%e8%ad%b0%e4%bc%9a

地方・観光

地方創生・観光立国・農政新時代の成果はいつ実現するか?:安倍首相所信表明演説から

2016/9/27 付日経記事
「長期政権へ「未来」力説 首相所信表明
2020年見据える 任期延長や解散カギ」
で、以下のように報じました。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
9月26日に召集された臨時国会で、安倍首相は所信表明演説を行い、長期政権
への意欲をにじませた。
キーワードは「2020年」と「未来」。
経済政策では働き方改革や農業改革など新たな成長をめざす構造改革を強調。
外交では北方領土交渉に強い意欲を示した。具体化には自民党総裁任期の延長
や衆院解散戦略が鍵を握る。
デフレ脱却や天皇陛下の「生前退位」問題など足元の難題への取り組み方も
影響する。

衆院本会議で所信表明演説をする安倍首相(26日)

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

そこで、今回は、安倍首相 所信表明演説から、当ブログのカテゴリーの一つで
ある<地方・観光・農業>に関する部分をピックアップし、以下に転載しました。

-----------------------------------

『5.地方創生』

 1人の若き農業者と、先日、山形で出会いました。
 「美しい田んぼを守っていきたい」。
 22歳の工藤ひかりさんは、農業の道を志した理由をこう語ってくれました。
 汗水流して収穫したラズベリー。
 「おいしかったよ」という声に大きなやりがいを感じているそうです。

 農家の平均年齢は今、66歳を超えています。
 他方、一見困難に思える、その世界に飛び込み、チャレンジする若者たちが
います。

 過疎化、高齢化。
 地方が直面する困難は、深刻です。
 しかし、特色ある農林水産物、豊かな自然、伝統・文化。
 それぞれの地方が持つ個性は、いまだ十分に生かされているとはいえません。
 ここに、大きなチャンスがあります。

 安倍内閣は、地方創生の未来に、大胆に投資していきます。

 財政投融資を活用し、リニア中央新幹線の全線開業を最大8年間前倒しします。
 整備新幹線の建設も加速し、東京と大阪を大きなハブとしながら、全国を一つ
の経済圏に統合する「地方創生回廊」を整えます。
 それぞれの地方が、自らのアイデアで、自らの未来を切り開く。
 自治体による地方創生への挑戦を、新しい交付金によって応援します。

「観光立国」

 宮崎の油津港では、海外からのクルーズ船が、4年前の3倍に増えました。
 英語での観光案内を地元の高校生たちが買って出るなど、地域に活気が生まれ
ています。

 旅行収支が、昨年、史上初めて1兆円の黒字となりました。
 外国人観光客は、3年間で2倍以上に増え、本年、過去最高、2千万人を大き
く上回る見込みです。

 次は、4千万人の高みを目指し、観光分野に大胆に投資します。

 岸壁の整備、客船ターミナルの建設など、クルーズ船受け入れのための港湾整
備を進めます。
 滑走路の増設など地方空港の機能を強化します。
 那覇空港や高松空港では、来月から入国審査手続きの一部を事前に行うバイオ
カートを導入し、審査待ち時間を最大3割短縮します。
 最先端技術を積極的に活用し、世界一の出入国管理体制を整えてまいります。

 2018年をめどに、三大メガバンクのATMコーナーの半分、3千台で、海外
発行のカードを使えるようにします。
 クレジットカードのIC対応を義務化し、外国人観光客の皆さんが安心して
決済できる環境を整えます。

 世界一安全な国づくりも欠かせません。
 多くの若者たちの将来を奪った軽井沢スキーバス事故の教訓を踏まえ、貸し切
りバス事業への監査機能を抜本的に強化し、許可更新制を導入します。

 ホテルなどの建設を後押しするため、本年から容積率規制を大幅に緩和しました。
 Wi―Fiの整備なども支援します。
観光インフラ整備プログラム」を年内に策定し、外国人観光客4千万人時代を
見据え、投資を加速してまいります。

「農政新時代」

 これからの成長の主役は、地方。目指すは、世界であります。

 3年連続で過去最高を更新してきた農林水産物の輸出は、本年も、昨年を上回る
ペースです。

 環太平洋経済連携協定(TPP)の早期発効を大きなチャンスとして、1兆円
目標の早期達成を目指します。
 その先には、欧州との日欧経済連携協定(EPA)の年内大筋合意を目指すな
ど、「良いものが良い」と評価される経済ルールを世界へ広げ、おいしくて、安
全な日本の農林水産物を、世界に売り込みます。
 輸出基地、輸出対応型施設を全国に整備します。
 国際的に遜色ない生産性を目指し、経営規模の拡大も支援します。

 農政新時代。
 その扉を開くのは改革です。
 農家の所得を増やすため、生産から加工・流通まであらゆる面での構造改革を
進めていきます。
 肥料や飼料を1円でも安く仕入れ、農産物を1円でも高く買ってもらう。
 そうした農家の皆さんの努力を後押しします。
 年内をめどに、改革プログラムを取りまとめます。

 夢や情熱を持って、農林水産業の「未来」に挑戦する。
 そうした皆さんを、全力で応援してまいります。

「世界一を目指す気概」

 世界シェア7割。

 欧州、アジアなど世界中で、今、カニ蒲鉾が一世を風靡しています。
 その製造装置で、世界の市場を制覇したのは、地方の中小企業です。

 百年前に誕生した一軒の蒲鉾店は、機械化の工夫を凝らした先に、ものづくり
企業へ生まれ変わりました。
 蒲鉾だけでなく、豆腐や菓子の製造装置など新製品を次々と開発。
 高い技術力を活かし、世界の食品メーカーに販路を拡大してきました。

 「限りなき挑戦で、世界のオンリーワンを目指す」。
 宇部から、世界へ、挑戦を続けています。

 ひたすらに世界一を目指す気概。
 オンリーワンで世界を席巻する匠の技。
 こういう皆さんが挑戦を続ける限り、日本はまだまだ成長できる。
 皆さん、今こそ、臆することなく、自信を持って、世界一を目指していこう
ではありませんか。

%e3%82%a4%e3%83%8e%e3%83%99%ef%bc%91
----------------------------

しょうがないと言えばしょうがないのですが、所信表明という割りには既に
報じられている内容ばかりで、新味がありません。

(観光問題・参考ブログ)
地域ブランド、人材育成、空港活用、訪日客用保険:「訪日客4000万人」観光立国への課題 (2016/8/26)
クルーズ船発着や地方空港利用で優遇:訪日客増支援策拡大 (2016/8/27)
地方創生のカギを握るインバウンド観光戦略:「宿泊旅行統計調査」から特徴を読む (2016/9/19)
訪日観光客増へ、国主導での規制緩和・インフラ整備課題:その後の質は民間責任に (2016/9/20)

ap11

(農業問題・参考ブログ)
農業法人増加で雇用22万人:低賃金・高コスト・低生産性・人手不足。まだ高い農業改革のハードル  (2016/9/28)
農水省が海外の和食料理店向け日本産食材紹介サイト:その先の展開は「和を以て尊しとなす」 (2016/9/21)
農協改革・農業改革は、日本農業法人協会の手を借りて?:農水省・自民党・JA全農の怠慢 (2016/9/10)
自治体が農産品輸出支援を強化:税収増、観光連携、事業開発、雇用増につなげる (2016/7/29)

物流1

総花的でもなく、象徴的でもなく、こじんまりした個々の実施項目を部分的
に並べた感じ、と言えましょうか。

いや、象徴的な成功事例を意図的に持ち出してはいるのですが、どうもそれ
が唐突で、これ見よがしのものに聞こえてしまう。
首相が自ら探し出したモノ、コトではなく、草稿をつくるスタッフがピック
アップしてきたものが多いようでもある・・・。

地方創生という括りで、観光と農業問題を取り上げているのですが、地方創生
・再生問題は、本来、人口減少・高齢化・少子化対策を核として、地方経済の
活性化、若い世代の移住や定住、子育て・介護等社会福祉、そしてそれらの多
様な課題にどう戦略的に取り組むか、地方財政問題を含めての地方自治改革を
国がどう支援するかが、問われるべきなのです。

しかし、まったくといっていいほど、そのような基本認識を持たないかのよう
な内容で終わっているのです。
その程度の認識なんですね。

そしてその地方自治改革は、国と地方との税収配分と社会福祉分野の財政負担
比率という、行政における最も根源的な課題の改善・改革なしには為しえませ
ん。
その原点を常に意識し、実現可能な政策を追究する必要があるのです。

同日の記事として、安倍首相の所信表明内容を、地方創生を含んで包括的に評
価した2人の専門家の以下の談話を、転載しておきました。

その評価も、インパクトが弱く、締まらない内容と感じた次第です。

果たして、今年中に明確な、だれもが認めることができる成果が生まれるか。
その総括の前に、任期延長や憲法改正問題などに政局を移行していくことなど
もってのほかのコト。
ムードだけで、時代と時間が経過していくことにならぬようにと思います。

%e6%97%a5%e6%9c%ac

----------------------------

【竹中治堅・政策研究大学院大教授】:改憲踏み込まず経済重視

 憲法改正には踏み込んでおらず、やはり経済重視だ。
 ただ政権発足時と重視する政策が変わってきた印象がある。
「未来への投資」で子育て支援などを訴えるのは大切なことだと思うが、
分配重視にも聞こえる。

 成長戦略として目立ったのは農業と観光だ。
 観光を訴えるなら民泊の規制緩和をこの国会で実現してほしい。
 働き方改革は「非正規という言葉を一掃しよう」と言うなら抜本的に
労働・雇用慣行を見直すつもりなのか、本気度が問われる。

 7月の参院選で勝利して勢いがあるのだから、岩盤規制の改革などに
頑張る姿勢を見せてほしかった。
「脱時間給」の法案はどうしようとしているのか。
 企業統治の見直しはどうなっているのか。
 民進党が対案を示せていないのも政権の危機感が強まらない一因だ。

----------------------------

【小林俊介・大和総研エコノミスト】:長期目標への手段見えず

アベノミクスの目線が、金融政策を中心とする短期決戦から中長期へ
変わったことを示す内容だ。
 制度改革を進めながら成長戦略と財政政策を本丸に据えている。
 地方創生は港湾・空港の機能強化といった具体策を盛り込み、従来
より強化していく姿勢を打ち出した。

 一億総活躍社会の実現は一発限りの施策ではなく、来年以降も取り
組めるようにすることが肝要だ。
 介護や保育の受け皿整備、長時間労働の是正など長期的な目標は
掲げたが、具体的な手段が見えてこなかった。

 例えば、社会保険の「130万円の壁」を取り払うといった短期的に
取り組める内容が入っていてもよかった。
 制度改革、成長戦略のどちらも国内外から見て着実に実行している
とみなされるよう、具体策を早急にまとめてほしい。

地方7

WordPressテーマ「Chill (tcd016)」

ピックアップ記事

  1. 自動運転実用化へ加速:日産・トヨタに次ぎホンダも。国内大手3社世界先行へ政府も支…
  2. 「滞在型観光」化支援ファンド、地方金融機関が設立へ! その向こうにある「体験型観…
  3. 資産保有高齢者と下流老人。2極化する社会のマーケティング課題:<人口病に克つ>超…
  4. 太陽光発電でゼロエネルギー住宅が主流に:ミサワホーム、 パナホームが積極展開。
  5. 農地バンク利用実績目標比2割:不耕作農地所有者、農地バンク、地方自治体、農水省の…

関連記事

  1. b1ebb128d5622dd0d798e999888a30b1_s

    エネルギー問題

    世界最大級水素工場を福島に建設:ミライの水素社会への一歩。トヨタ不参加が残念

    2016/9/29付日経に久し振りに、私が生きているうちにその具体的な…

  2. 同窓0

    地方・観光

    故郷の自治体が同窓会を補助:結婚・移住・定住目論見が、とんだ藪蛇に?

    もう9月に入るかという時期に、ちょっとタイミングがずれてますが、気…

  3. 037

    政治

    復興相更迭。「緩み」で済ませるべきでない、資質を欠く政治屋、その存在を許す政治、それを選出する国民と…

    「緩み」。いつの間にか、責任がないことの言い訳や、その責任を咎めな…

  4. Head

    地方・観光

    日本遺産(18)人吉市・錦町・あさぎり町・多良木町・湯前町・水上村・相良村・五木村・山江村・球磨村(…

    文化庁が、地域の有形、無形の文化財をストーリー化してパッケージで認定。…

  5. きゃり1
  6. 6

    地方・観光

    新世代型農業への転換期へ:『GDP4%の日本農業は自動車産業を超える』から(16)

    『GDP4%の日本農業は自動車産業を超える』(窪田新之助氏著・2015…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

worldbanner2
bitFlyer ビットコインを始めるなら安心・安全な取引所で
2018年2月
« 11月    
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728  
  1. x2

    日記・随論

    やっぱり人気ナンバー1は、アンパンマン!:乳幼児向け玩具売れ筋。クリスマスプレゼ…
  2. 岩首棚田

    地方・観光

    地域おこし協力隊や外国人移住者が主役:「よそ者」による佐渡の地域おこし事例
  3. 3

    地方・観光

    国内の地方創生未解決のまま海外展開視野は不自然:日経「産業集積による地方創生」か…
  4. w8

    エネルギー問題

    風と太陽の寓話が、原発の神話に優れ、地球と社会を温かく包んでくれる?:風力発電3…
  5. 太陽光

    四大大会

    錦織圭、2015全豪オープン2回戦結果:3-1で勝利し3回戦進出!
PAGE TOP