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政治・社会経済

ポスト「プリウス」で重大な遅れ:トヨタのエコカー戦略の不安とZEVクレジット負担

2016/6/11 付日経の【真相深層】欄
かねてから気になっている課題についてのレポートがありました。
「米規制 プリウス翻弄
カリフォルニア州で「非エコカー」に トヨタ、世界戦略に影?」
という見出しの以下の記事です。

-------------------------------

トヨタ自動車が誇る「環境車メーカー」の看板が米国で揺らいでいる。
最大市場のカリフォルニア州でハイブリッド車(HV)への燃費規制が
2018年に向けて強化され、旗艦車「プリウス」がエコカーではなくなる
優遇するのは排ガスを出さない電気自動車(EV)。
世界が倣う米規制でのつまずきはグローバル戦略にも影を落としかねない。

 「こんなに稼いでいるのか」。
EVベンチャーのテスラ・モーターズ。

 イーロン・マスクCEOが4年後の100万台生産計画をぶちあげた5月
決算会見で、自動車業界の関係者が台数以上に注目したのは5700万ド
(約62億円)の「ZEVクレジット」収入だった。

 「Zero Emission Vehicle(排ガスゼロ車)」
意味するZEVは、加州が自動車メーカーに一定割合の販売を義務付けて
いる。

 環境に優しい電気駆動の車の普及が狙いで、達成できないメーカーは罰
を払うか、他社からクレジットを買う必要がある。
 テスラはたまったクレジットを売ることで赤字体質の収益を補完してきた

テスラ

<販売台数24%減>

 米国最大の車市場である加州ではどのメーカーもZEV規制を意識する。
 実はそこで苦戦を強いられているのが日本では環境イメージの強いトヨタ。
 1990年施行の規制は段階を経て厳しくなり、12年には18年以降のHVを
ZEVとして扱わないことが決まった。
 プリウスも例外ではない。

 影響はビジネスに直結する。
 まず州の高速道路のエコカー専用渋滞回避レーンでの走行が11年7月から
HVはできなくなった。
 渋滞が多いサンフランシスコなどの消費者にとっては致命的で、プリウス
人気は低迷した。
 原油安も加わり、新型を含めたプリウスの1~5月の販売台数は前年同期
と比べて24.9%のマイナスだ。

プリウス

 HVの販売不振にあわせて獲得クレジットも減る。
 トヨタは18年以降を見据えクレジットの貯蓄を始めたとされるが、15年に
は初めてクレジットの買い手に転落した。
 トヨタは規制を緩和するよう当局への陳情を繰り返したが一切聞き入れら
れなかったという。

 加州がそこまで排ガスゼロにこだわる背景には、公害に悩まされてきた
域の歴史がある。

 40年代のロサンゼルスでの光化学スモッグ対策が自動車規制の発祥だ。

 今のZEV規制は、大気汚染とそれに伴う健康被害への対策に、温暖化
題が加味された

 加州大気資源局(CARB)のアルベルト・アヤラ副局長は「HVは燃費
面で優れた技術だが、有毒な排ガスを出している時点でダメだ」と言い切る。

<国際基準に>

 見逃せないのは加州の規制がグローバルでのひな型になりつつあること
 連邦法に基づき、他州はCARBの規制をそのまま導入してもよい。
 ニューヨークやコネティカットなど東西9州が連合を組み、これだけで
新車市場の3割をカバーする

 さらにドイツやノルウェーなど加州を参考にEV優遇の規制を導入する
国も出てきた。

 トヨタも無策でいるわけではない。
 米国で15年に販売が始まった燃料電池車(FCV)「ミライ」はEV同様
に排ガスゼロで加州の要望を満たす。
 だが現時点で州内の水素充填インフラは18基だけで普及には時間がかかる
 ニューヨークなど他州でのインフラ整備の本格化は17年以降だ。

ミライ
その間隙を縫うようにEVではテスラが台頭、ゼネラル・モーターズ(GM)

も年内に1回の充電で200マイル(約320キロメートル)走行する大衆向け
EVを出す。
 HVのプリウスが世界に先駆けた00年とは異なり、今のエコカーを巡る競
環境はかつてなく厳しい。

 ただ、歴史を振り返れば自動車の技術の進化は規制の強化と裏腹でもあった。
 70年代、米国が制定した厳格な排ガス規制「マスキー法」はホンダなどの
低燃費車の開発を後押しし、結果として同社の米国進出を助けた。

 今後の規制の道筋について、CARBは「50年にZEV比率を100%にする」
と宣言している。
 トヨタが今を危機と見なすか好機と見なすか。
「環境車メーカー」の腕の
見せどころである。

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「腕のみせどころ」などと悠長なことを言っている場合ではないと私は
思うのですが・・・。

究極の二酸化炭素フリーの水素社会を創造する尖兵となるべきFCVミライ。
構想・コンセプトは素晴らしいのですが、環境規制強化を想定した、ポスト
プリウス対策の展開のスピードが遅過ぎる・・・。

このままのスピードでは、これから10~20年スパンでは、テスラの一人勝ち
になる可能性が高まっていると感じます。

自動運転・AI対策などの強化の方が目立つトヨタの最近の動き。
この領域でも、他社に主導権を握られると、将来の不安も高まることに・・・。
あれも、これも同時進行で、というのはどれもグローバルレベルのことで大
変ですが、グローバル企業としての宿命であり、使命でもあること。

いよいよ経営陣の進化が問われるフェーズに入ってきています。
頑張って欲しい~!

エコ

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