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エネルギー問題

2015年度、国内の風力発電能力6%増。手のひら返しで買い取り価格を安く

現状の再生可能エネルギーそれぞれの、電源構成(エネルギーミックス)にお
ける構成比の変化・状況などが、四半期単位くらいで発表されると良いと思うの
ですが、どこかで発表されているのでしょうか。

太陽光発電に傘を掛け、風力発電にフォローの風を送り、次に地熱発電に熱を
上げさせる・・・。
結局魂胆は、原始、いや、原子の世界に戻らせる・・・。

電力の小売自由化も実質的自由度が不足し、市場・事業者・利用者が電力行政に
振り回されている・・・。

そうした動きを、数回また追いかけてみようと思います。

今回は、2つの日経記事から。

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国内の風力設備、発電能力6%増 昨年度末、NEDO調べ(2016/8/19)
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新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は8月18日、2015年度末の
国内の風力発電設備の発電能力が約311万7千kWと発表。
 14年度末に比べて6%増。
 都道府県別で最も発電能力が大きいのは青森県で、次いで北海道、秋田県。

 国内の出力20kW以上の風力発電所についてまとめたもの。
 15年度末時点の風車の設置基数は2102基。

風力累積

 15年度の新設風車は85基で合計出力は18万690kW。
 23万kW分の新設があった14年度からは導入ペースが鈍化した。
 一部の発電所の稼働が16年4月以降にずれ込んだことが響いた。

風力年次

 再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度を追い風に、国内では風力発電所の
新設計画が相次いでいる。

 日本風力発電協会は20年代前半に国内の風力発電設備の能力が累計100万kWに
なると予測している。

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と、まずまず順調に発電事業への参入と発電量の増加傾向が見られている報告。
ポスト太陽光発電として強化される政策が打ち出されていたはずです。
強化される大型風力発電への期待と懸念:電力行政を巡る課題

しかし数日後、2016/8/21 付日経に
「風力発電の買い取り価格安く
経産省、来年度1~2円下げ検討 家計負担軽減狙う 太陽光に続き2例目に」
と、送ってきた風を止めるような政策転換を報じました。

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経産省は再生エネの普及のため、国が認定した太陽光や風力、地熱、中小規模の
水力、バイオマス発電の電気を12年度から電力大手に高値で買い取らせている。
 再生可能エネルギーの買い取り価格を議論する同省の有識者会議で今秋から検討
し、年内にも新たな価格を決める。
 主に電気料金に上乗せされる買い取り価格を下げ、家計負担が増えるのを防ぐ目
的で、風力発電の電気を買い取る価格の引き下げも検討する。

 出力20kW以上の大規模な風力発電は、制度の導入時から1kW時22円で20年間買
い取る条件を据え置いてきた。
 2017年度の新規分から初めて1~2円下げ、数年後には2割ほど安い17~18円ま
で下げる考えだ。太陽光発電に次いで過度な優遇策見直しの2例目となる。

  風力発電は風向きや風速によって発電量が変わる。
 設備の大型化や風車を回す技術の進歩で発電効率が高まり、数年前に比べて同じ期
間で2~3割多くの電気をつくれるようになった。
 事業者の実入りが増えるぶん価格を下げて適正化する。

 買い取り価格は電気料金に上乗せされて家庭や企業が負担している。
 16年度の上乗せ額は標準家庭で月675円と、66円だった12年度の10倍だ。

 買い取り実績から675円の内訳を推計すると、太陽光が8割強、風力とバイオマス
がそれぞれ1割弱を占める。
 いまの買い取り価格を維持したままでは、風力発電の新設が続いた場合に家計の
負担を大きく押し上げる恐れがある。

買い取り価格
※記事中の資料を転載させて頂きました。

 国内では固定価格買い取りを活用し、大型の風力発電所を新設する計画が相次い
でいる。高値での買い取りが保証されているため、コストを減らす努力が不十分と
の指摘
もある。

 買い取り価格の引き下げには、欧米の風力発電事業者に比べなお高い発電コスト
の抑制を促し、日本勢の海外展開を後押しする狙いもある。
 風力発電は国内の総発電量の1%にも満たない。
 30年度時点で1.7%程度を賄う目標の達成にはさらなる普及が欠かせない。

 経産省は買い取り価格の引き下げで風力発電の新設にブレーキがかからないよう
にするため、事業者に対する減税や補助金といった支援策は続ける考え
 風力発電業界や自民党内などには買い取り価格の維持を求める意見も根強い。
 経産省はこうした声も踏まえて慎重に検討する。

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なにか、ああ言えばこう言う、的に、事業者サイドにすべて責任があるかのように
して、手のひらを返すような政策を出してくる経産省。

初めから買い取り価格を、ある意味法外な高さにし、消費者に価格転嫁しておいて、
コストダウンに努めない事業者の退場を促す、半ば強制する、みたいな感覚です。

「過度な優遇策」を設定導入したのは、だれか?

もちろん、発電事業者のコストダウン努力は、経営上必須のこと。
価格上乗せは、元々は、原発等電力行政の誤りに起因するもの。
事業者の職務怠慢でなく、経産省の制度化のミスなのです。

発想を変えれば、上乗せ価格分は国民に転嫁せず、国が負担する制度にできないこ
ともないのですから。

太陽光にしても、風力にしても、どの再生可能エネルギーも、発電および販売コス
ト低減の経営努力は、当たり前のことで、記事中にあるように、何年までにいくらに、
という買取り価格目標額を当初から提示することも考えるべきだった・・・。

そして、当然、そのプロセスで、企業努力により、より安価に販売する事業者が出
てくるのを想定し、電力自由化の流れと整合させる・・・。

根本的に、高い買い取り価格制に基づく「電力小売り自由化」というのは矛盾して
いるわけですから。

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次回は、別の電源の話です。
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<固定価格買い取り制度とは?> 
太陽光や風力などの再生可能エネルギーでつくった電気を電力大手が一定期間ず
っと同じ価格で買い取るよう国が定めた制度。
 あらかじめ買い取り価格を決めておくことで発電事業の収益性を見通せるように
し、事業者の参入を促す。2012年7月に導入した。

 価格と期間は再生エネの種類で異なる。
 買い取り価格は家庭や企業の電気料金に上乗せして回収する。
 16年度の上乗せ総額は1兆8025億円の見通し。標準家庭で月額675円になる。

 

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おまけですが、風力発電の都道府県別データです。
0の県がいくつもあるんですね。
県内のどこにも風力発電風車がない!
面白いデータです。

風力県別

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