電柱1

環境・エネルギー

無電柱化は国費で実施し資産を国有化。送配電料と電力料金の低減へ

太陽光発電に傘を掛け、風力発電にフォローの風を送り、次に地熱発電に熱を
上げさせる・・・。
結局魂胆は、原始、いや、原子の世界に戻らせる・・・。
電力の小売自由化も実質的自由度が不足し、市場・事業者・利用者が電力行政に
振り回されている・・・。

そうした動きを、数回また追いかけています。
前回は
2015年度、国内の風力発電能力6%増。手のひら返しで買い取り価格を安く
政府が風力発電、事業化までの期間短縮:買い取り価格引き下げにどう対処するか
として、風力発電の冷遇?転換を取り上げました。

今回は、ちょっと別の2つの視点から日経掲載記事を紹介します。
一つ目は、2016/9/2付の以下の記事です。

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送電線の利用料 発電会社も負担 経産省検討、効率化促す(2016/9/2 )
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 経済産業省は電線など送配電網の利用料の一部を、発電事業者にも負担させる検討
に入った。
 電気を多く消費する都市部に近い発電所ほど利用料を安くし、送電コストの圧縮に
つなげる。
 電力自由化で各社が独自に発電所を整備する中で、効率的な発電網づくりを促す。

 経産省直属の電力・ガス取引監視等委員会の審議会が9月2日に議論を開始。
 2017年度末までに制度の詳細を固め、20年度からの導入を目指す。

 電線などの利用料は「託送料金」と呼ばれ、今は電気を販売する小売事業者が送配
電網を持つ大手電力に支払っている。

電線0
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なんとなく、二重取りではないのかな、と感じてしまうのですが・・・。

発電事業者としては、新たにコストが発生するわけで、恐らく、そのコストを上乗
せして販売事業者に卸すことになります。
その卸売りから電力を購入し、家庭や事業所に売電する新電力も、そのコストプッ
シュ分を販売価格に上乗せし、託送料金を負担する。

結局、そのツケは、利用者に巡ってきて、電力料金に上乗せする。
ここでまた、何のための電力小売り自由化だったのか、となるわけです。
電力大手の収入を増やすための政策でもあるわけです。

確かに、これまで送配電網を築き、その資産を保有するのは電力大手です。
しかし、それらは、利用者のコスト負担の上に蓄積し、保有できた資産です。
その資産は、電力事業者の共有インフラ財産というべき性質を持ち、公共資産に近い
ものとも言えます。
電力大手自体は、託送料金を負担する必要がないわけですから、その時点で、価格競
争力を不平等に持ち、加えて、そこからの収益化するアドバンテージも持ちます。

これも、本質的に電力自由化には程遠いという現状の一端です。
記事全般の説明は、まやかしであり、だれのためのものか、意味不明なのです。

電柱2
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もう一つの記事は、経産省主体・主導の政策でなく、国交省主導のテーマであるのが
珍しい、2016/8/19 付の以下の記事です。

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「無電柱化」加速促す 景観改善・防災へ国主導 政投銀通じ融資 予算増額へ
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 政府は2020年の東京五輪に向け、電線を地中に埋めて電柱をなくす「無電柱化」を
進める。
 国土交通省は2016年度補正予算で事業費を数十億円確保、国道の無電柱化などに使
う。
 財務省は日本政策投資銀行から、電力会社や通信会社に資金を貸し出す仕組みを新
たに設けて後押しする。
 無電柱化は景観の改善で土地の資産価値を高め、防災面でも効果が大きい。
日本の無電柱化は海外に比べ遅れている。
 国土交通省によると、14年度末時点の日本の都市の無電柱化率は、最高の東京23区で
7%、大阪市で5%。ロンドンやパリ、
香港はすでに100%に達している。
 だが日本は世界に遅れており、国主導で加速する。

無電柱率

 無電柱化は、国と地方と電線を管理する民間企業が費用のほぼ3分の1ずつを負担
して進めている。
 国と地方が公道の下に共同溝を作り、民間がその溝に電線を通す。
 だが電線管理者の負担分だけで1キロメートルあたり約2億円。
 電柱を使った電線と比べて約10倍のコストがかかる点が整備遅れの一因になっていた。

 財務省はこうした状況を踏まえ、財政投融資の仕組みを生かし、民間の資金繰りを
後押しする。
 財投債を発行し、低金利で調達した資金を政投銀に融資する。
 政投銀は最大5000億円の融資枠を設け、電線を管理する電力会社や通信会社に低金利
で長期の資金を貸し出す。

 さらに国費も積み増す。
 国交省は補正予算で得た事業費を使って国が管理する直轄国道の無電柱化に活用。
 地方自治体に配る「防災・安全交付金」も増額する方向で、地方での取り組みも促す。

熊本地震で倒壊した家屋や電柱(4月、南阿蘇村)
※熊本地震で倒壊した家屋や電柱(4月、南阿蘇村)
記事中の画像を転載させて頂きました。

民間のコストの高さだけでなく、地権者との調整に時間がかかるのも難点。
 地域住民の理解が得られないケースも多い。
 一方、東京都は20年の五輪開催を視野に無電柱化を加速したい考え。小池百合子都
知事は国会議員時代から取り組んでおり、7月の知事選で公約に掲げた経緯がある。

無電柱率2

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とあります。
であるならば、初めに取り上げた、配電網使用料問題と結びつけて、この電線の無
電柱化・地中化を国費で実施。
その資産を国有とし、使用料金を国の収入とする。
または、都道府県の保有として、収入源としてもよい。

但し、その利用料は抑制し(いずれ可能ならば無料化)、電力料金の低減にも結び
付ける。
こういう財政出動ならば、国民の理解賛同も得やすいでしょう。
そもそも地中に構築する社会的インフラは、私有でなく公有という発想と方式が適
切でしょう。
その施設は公道に付設することが多いでしょうし、私有地に付設する場合も、ある
程度法律で対応し、民間ベースで実施する場合の難題を軽減できるでしょうから。

国のレベルでの無電柱化率が一桁とは、なんとも貧弱で、恥ずかしい。
本当に電柱と電線がそぐ景観には、悲しさを感じることが多いもの。

ここで、国交省マター、経産省マターと縦割りで発想すれば結局なんの工夫も改善
も行われないまま。
仕事の改革は、官公庁の縦割り行政の構造改革から、というのが常なのです。
リーダーシップの問題と言い換えることもできるのですが、本来、国家公務員の意
識と能力、責任感・実行力なんです・・・。
真のエリートとは、改革企画実行力を持つ人、なのです、ぞ。

無電柱

 

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