ゴジラ1

原発問題

「原発」というテクノロジーの意味を考えるべき:『さらば、資本主義』から(2)

今年(2016年)6月に<資本主義>と名がつく3冊の新書を読みました。
◆『資本主義の終焉と歴史の危機』(2014/3/14刊)
◆『さらば、資本主義』(2015/10/16刊)
◆『ポスト資本主義――科学・人間・社会の未来』(2015/6/20)

どちらも、現在の資本主義が限界を呈し、新たなフェーズに入るべき時代にある
という認識を持ち、これからどのような社会を目指すべきか、を問いかける内容と
なっています。

3冊とも、非常に示唆に富む内容で、これからこのブログで取り上げたいと思って
いますが、まず『さらば、資本主義』(佐伯啓思氏著)からシリーズ化することに
しました。

第1回目は、「まえがき」の一部を抜粋した
資本主義の終焉、さらば資本主義、ポスト資本主義。これからどうなる資本主義
でした。

今回から「第1章 今こそ、脱原発の意味を問う」に入ります。
その第1回(通算第2回)です、

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 第1章 今こそ、脱原発の意味を問う(1)
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<ゴジラを平和利用する>

(出だしから恐縮ですが、冒頭部分を省略します。)

 別に因縁めくわけでもないのですが、実は、ちょうど日本でゴジラが誕生した
その同じ1954年に始めて国会に原子力研究開発予算が提出されています。
 翌年には原子力基本法が成立し、その翌年には日本原子力研究所ができました。
 原爆や核を象徴する初代のゴジラが海洋深く沈められたその時に、日本の原発
計画は誕生したのでした。

 ゴジラの平和利用はともかく、「原子力の平和利用」から60年ほどがたち、
2011年3月11日の原発事故から4年がたちました。
 そして、未だに原発政策は確定されません。
 あれこれと論議はでてくるのですが、まったく決定不能に陥っているようです。

 これは政治の問題ではありません。
 われわれが確たる判断を下すことができなくなっているということでしょう。
 判断を下すには一定の価値観が必要であり、将来の社会像を描かなければなり
ません。
 しかし、それを描くことができず、価値観を共有できないのです。

 推進派はいいます。
 原発を止めると電力不足に陥り、電力コストは上昇し、日本経済の国際競争力
が低下する、と。
 一方、脱原発派はいいます。
 これだけの大惨事を招いたのであるし、地震大国でもあるわが国において原発
などもってのほかだ、と。

 どちらも決定的な言い分とは言えません。
 推進派はただ、このグローバル世界の経済競争しか念頭になく、脱原発ははい
ささか情緒的な反応に終始しており、話がかみ合わないのです。
 そこで例によって本格的な決定は先送りされ、またうやむやになってしまう。

 現実的に考えれば、私には、さして選択の余地などないと思われます。
 そもそも脱原発か推進かという単純二分法がおかしいのです。

 次のように考えるほかないでしょう。
 短期的にいえば、安全性の確認できる最低限のものは再稼働して電力確保に努
める。
 しかし中・長期的にいえば、将来の日本経済の状況や代替エネルギーの状況を
見ながら脱原発へ向かう、というものです。
 あくまで漸進的に減原発へ向かう、ということです

 確かに原発はひとたび事故となれば未曽有の事態を招来するあまりにリスクの
高いエネルギーですが、同時にまた一気に脱原発に突き進むのにもリスクがあり
ます。
 経済の悪化だけではなく、将来のエネルギー自給と多様性からしても最低限の
原子力技術まで放棄するわけにはいかないからです。
 しかもやめたとしても廃炉まで40年以上かかるのです。自動車のごとくスイッ
チを切れば止まるというようなものではありません。

 現実的にいえば、これ以外の答えがあるとは思えません。
 後は、政治的決断と実行力だけでしょう。

 しかし本当の問題はそこにあるのではない。
原発」というテクノロジーが何を意味しているのかをわれわれは少し考える必
要があるのではないでしょうか
「原発」の誕生によって、何かこれまでとはまったく違う世界へ突入してしまっ
たのではないでしょうか
 そのことを考えてみたいのです。

原子炉
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単純に、単線思考で「脱原発」を主張するのでなく、現実的には「減原発」を進めて
いく。
確かにそういうことと思います。
そして、合意形成されているわけではないですが、何となく空気としてそうなってい
くのだろうな、という感覚はある。
しかし、まったくそのスケジュールが現実化されない、される見通しがない。

まさに、スイッチの入れ・切りでことが済むはずがないので、漠としつつ、企業論理
のほうが、財政的収益的にもプラスなので、ズルズル時間が流れている・・・。

そこで視点を、「原発」というテクノロジーが何を意味しているかを考えてみること
を筆者は提案します。

さて、どんな議論を展開していくのでしょうか・・・。

ゴジラ岩

次項、<脱原発は気楽な選択なのか>に続きます。

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【『さらば資本主義』構成】

まえがき
第1章 今こそ、脱原発の意味を問う
第2章 朝日新聞のなかの”戦後日本”
第3章 失われた故郷をもとめて
第4章 ニヒリズムへ落ち込む社会
第5章 「グローバル競争と成長追求」という虚実
第6章 福沢諭吉から考える「独立と文明」の思想
第7章 トマ・ピケティ『21世紀の資本』を読む
第8章 アメリカ経済学の傲慢
第9章 資本主義の行き着く先
第5章「がまん」できない社会が人間を破壊する
あとがき

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