津バイオマス産業都市構想

再生可能エネルギー

広がるバイオマス発電。高い固定買取り価格制に依存しない発電・販売事業を!

 再生可能エネルギーのひとつとして、まだまだ規模的にはマイナーもマイナーなので
すが、バイオマス発電が増えてきています。

 順序が逆ですが、最近の新聞報道によるバイオマス発電への参画事例を2つ紹介します。

 はじめに、2016/8/3付中日新聞
「バイオマス発電所、津で本格運転開始 JFEエンジニアリング」から

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 JFEエンジニアリングは8月2日、津市の津製作所内で、ヤシ殻や木質チップを燃料
とするバイオマス発電所の本格運転を始めたと発表した。

 発電した電力は、同社100%出資の新電力会社アーバンエナジー株式会社などに売電
年間36億円の売上高を見込む。

 日本政策投資銀行などと共同で設立した「グリーンエナジー津」が建設し、総事業費は
約90億円。
 年間発電量は約15万8千メガワット時で、一般家庭の約4万4千世帯分の電力を供給する。
 マレーシアやインドネシア産のパームヤシ殻のほか、三重県産などの国産木質チップを
燃料に使う

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ちょっと着目しておきたいのが、同社のプレスリリースで見た以下の点です。

この発電所では、循環流動層ボイラ(CFBボイラ)を用いてPKS(パームやし殻)や木質
チップなどのバイオマス燃料を燃焼し発電する。
 燃料は「バイオマス産業都市構想」を掲げる津市の協力を得て、地域資源である未利用
間伐材等を積極的に利用する予定で、地域創生に貢献していきます。

 この「バイオマス産業都市構想」とは、
 津市内の3つのゾーン(都市、農住、自然環境共生)から発生する未利用・廃棄物系バ
イオマス(木質系、食品廃棄物、下水汚泥)と4つの事業化プロジェクトを組み合わせ、
クリーンエネルギー産業と雇用の創出を図り、環境にやさしく住みよいまちを目指すと
いう構想。

とありました。(但し、起点は農水省です。例の真庭市も認定されています。)
⇒ 参考PDF
輸入原料に頼るだけでは、あまり意義は感じられないのですが、こうした地域との協業
で運営されることは望ましいことと考えます。
他地域でも展開が可能になるようなモデルを構築してほしいですね。

もう一つは、2016/7/29付日経の
「太平洋セメント、バイオマスで売電参入。廃棄物を燃料に 東京五輪後の収益源」
というもの。
軸であるセメント事業からの転換を視野に入れた取り組みが興味をひきます。

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 太平洋セメントはバイオマス(生物資源)発電による売電事業に参入する。
 岩手県に235億円を投じて発電設備を新設し、新電力大手のイーレックスに販売する。
 廃棄物を燃料にする技術を開発しコスト競争力を高める。
 主力のセメント事業は東京五輪の特需が見込めるが、2020年以降の需要は不透明だ。
 国の買い取り制度を利用して年間110億円程度の売り上げを想定しており、五輪後の
安定収益源とする

 8月に電力卸売りの子会社を設立する。資本金は40億円。
 この子会社が大船渡工場(岩手県大船渡市)の敷地内に発電プラントを建設する。

 発電能力はバイオマス発電として国内で最大規模となる7万5000kWで、2019年秋に
稼働させる計画。
 発電した電力は国が定めた再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)の
価格で全量をイーレックスに販売する。

 燃料にはパームヤシ殻や、低価格のパームヤシ空果房(EFB)を使う。
 EFBはパーム油を製造する際に残る房で、水分や不純物が多い。
 これまでは燃料としての利用が難しく廃棄していた。

パームヤシ

 太平洋セメントはEFBの加工技術を独自に開発して燃料として利用できるようにし
た。パームヤシ殻は発電用の需要が増えて値上がりしているが、EFBの採用で発電コ
トを削減する。

 太平洋セメントは15~17年度に約1000億円の成長投資を計画している。
 今回建設するバイオマス発電設備は、この4分の1を占める規模。
 一方でセメント事業では過去10年、200億円を超す設備投資は無い。

 同社は運転期間が40年を超えた火力発電設備をバイオマス発電設備に変更する検討も
始めた。
 藤原工場(三重県いなべ市)と大分工場(大分県津久見市)の設備切り替えを視野に
入れている。

バイオマス発電所を新設する太平洋セメントの大船渡工場(岩手県大船渡市)
※バイオマス発電所新設の太平洋セメント大船渡工場
記事中の画像をそのまま使用しました。

^^^^^^^^^^^^^^^

<内需企業が担い手 市場縮小で活路求める>

 国内のセメント市場は縮小が続いている。
 セメント協会によると2015年度の国内需要は前年度比6.3%減の4266万トン。
 2年連続のマイナスで、28日に公表した4~6月の需要も前年同期を6.7%下回った。
 20年の東京五輪に向けて特需が見込まれるが、五輪後には反動減も予想されている。

 各社は海外市場に活路を求めているが、セメントは現地の建設業者との関係が重視
される地域性の高い製品だ。
 15年に米国のセメント企業から工場を買収した最大手の太平洋セメントでさえ、海外
売上高比率は25%にとどまっている。

 一方でバイオマス発電事業は固定価格買い取り制度によって長期にわたり安定した
収入が見込める。
 生産設備の停止が命取りになるセメント各社はもともと自家発電設備を使っており、
これまでに培った発電設備の運用ノウハウもいかせる

 バイオマス発電には内需型の企業が相次ぎ参入している。
 王子ホールディングスと三菱製紙は青森県に木材チップなどを燃料にした発電所を建
設し、大王製紙はパルプ製造時の廃液を使う発電所を愛媛県に建てる計画。
 産業ガスのエア・ウォーターは20年に福島県でバイオマス発電所を稼働させる。

 セメント、紙、産業ガス。いずれの産業も国内市場の縮小が経営課題になっている。
 バイオマス発電は内需型の製造業が収益を確保する一つの手段になりつつある。

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再生可能エネルギーとしてバイオマス発電に力を入れるのはいいですが、その動機が
主に高い固定買い取り価格制にある、ということでしたら、いささか動機が希薄で不純?
です。

基本的には、発電コストの低減に継続的に取り組むことは不可欠であり、それにより
電力価格の低減にも寄与できるというのがあるべき形。
まして、多くがバイオマス発電の注力すれば、パームヤシ殻など輸入に頼る原材料価
格が上がることも想定しておく必要があります。
それを、高い買い取り価格制度に依存してのまざるを得ないようですと情けない話で
す。
太平洋セメントの場合、まだ安い価格の歩留まりが悪い原材料を自社で高める技術を
開発した点が評価されますね。

とまあ、外野からですが、こんな心配もある、ということで・・・。

木8

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