われたか・・・。
参加店舗は、券が利用可能な店舗であることを知らしめるために、駐車場の周り
や店舗の入り口に幟(のぼり)を立てました。
その費用もバカにならないはず。(いや、馬鹿バカしかったはず。)

自治体もPRのためにウェブサイトやコンテンツを作成。
事務処理でも相当の行政コストがかかり、その仕事を担当した公務員も多分、バ
カバカしいと感じたはず・・・。
あっという間に売り切れて、入手できなかった人はバカを見たり・・・。
挙げ句、不正があったりで、バカを見たと感じた人が増えたり・・・。

利用店舗に参加した店舗も、思ったほど売り上げが増えなかったり、
翌年の同期には、同じお祭りがないと、前年比で売り上げが減少して、悲しんだり、
別の利益を削るセールに頼らざるを得なくなったり・・・。
で、結局、元通りじり貧になったり・・・。

使う方は、一瞬得をした感覚を持ったでしょうが、ただそれだけのこと。

もとより、プレミアム付商品券の利用で、その額面総額の新規需要・売上が喚起
されるわけではなく、多くは、日常消費用の一部に充てられるだけ。
ですから、そのために発生する諸経費を考えると、トータルでは、やっぱりプラ
ス・マイナス・ゼロか、マイナスになっているのでは・・・。

そして、
保育・子育てや介護に苦労する毎日は、何も変わらないどころか、ますますひどく
なっていく・・・。

社会福祉政策の真反対のプレミアム付商品券と地方創生策。
ポピュリズム、ご機嫌取り、目くらましの交付金・補助金ばら撒き地方創生策。

「痴呆早逝」策に名称・名目を転換すべきかも・・・。

一億総社会が、品格の低い、一過性の、何も残らないバカな政治・行政に弄ばされ
ているのです。
全員、恥!

048

次回、<できるだけ逃げる> に続きます。

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《本シリーズ開始の動機と目的》
昨年、そのタイトルに惹かれて読んだ
地方消滅の罠: 「増田レポート」と人口減少社会の正体
(山下祐介氏著・2014/12/10刊)は、いい著書とは思いましたが、その独善・
独断性・ツッパリ感に多少の違和感があり、このブログでは紹介せずじまいに
なっていました。
もともと、増田レポートと一連の『地方消滅』や『東京消滅』論などには
かなりの違和感を持ち、それに批判的な書に、より強い関心を持っています。

その後、ちょっと口当たりのいい『ローカル志向の時代
(松永桂子さん著・2015/11/20刊)を紹介しながら地方創生と個人の働き
方について考えるシリーズを始め、現在も継続中。
しかし、最近はちょっと物足りなさを感じ始めており、購入はしたが、目
の前に並んだままの書『地方創生の正体: なぜ地域政策は失敗するのか
山下祐介氏・金井利之氏共著・2015/10/10刊)を、昨日取り出し、読み
始めました。

第1章を読み終えるかどうかの段階で、最初のインパクトがかなり強烈!
そこで
「第1章 「国-自治体-市民」の構造を問いなおす」の紹介と感じたと
ころのメモを始めることに。
ミクロの地方再生の成功事例・失敗事例をかいつまんでみていくことにも
意義・意味はあると思います。
しかし、本書のように、マクロから見ていくことがないと、どうも片手落ち
というか、公正ではない、望ましいことではないと感じてのことです。

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 2~3日前に、<地方民主主義が日本を救う>という仰々しい副題が付
いた新刊 『地方議員の逆襲』(2016/3/16刊)の新聞広告を見ました。
どんな内容か、タイトルに騙されるかもしてませんが、この『地方創生の正体』
と対比して読むとどうか(ポイント5倍の25日にYahoo! で)注文しようと思って
います。

 

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