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地方・観光

日々生産性向上に取り組みつつ、100年200年の計で営む林業経営:紀伊半島・速水林業

2016/9/5付日経【時流地流】コラム
「林業の「超長期思考」に学ぶ」
を紹介します。

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「間伐、林業というのは今から100年も200年も後のことをどう想像するかが大事」。
 紀伊半島の東部にある三重県紀北町で江戸中期から林業を営む速水林業
 その9代目である代表の速水亨さんはヒノキを主体とした人工林を案内しながらつ
ぶやいた。
 今の間伐で100年、200年後の木の育ち方や森の形が大きく変わるというわけだ。

 人工林には薄暗い印象があるが、速水林業の森は間伐を欠かさないため明るい。
 下草が生え表土が流出しない。
 その中に樹齢100年超の木々が残るエリアがある。
 100年の山を切ったときに一定の割合で木々を残すようにした。
「400年を超し法隆寺の補修工事に使ってもらう」というのが速水さんの夢だ。

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 こんな「超長期の思考」が新鮮に映るのは「今だけ、自分だけ」の思考がはびこるzからだ。
 例えば国の予算編成。
 2017年度の概算要求総額は101兆円と3年連続で大台を超した。
 日銀のマイナス金利導入で国債の利払い費が圧縮できるとみて省庁のタガが緩んだ。
 全国知事会が7月に「経済対策の策定に向けた緊急要請」をしたように、地方も国
に追随している。

 忘れてはならないのは日本の債務残高が膨張を続けていることだ。
 日本の債務残高は国内総生産の2.5倍に達し、先進国、日本の歴史の中で最悪な状況。
 後の世代のことを考えていれば、もっと財政の膨張にブレーキがかかるはずだ。

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 速水さんの言葉が重みを持つのは、激しい国際競争にさらされる林業の現場にいる
人の言葉だからだ。
 速水林業では木材価格の下落と人件費の上昇で、50年代にはスギ1立方メートルで
1日12人を雇えたのが現在は0.2人にまで減った。
 この間に生産性を60倍引き上げる必要があったことになる

 林業機械を社内で保守したり、植林時に人手をかけずに済む苗木を生産をしたりと、
同社の森には生産性を高める仕組みが至る所にある。
 生産性向上の努力を惜しまず超長期の思考も忘れない。
 人口減下で生き残りを探る地方企業が学べるヒントがある。

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 100年、200年の計を基に営む林業。
 その対極としての政治・財政問題に警鐘を鳴らしたかったのは分かりますが、
無駄なことは分かっているはずです。

それよりも、純粋に、この速水林業の取り組みを真摯に受け止め、私たちの社会
生活の種々の課題の多くが、このように長期的な視点・視座で取り組まれるべきこ
とを理解し、今後にあり方を考える上でヒントにしていきたいと考えたいと思い、
参考にすることにしました。

同社のHPにあった、<生産性向上の方策>を以下に紹介しました

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[生産性向上の方策]

1)優良材作業道
今後の林業経営の発展は林道作業道網の整備にあることは明らかです。
そのため作業用自動車道の開設に努力してきました。現在は45,000mを開設して
います
50ha以上の団地の作業用自動車道密度は50m/haを確保。
現時点で必要な密度は確保出来ていますが、今後搬出作業との関係で適宜必要な
作業道等を開設していく予定です。
これらの林内道の開設は自然環境の保全に留意しつつ実行し、既存の道の管理も
適宜実行します。

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2)優良材生産
現在の施業においては、優良材生産を目標に集約育林作業を実行していますが、
今後も輸入材と競合する一般材に比べ、高品質材の価格的優位性は存在すると思わ
れます。
しかし現在の木材需要は化粧的な価格の優位性は小さくなってきています。
そこで従来の作業を盲信的に実行するのではなく、習慣的に行われてきた施業を
常に作業の目的に照らし合わせ、必要性や能率を考慮しつつ改良していく計画です。

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3)長伐期
森林施業計画は比較的長伐期を目指しています。
伐期については、経済的な見地から見て多くの説がありますが、労働貨金の上昇
が続き、再造林費が多額になると、速水林業の樹齢構成、蓄積からみて長伐期は生
産性の向上に大きく貢献するものと考えられます。

更に自然環境保全、緑の造成等の社会要請に答えるため、間伐、択伐等の施業を
漸次取り入れていくものとしますが、経営上必要な皆伐も実行していきます。
この場合は資源的持続性を考えた成長量とのバランスを充分に考慮します。

(参考)
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4)育種
主力樹種であるヒノキは現在まで優良造林品種の選抜が比較的遅れています。
そこで通直性、完満度、捻じれ、枝張、樹高成長、肥大成長、材質等の観点から
優良造林品種を選抜し、接ぎ木、挿し木等により採穂、採種園を造成する計画です。

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5)機械化
林業における機械化は現場が急傾斜地であるがゆえに非常に困難です。
従って当地における機械化は、林道の開設と並行的に実行することで可能になり
ます。
現在は主に搬出の機械化に取り組んでおり、モビールクレーン×3、タワーヤー
ダー×2、スキディングローダー×4を購入し、ハーベスターをリースで導入して
成果を上げています。

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6)流通販売
当社が素材市場に於いての丸太販売を主力とすることは、しばらく変化しないと
思われますが、今後、地域の製材工場や森林組合との連携を強め、きめの細かい製
品での販売体制や、インターネットを利用した高品質材のPR等を計画・実行してい
きます。

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7)環境配慮
以前から「美しい山造り」を大事に森林管理を行っています。
平成12年2月に国際的な森林の民間認証である森林管理協議会(FSC)の認証審査
を日本で最初に受けました。

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林業とその経営を学ぶ格好のテキストという感じがします。
 「生産性向上の努力を惜しまず超長期の思考も忘れない」
日経にしては、珍しい金言です。
 

木漏れ日。
好きです。

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※画像はすべて、同社HPから引用転載しました。

 

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