地方9

介護

存在感が薄い地方議会と地方議員の職務怠慢:『地方議員の逆襲』から(2)

当ブログのカテゴリーの一つが<地方>。
地方創生・地方再生問題を多面的に捉えて、その在り方を考えていくもの
です。

これまで『ローカル志向の時代』『地方創生の正体』の2冊を参考にして
のブログシリーズを投稿してきています。
⇒ 『ローカル志向の時代』から
⇒ 『地方創生の正体』から

ただ、これまで地方創生・再生問題を考えるとき、必ず、国の政治と地方
自治体の行政の在り方と関連させて考えることが不可欠であることを確認
させられています。

加えて、兄弟ブログとして運営する<世代通信.net>でテーマとしている
保育や介護問題等が、同様に、国の政治や地方自治体行政と関係付けて
考えられるべきことを、増々認識させられています。

そこで、示唆に富む最新刊『地方議員の逆襲』(佐々木信夫氏著・2016/3/20刊)
を参考としながら、地方創生と地方自治・地方行政とを関連付け、合わせ
て国と地方の<政治>についても考えていくことにしたいと思います。

第1回:保育・介護など身近な問題を地方自治・地方創生との関連で考えていく

今回は、第2回です

-------------
 はしがき(2)
-------------

 知事、市町村長らはあくまでも執行機関だ。
二元代表制下での決定機関は議会であり、様々な職層、地域、性差などを代表
するのは公選職の議員からなる地方議会である。
なぜ、住民が感心するような、個性的な提案が地方議員の手によって行われな
いのか。
それまでの箸の上げ下ろしまで中央官庁が差配する中央集権化の自治体と違
い、2000年の分権改革以後、地方議会は自治体の条例、予算、主要契約など
経営の基本事項の決定者になっているのに、である。

各省大臣→知事→市町村長という国の指揮命令系統に組み込まれ、国の機関
委任事務の処理に8割近くのエネルギーを費やしてきたのが、戦後半世紀以上
続いた中央集権化の自治体だ。
 その環境は2000年4月以降、地方分権一括法が成功されて変化したはずだ。
 大臣→首長というタテの執行機関ルートでの指揮命令に従わされ、意思決定
から事実上排除された地方議会。
 それが、地方自治の主役へと立ち位置が変わったのである。

 にもかかわらず、旧態依然とした活動が目立つ。
 そうこうしているうちに、地方議員のなり手すら減り始め、無投票の選挙区
が3割に達する始末。
 2016年から政治参加の資格を18歳まで引き下げ、240万人の若者が政治に参
加できる状況が作られたのに、事態は逆の方向に動いている。
 地方議員のなり手がなく、地方議会がうまく機能していない、それを地方民
主主義の危機とするなら、これを放置したらこの国は亡びる。

 私たちの生活に関わる公共サービスの約3分の2は、都道府県、市区町村と
いう地方自治体から提供されている。
 その地方自治体の意思決定者は、地方議会だ。
 ひとつの国の中で、これほど地方自治体の活動量(ウェイト)が大きな国は、
カナダと日
本ぐらいである。
 それほど自治体の影響力の強い国であるにもかかわらず、肝心の地方議会が
政治の中心になっていない。
 議会制民主主義が根のところから枯れている。

 首長は時々目立つ存在が現れるが、地方議会と地方議員の存在感は薄く、住
民たちの関心も低い。
 たまに関心を呼ぶのは、号泣議員、セクハラ議員、暴力議員など地方議員の
不祥事ということになる。
 これを例外的なものとみる見方もあるが、地方議員の劣化が著しくないか。
 少なくとも住民からすると、地方政治への信頼が足元から崩れている感が強い。
 人口が減る時代へ、地域は総力戦で地方創生に取り組むべきなのに、こうし
た状況ではこの国の行く末は危うい。
 高等教育も普及し、歴史上、教育水準が最も高まった日本である。
 地方が蜂起できないはずはない。

※次項に続きます。

地方2
------------------------------

私たちの生活に関わる公共サービスの約3分の2は、都道府県、市区町村と
いう地方自治体から提供されている。
 その地方自治体の意思決定者は、地方議会だ。
 それほど自治体の影響力の強い国であるにもかかわらず、肝心の地方議会が
政治の中心になっていない。」

この文章を読むと、介護・保育をめぐる問題の改善・改革が、より自治体主導で
進め得る余地があるものが、なかなかそうはいっていないことが思い浮かびます。
すなわち、議会自体のその問題への関与が弱いのではないか、と・・・。

利用者の声、現場の状況が、まず議員に伝わっておらず、関係する行政の窓口に
も伝わっていない。
なにかしらの事故・事件が、どの地域かで起きれば、ようやく国がその実態の把
握を自治体に指示・要請し、それに自治体が応じる。
そして時間差で、付け焼刃で、数字合わせの対応に終始する。

施設にも人にも、時間を要するコトばかりのはずが、あるべき、期限付きの政策・
計画がないばかりに、一層、一時的な一過性の方策に走ることで、一層、根本的な
改善・改革から遠ざかってしまう。

これは、行政の責任だけでなく、議会・議員の職務怠慢にも拠るのではと感じる
のですがいかがでしょうか・・・。
048

 

※次回、「はしがき(3)」です。

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【『地方議員の逆襲』構成】
はしがき
第1章 なぜ、地方議員が問題なのか
第2章 地方民主主義と地方議員 
第3章 地方議員の待遇
第4章 地方議員と選挙
第5章 地方議会、地方議員は変われるか
第6章 地方議員の政策形成入門
第7章 「大阪都構想」と地方民主主義
終 章 地方からこの国を新しくする

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