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地方・観光

1年経過の「日本遺産」に明暗:4月第2次選定の「日本遺産」に必要な基盤整備策

2016/3/25 付日経に
「 「日本遺産」1年目の明暗   水戸の旧弘道館、英語案内で訪日客呼ぶ 福井の鯖街道、民宿1軒のみ」
と題したレポートがありました。

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<日本遺産とは?>
文化庁が主管し、特定の文化財ではなく、地域の歴史的建造物や景観など
をテーマごとにまとめて認定。
地域の観光振興につなげることを目的に、2015年4月、第1弾として
四国4県の「四国遍路」や京都府の「日本茶800年の歴史散歩」など18件
を選定した。
2020年東京五輪・パラリンピックまでに100件程度に増やす予定。

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昨年2015年に第一次の認定を受けた18の日本遺産は、文末にあるように
このブログで紹介しました。

既に、今年に入って第2次の募集選考に入っていることを受けての日経の
総括(もどき)ですが、内容的には偏っており、じっくりと深掘りした
レポートをいずれ望みたいと思います。

今回のレポートは、以下のとおりです。

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地方創生の起爆剤にしようと、文化庁が昨年4月に「日本遺産」18件を
初認定してからまもなく1年。
観光客が増え、知名度も上がった地域と、ブランドを十分に生かせない
地域とで明暗がくっきり分かれている。
独自の取り組みを通じ、若者や外国人らにどこまでアピールできるかが
カギを握っているようだ。

 「近世日本の教育遺産群」の一つとして登録された水戸市の藩校跡
「旧弘道館」は昨年4月~今年2月の来館者が5万7千人を超え、例年
より3割ほど増えた。
認定を機に「蔵書の虫干し」「水戸藩の薬草講座」などのイベントを
新たに企画。
茨城県の担当者は「新企画を通じて、ファンが増えている」と話す。

 外国人や若者にも興味を持ってもらおうと、2月からはスマホを活用
した案内も始めた。
アプリをインストールすれば、館内7カ所で詳細な説明を受けられる。
現在は日本語と英語だけだが、来年度は中国語や韓国語を追加する予定だ。

 温泉と修験道の聖地、三徳山が「六根清浄と六感治癒の地」として認定
された鳥取県三朝町は町在住の外国人5人にSNSを通じた情報発信を依頼。

 英語やスペイン語など5カ国語で計30回にわたって見どころを伝えたこと
で、昨年の外国人観光客は前年の2倍を超える約9千人に。
外国の観光ガイドでも紹介され、町教育委員会主幹の藤井紀好さんは
「外国人にも魅力を理解してもらえた」と声を弾ませる。

弘道館

一方で、日本遺産というブランドを十分に生かせていない地域もある。

 福井県小浜市から京都にサバを運んだことからその名が付いた福井県
小浜市の「鯖街道」。
「海と都をつなぐ若狭の往来文化遺産群」として登録されたが、昨年の
観光客は前年より減った。
「建物ではなく道というのが分かりづらく、一部の歴史ファンしか来て
くれない」(県の担当者)

 市と地元住民らでつくる「鯖街道歴史研究会」は現状を打開しようと、
昨年11月、見どころなどを記載したガイドマップをつくった。
2千部を配ったが、小浜市から京都まで約70キロにわたる行程の途中には
民宿が1軒のみ。
研究会代表の杉谷長昭さん(72)は「受け入れ体制が整っておらず、山に
不慣れな人がたくさん来るとかえって危ない」と心配する。

 日本遺産の選定に携わった日本観光振興協会の丁野朗常務理事は
「不特定多数でなく、ターゲットを絞って情報発信した地域が結果を
出している」と話している。

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 取り敢えず認定を受けることに集中し、その後のことは十分に検討・準備で
きていなかった自治体もあるのでは、と思います。
状況的には、やはり海外からの観光客をどう呼ぶかにかかっていると言える
と思います。
東京オリンピック・パラリンピック開催年次までにどのようにそのインフラ
基盤を整備拡充できるか。

やはり、SNS、インターネットをいかにソフトとして組み込むかになります。
あとは当然のことながら外国語対応です。

先日投稿したブログ
外国人観光客人気スポットは、SNS映えが条件:SNS解析が示す、日本人が知らない、訪日客の行き先(2016/3/9)
のような事例が参考になるのではないでしょうか。

s4
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日本遺産の第2次公募については、今年に入ってから、以下のように文化庁サイド
からの積極的な広報活動の状況が、日経紙で報じられています。

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◆ 2016/1/11付:日本遺産、第2弾も激戦  鎌倉の社寺や佐世保旧軍港 各地で応募準備

文化庁は地域の有形、無形の文化財を観光資源として活用する「日本遺産」
の第2弾認定に向け、近く地方自治体から公募を始める。
4月中に約20件を選ぶが、「既に100件以上の問い合わせが寄せられている」。
全国的に注目度は高く、認定は昨年の第1弾と同様に狭き門となりそうだ。
2月中旬まで公募し、歴史的な価値を分かりやすく伝えるストーリーがあり、
海外にも魅力を発信できるものを選ぶ。
これまでに神奈川県鎌倉市の社寺や、和歌山県太地町の捕鯨文化、長崎県佐世保
など4市の旧軍港施設の応募を目指す動きが出ている。
認定自治体には文化庁が案内板やトイレの設置、観光ガイド育成などの費用を補助。
2016年度からは観光振興を手助けする専門家の派遣も始める計画で、政府予算案に
約13億円を計上した。

◆ 2016/1/14付:「日本遺産」の第2弾公募開始 文化庁  

文化庁は1月13日、「日本遺産」の第2弾認定に向け、地方自治体からの公募を始めた
ことを明らかにした。
2月12日まで受け付け、歴史や観光などの専門家の委員会で選考を進め、4月中に
約20件を発表する。
2020年東京五輪・パラリンピックまでに100件の認定を目指している。
訪日外国人らに全国に足を運んでもらう狙いがあり、地域の歴史遺産の魅力を分かり
やすく伝えるストーリーがあることが認定のポイントになる。

◆2016/2/13付:「日本遺産」第2弾 陶磁器産地など申請 4月に20件認定

「日本遺産」の第2弾の公募に、陶磁器の伝統産地・日本六古窯(愛知、岡山など5県) 
や、旧日本海軍の施設が残る軍港の町(神奈川、広島など4府県)、徳川家康ゆかりの
地(静岡、愛知県)などの申請が寄せられたことが12日分かった。
文化庁は申請状況を明らかにしていないが、総数は昨年並みの70~80件に上る見通し。

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締め切ってもいないのに、応募例をリークするなど、なんとなく胡散臭いですね。
こうして名前が出てきたところなど、もう公認間違いなし、思い込んでしまうのでは
ないでしょうか・・・。
大地町の捕鯨など、ひょとしたら海外から非難をうけるかもとちょっと心配にもなり
ますが・・・。

まあ、日本人にとっては、文化の見直しの機会にもなるので、好ましいコトではあり
ます。

ただ、今回の記事のように、認定を受けても自動的に観光客が集まるわけではないの
で、認定後の「ストーリー」もしっかり描き、定着させていって欲しいと思います。

わたしが住む愛知県岡崎市も、記事中にあった「徳川家康ゆかりの地」のひとつ。
昨年2015年が家康生誕400年で盛り上がった余韻を受けて、こんどの日本遺産に認定
されれば、今年市政100周年と重なって、元気倍増ということに・・・。

ビスタライン岡崎
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昨年の「日本遺産紹介ブログ」リストは以下のとおりです。

 

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⇒ 日本遺産、初認定18件一覧:文化庁認定のストーリー型文化財、2020年迄に100件へ
⇒ 日本遺産(1) 水戸市・足利市・備前市・日田市:近世日本の教育遺産群-学ぶ心・礼節の本源-
⇒ 日本遺産(2) 群馬 桐生市・甘楽町・中之条町・片品村:「かかあ天下 ー ぐんまの絹物語 ー」が富岡製糸場と紡ぐストーリー
⇒ 日本遺産(3) 高岡市(富山県):「加賀前田家ゆかりの町民文化が花咲くまち高岡-人、技、心-」
⇒ 日本遺産(4)七尾市・輪島市・珠洲市、志賀町・穴水町・能登町(石川県):灯り舞う半島 能登 ー 熱狂のキリコ祭り ー
⇒ 日本遺産(5)小浜市、若狭町(福井):海と都をつなぐ若狭の往来文化遺産群~御食国若狭と鯖
⇒ 日本遺産(6)岐阜市:「信長公のおもてなし」が息づく戦国城下町・岐阜
⇒ 日本遺産(7)明和町(三重県):祈る皇女斎王のみやこ斎宮
⇒ 日本遺産(8)大津・彦根・近江八幡・高島・東近江・米原市(滋賀県):琵琶湖とその水辺景観ー祈りと暮らしの水遺産
⇒ 日本遺産(9)宇治・城陽・八幡・京田辺・木津川市、宇治田原町(京都府):日本茶800 年の歴史散歩
⇒ 日本遺産(10)篠山市(兵庫県):丹波篠山デカンショ節-民謡に乗せて歌い継ぐふるさとの記憶
⇒ 日本遺産(11)明日香村・橿原市・高取町(奈良県):日本国創成のとき―飛鳥を翔(かけ)た女性たち―
⇒ 日本遺産(12)三朝町(鳥取県):六根清浄と六感治癒の地-日本一危ない国宝鑑賞と世界屈指のラドン泉-
⇒ 日本遺産(13)津和野町(島根県):津和野今昔~百景図を歩く~ (前編)
⇒    同   後編:百景画像残り
⇒ 日本遺産(14)尾道市(広島県):尾道水道が紡いだ中世からの箱庭的都市
⇒ 日本遺産(15)愛媛県・高知県・徳島県・香川県(57 市町村):「四国遍路」~回遊型巡礼路と独自の巡礼文化~
⇒ 日本遺産(16)太宰府市(福岡県):古代日本の「西の都」~東アジアとの交流拠点~ 
⇒ 日本遺産(17)対馬市・壱岐市・五島市・新上五島町(長崎県):国境の島 壱岐・対馬・五島 ~古代からの架け橋 ~
⇒ 日本遺産(18)人吉市・錦町・あさぎり町・多良木町・湯前町・水上村・相良村・五木村・山江村・球磨村(熊本県):相良700年が生んだ保守と進取の文化~ 日本でもっとも豊かな隠れ里

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