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日記・随論

知られていない「いじめ防止対策推進法」第一章を読む:「いじめのない社会」実現を考える(2)

2016/2/28付中日新聞の
「いじめ防止法施行2年半 進まぬ情報開示」という記事から
◆ 正体・実態不明の「いじめ防止対策推進法」:中日新聞「いじめ防止法施行2年半 進まぬ情報開示」から
と題して開始した「いじめのない社会」実現を考えるシリーズ。

当事者として問題に接した人でないとなかなか知ることがないのではと
思われる「いじめ防止対策推進法」を章単位で順に見ていきたいと思い
ます。

まず、同法の章立ては以下のようになっています。
----------------------------

「いじめ防止対策推進法」体系

第一章 総則 (第一条~第十条)
第二章 いじめ防止基本方針等 (第十一条~第十四条)
第三章 基本的施策 (第十五条~第二十一条)
第四章 いじめの防止等に関する措置 (第二十二条~第二十七条)
第五章 重大事態への対処 (第二十八条~第三十三条)
第六章 雑則 (第三十四条・第三十五条)
附則
第1回目は、<第一章 総則> です。

----------------------------

第一章 総則

(目的)
第一条 この法律は、いじめが、いじめを受けた児童等の教育を受ける権利
を著しく侵害し、その心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を与え
るのみならず、その生命又は身体に重大な危険を生じさせるおそれがあるも
であることに鑑み、児童等の尊厳を保持するため、いじめの防止等
いじめの防止、いじめの早期発見及びいじめへの対処をいう。以下同じ。)
のための対策に関し、基本理念を定め、国及び地方公共団体等の責務を明ら
かにし、並びにいじめの防止等のための対策に関する基本的な方針の策定に
ついて定めるとともに、いじめの防止等のための対策の基本となる事項を
定めることにより、いじめの防止等のための対策を総合的かつ効果的に推進
することを目的とする。

(定義)
第二条 この法律において「いじめ」とは、児童等に対して、当該児童等が
在籍する学校に在籍している等当該児童等と定の人的関係にある他の児童等
が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われ
るものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を
感じているものをいう
2 この法律において「学校」とは、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)
第一条に規定する小学校、中学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校
(幼稚部を除く。)をいう。
3 この法律において「児童等」とは、学校に在籍する児童又は生徒をいう。
4 この法律において「保護者」とは、親権を行う者(親権を行う者のないと
きは、未成年後見人)をいう。

(基本理念)
第三条 いじめの防止等のための対策は、いじめが全ての児童等に関係する
問題であることに鑑み、児童等が安心して学習その他の活動に取り組むこと
ができるよう、学校の内外を問わずいじめが行われなくなるようにすること
を旨として行われなければならない。
2 いじめの防止等のための対策は、全ての児童等がいじめを行わず、及び
他の児童等に対して行われるいじめを認識しながらこれを放置することが
ないようにするため、いじめが児童等の心身に及ぼす影響その他のいじめの
問題に関する児童等の理解を深めることを旨として行われなければならない。
3 いじめの防止等のための対策は、いじめを受けた児童等の生命及び心身
を保護することが特に重要であることを認識しつつ、国、地方公共団体、
学校、地域住民、家庭その他の関係者の連携の下、いじめの問題を克服す
ることを目指して行われなければならない。

(いじめの禁止)
第四条 児童等は、いじめを行ってはならない。

(国の責務)
第五条 国は、第三条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、
いじめの防止等のための対策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する

(地方公共団体の責務)
第六条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、いじめの防止等のための
対策について、国と協力しつつ、当該地域の状況に応じた施策を策定し、
及び実施する責務を有する。

(学校の設置者の責務)
第七条 学校の設置者は、基本理念にのっとり、その設置する学校における
いじめの防止等のために必要な措置を講ずる責務を有する。

(学校及び学校の教職員の責務)
第八条 学校及び学校の教職員は、基本理念にのっとり、当該学校に在籍
する児童等の保護者、地域住民、児童相談所その他の関係者との連携を図
りつつ、学校全体でいじめの防止及び早期発見に取り組むとともに、当該
学校に在籍する児童等がいじめを受けていると思われるときは、適切かつ
迅速にこれに対処する責務を有する。

(保護者の責務等)
第九条 保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、
その保護する児童等がいじめを行うことのないよう、当該児童等に対し、
規範意識を養うための指導その他の必要な指導を行うよう努めるものとす
る。
2 保護者は、その保護する児童等が いじめを受けた場合には、適切に当該
児童等をいじめから保護するものとする。
3 保護者は、国、地方公共団体、学校の設置者及びその設置する学校が
講ずるいじめの防止等のための措置に協力するよう努めるものとする。
4 第一項の規定は、家庭教育の自主性が尊重されるべきことに変更を加え
るものと解してはならず、また、前三項の規定は、いじめの防止等に関す
る学校の設置者及びその設置する学校の責任を軽減するものと解してはな
らない。

(財政上の措置等)
第十条 国及び地方公共団体は、いじめの防止等のための対策を推進する
ために必要な財政上の措置その他の必要な措置を講ずるよう努めるものと
する。

031

-----------------------------------

本法の名称からまず想起したのは、いじめを「禁ずる」、いじめをしてはなら
ないという条項・表現が示されているかどうか、ということでした。

第四条に、はっきりと「児童等は、いじめを行ってはならない。」とありました。

では、このことを誰がどのように、伝え、教えるのか・・・。

本法を
摘要される学校は、いじめ禁止を教えるカリキュラムがあるのかどうか・・・。
そして、第九条の<保護者>は、まずこの法律自体知っているのかどうか・・・。

元に戻って、「いじめ」は
1)心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を与え
2)生命又は身体に重大な危険を生じさせるおそれがある
としています。
この2番目の事項は、もしその被害者が出た場合には、刑事事犯として扱われる
ことがあることを想起させるものです。

本法の第二章以下でそこまでの規定・表現があるかどうか・・・。
その規定があり、あるいは刑法と関係がある旨の表現があれば、それを教える必
要もあります。
実態はどうなのでしょうか。

そして、第九条にある保護者が、子どもにいじめをしてはいけないことを教え、
この法律を守らせる責任があるのですが、実際にやっている保護者がどれだけい
るでしょうか・・・。
社会的にいじめをなくすためのスタートラインは、家庭での保護者の子どもに対
する教えにあると思うのですが、いかがでしょうか?

家庭・親、その後、学校となると思います。

九条の表現で気になるのは、
「いじめを行うことのないよう、規範意識を養うための指導(等)を行うよう
努める」という部分です。
確かにそういう一面はありますが、保護者が優先して行うべきは、社会規範とし
てというよりも、いじめを受ける人間の感情を思いやり、ある意味倫理観として、
情操教育として、いじめを「悪」と認識するよう、「教え育む」ことにあると考
えます。
規範としての指導は、学校・教師の領域のことと思います。
もちろん、保護者に求める情操教育は、学校教育でも行われるべきですが・・・。

ただ、この情操教育は、本法を適用する学校だけで留まるものでなく、むしろ、
保育・幼稚園教育で、教え育むことも重要と考えます。

「無邪気」な時期と見過ごされる、幼児期から、小さな子や弱い子をいじめる
性向がある幼児は、学童に成長する前段階でいじめる性質・性格が形成されてい
ることも多いと考えるからです。

ところで、すべて学校に責任を負わせることが困難なことは、誰が考えても明ら
かです。
警察の捜査権限を、学内の事、児童生徒の行動に及ぶ場合、教師にも与えるか・・・。
教育の範疇から外れるその課題は、当然、非現実的と議論にはならないでしょう。

刑事事犯の可能性がある場合、学内への警察の介入を認めるか、否か・・・。
そろそろ検討されてもよいのでは、と私は思うのですが・・・。

もう一つ感じることは、高校生は、保護者の責任を問うレベルではないのでは、
ということです。
15歳以上は、少年法ではなく、成人と同様に刑事事犯の責任能力が問われるべき。
その事犯の重大性と刑事罰の適用を受けるいじめという犯罪を、理解・認識すべ
きことを中学・高校のカリキュラムに定型として組み入れておく・・・。

もちろん、いじめを受ける側の感情や苦痛などは、なかなか定量化・実証化しず
らい問題はありますが、いじめのない社会を形成するためには、そこまで踏み込
んで、議論検討すべき状況にあると考えます。

008

次回、「第二章 いじめ防止基本方針等」を取り上げます。

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