えこ

再生可能エネルギー

太陽光発電買い取り価格下落を背景とした中古市場ファンド・ビジネスと家庭用蓄電池導入動向

2016/5/12付日経に、太陽光発電行政をめぐり
「蓄電池に新補助金 経産省検討 家庭用、安いほど厚く」というテーマの記事が
ありました。

実は、ちょうど一カ月前
2016/4/12付同紙に
「太陽光 新ビジネス拡大 「中古市場」登場・蓄電池貸し出し 背景に買い取り価格下落」
という記事がありました。

太陽光発電の高い固定買い取り価格自体が、失政であったと私は考えており、この
問題に関心を持っています。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
【再生可能エネルギーの買い取り制度】とは?

政府が認定した太陽光発電所などの設備でつくった電気を電力会社に固定
価格で一定期間買い取るよう義務付けている。
買い取り価格は再生エネの普及に向けて高めに設定されてきた。
負担は家庭や企業が支払う電気料金に上乗せされている。

太陽光など再生エネの導入に伴う国民負担は16年度に標準家庭で月675円で
15年度(474円)から4割増える。
経済産業省は国民負担を抑えるため、買い取り価格の引き下げとともに制度
見直しも進めている。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

(これまでの当ブログで太陽光発電について、かなりの頻度で追いかけてきており、
そのラインアップは、こちらでチェック頂けます。)

要は、高い買い取り価格が国民に負担を強いている現状からいかに早期に脱却し、
環境問題とコスト問題、両方に貢献できるエネルギー行政を実現するか。
今後は、ここに目的・方針が集約される必要があります。

この視点から、2つの記事を見て、方向性を理解しておきたいと思います。

まず、5月11日の経産省からのリークを元にした以下の記事です。

-------------------------------------

経済産業省は太陽光発電でつくった電気をためる家庭用蓄電池の購入者向けに、
新たな補助金の創設を検討する。
品質基準を満たしていれば価格の低い製品ほど補助額を増やす仕組みとし、メ
ーカーに価格の引き下げを競わせる。
2017年度に導入し、高価格が妨げとなっている家庭用蓄電池の普及を促す。

 蓄電池はパナソニックやNEC、京セラなどが手がける
 一般的な蓄電容量7キロワット時ほどの製品で150万円程度と高額のため普及
が遅れている。
 国内の設置は数万世帯にとどまっているとみられる。
 経産省は20年に1台70万円程度と半額以下に引き下げたい考え。

 現在は製品価格にかかわらず1キロワット時あたり5万円の補助金を出して
いるのを、17年度から価格が安いほど手厚くするしくみに切り替える。

 低価格化に向けたメーカーの研究開発を後押しし、販売台数の増加で価格が
さらに下がる好循環をめざす。
安全性などの品質基準を満たした製品だけを対象にする。

 家庭用蓄電池が普及すれば、太陽光発電の電気を蓄電池にためて必要なとき
に使えるようになり、電力会社から買う電気を減らせる。
 電気代の節約分が蓄電池の購入費を上回れば採算が合う。
 経産省は蓄電池が1台70万円程度になれば、購入から10年以内に元が取れる
とみている。

 政府が導入した太陽光発電の電気を電力会社に高い値段で10年間買い取らせ
る制度は09年に始まり、19年から期間が終わる家庭が出てくる
 終了後は余った電気を安い値段でしか電力会社に売れなくなる
 維持費用のかかるパネルを処分する人が急増する懸念があり、経産省は売電
しなくても蓄電池を使って採算が合うようにする。

ele4
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要するに、家庭での太陽光発電の高い固定価格買い取りの有利性がなくなるの
が2019年。
そこから家庭での太陽光発電が急激になくなることを防ぐために、蓄電池の低
コスト化とその蓄電池の家庭での購入を促進し、自家消費や売電の継続でエネル
ギーコストの安定に結び付けよう、というものです。
課題は、そのコストが、利用者サイドから一層低下する、安くなること。
それにつながるものでなければ、意味がありません。

もう一つ。
先月の記事を一部加工して、以下に紹介します。

------------------------------------

1.<太陽光発電の「中古市場」向けファンド設立の動き>
リース会社などが新たな太陽光ビジネスに動き始めた。

2012年度に始まった政府の太陽光の買い取り制度では価格下落が続き、
新たにパネルを設置するだけでは、もうけが出にくくなっている。
各社は過去に政府が買い取り対象として認めた既存設備を買い取るなど
して、利益の確保を目指している。

 三菱UFJリースの子会社、MULエナジーインベストメントは今夏に
も、ほかの事業者から太陽光発電事業を買収する数百億円程度のファンド
を設立する。
資金は銀行など機関投資家から募り、政府が過去に買い取りの対象と認め
た設備を買収して運営する。

 過去の設備は保守点検などに手間がかかることから事業者が嫌気して手
放すケースが増えている。
いわば「中古市場」を使って事業を買い取ろうとしている

 三菱総合研究所も三菱UFJモルガン・スタンレー証券と組んで500億
円規模のファンドを近く設立。
保守点検をする電力大手傘下の工事会社などと連携すれば利益が出せると
みる。

 近年、買い取り制度を前提とした太陽光事業は有望な投資対象として広く
注目されてきた。
太陽光による売電の収入が株式や債券と比べて安定的に高い利回りが期待で
きたからだ。

 政府は増え続ける国民負担の抑制に向け、企業向け太陽光の買い取り価格
を12年度の1キロワット時あたり40円から19年度に大口向け電気料金と同じ
17~18円程度に下げる見通し。
家庭向けも12年度の42円から19年度に24円程度にする。

 ただ過去に買い取り対象として認められた設備では、政府は基本的に同じ
価格で電気を買い続ける。
各社は過去に高めの買い取り価格が認められた設備の運営を引き継げば、安
定した利益を確保できるとみている。

2.<家庭向け太陽光発電パネルと蓄電池貸し出しビジネスの動き>
買い取り制度からの脱却を念頭に置いた動きも出てきた。

    オリックスがNECなどと設立した「ONEエネルギー」は昨年、家庭の
屋根などに設置する太陽光パネルと、電気を一時的にためることができる小
型の蓄電池をセットで貸し出すサービスを始めた。
今はタマホームと組んで事業展開しているが、今後は提携先を増やす計画。

 電気を電力会社に売るのではなく、自家発電に活用することで電気料金を
引き下げる狙いがある。
   太陽光の買い取り価格が一段と下落しても影響を受けないようにすること
で、事業の安定につなげる。
ソラーパネル2
-------------------------------

ということで、今後の流れが、うっすらと、少しは具体的に見えてくるよ
うな感じがします。

要するに、太陽光発電が、一過性のブームに終わることなく、本来の目的
である再生可能エネルギーを、社会システムとして安定的に、成長・定着さ
せていくための取り組みが欠かせません。
そのための種々の動きがあることを理解し関心を持ち、国の政策を注視し
ていく必要があるわけです。

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