e799fbc1aeb9a3f223da45a2b3f2f3e6_s

政治・社会経済

いじめ行動を取らない、社会性と思いやりを持つ子どもを教え育む学校と社会を!:「いじめのない社会」実現を考える(6)

 今年の上期に、いじめ問題について考えていこうと思い
正体・実態不明の「いじめ防止対策推進法」。中日新聞「いじめ防止法施行2年半」から:「いじめのない社会」実現を考える(1) (2016/3/31)
知られていない「いじめ防止対策推進法」第一章を読む:「いじめのない社会」実現を考える(2)  (2016/4/1)
◆「いじめ防止対策推進法」第二章に見る「いじめ」への意識と本気度:「いじめのない社会」実現を考える(3) (2016/4/13)
◆ 高2いじめ自殺と予見性、神戸地裁判決を考える。新たないじめが芽生える新学期:「いじめのない社会」実現を考える(4) (2016/4/31)
と当ブログで取り上げたのですが、「いじめ防止対策推進法」ではどうにもならない
のでは、という思いで、中止していました。

先日10月下旬、昨年度の文科省による「問題行動調査」結果の発表があり、各紙で
報じられたことから、この機会に、私の考えを少し整理してみようかと・・・・。

前回は、2016/10/28付朝刊を、以下で、2紙紹介
◆「いじめ認知」とは、どの立場からの認知か?:「いじめのない社会」実現を考える(5)

今回は、同日日経夕刊の記事を、関連記事と併せて紹介します。

----------------------------
 子供の変化 見逃すな
 いじめ・不登校過去最高 小学校に専任教諭配置
----------------------------

 学校現場が子供の悩みや変化にいち早く気づくための取り組みを強めている。
 文部科学省が公表した2015年度の問題行動調査では、いじめの認知件数や不登校の
子供の割合が過去最高の水準に達し、支援の必要性が浮き彫りになった。
 一部の自治体では子供の相談に乗る専任教員の配置やきめ細かいアンケート調査な
どの対策が効果を上げ始めている

 ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

 10月中旬の午前8時半、横浜市内の小学校。「待ってたよ」。
 15分遅刻で登校してきた児童を山本晴美教諭(57歳)が笑顔で出迎えた。
 この日の1限目は体育。
1人で教室に入ることが苦手な児童に山本教諭が付き添い
別室で着替えたり、給食
の献立の話をしたりして気持ちを落ち着かせ、クラスに合流
した。

 山本教諭はクラスを持たず、いじめや不登校といった課題を抱える子供の支援に当
たる「児童支援専任教諭」。
 担任から子供の様子を聞き取り、校長や養護教諭、スクールカウンセラー、保護者
と情報を共有して対応を考えることが仕事だ。
 「担任は問題を抱え込みがち。組織的な対応で問題の早期発見、解決につなげたい」
と話す。
 横浜市は10年度に取り組みを始め、14年度から341の全公立小に1人ずつ配置
 多くの目で子供を見守る体制をつくった。
 09年度に小学生1千人当たり2.6件だったいじめの認知件数は14年度には9.7件に増
えた。

 学校側がいじめを含めて児童の状況を把握しやすくなったことで、不登校児が学校
に復帰するなど状況が改善する事例も増えたという。

 いじめによる自殺事例があった大津市や仙台市も同様の試みを始める。
 一方で財源難に悩む自治体も多く、配置は容易ではない。
 年間約5億円を充てる横浜市教育委員会は、通常の教員と同様に国の予算措置の対
象にするよう求めている。

 文科省は自治体にいじめを正確に把握し、積極的に対応するよう促す。
 だが1千人当たりのいじめの認知件数を都道府県別にみると、最多の京都(90.6件)
と最少の佐賀(3.5件)で約26倍の違いがあり、“感度”の差は明瞭だ

 3年連続で最多だった京都府。
 14年度から京都市を除く府内の全公立校で、共通の質問用紙によるアンケートを年
2回実施している。
嫌な思いをした」といった軽微な例もいじめに計上
 府教委の担当者は「わずかな兆候の把握が早期対応につながる」と強調する。

 最少の佐賀県でも今年度から、公立校で年2回行うアンケートを自宅で記入できる
よう改めた。
 これまでは教室で一斉記入していたが、周囲の目を気にして正直に答えられない子
供がいるとの指摘に応えた。

 国の協議会は24日、いじめの定義の解釈が現場によって異なっていると指摘。
 文科省に対し、本来はいじめに当たるのに計上されなかった具体例を示すことなど
を求めた。
 明治大の内藤朝雄准教授(社会学)は「自治体や学校ごとに調査方法が異なる現状
では統計としての精度に課題がある。全国統一の調査用紙を使うことも一案だ」と提
言している。

------------------------------

小学生の暴力、最多 2015年度問題行動調査 高校中退は2年連続減

 2015年度の問題行動調査で、全国の小学生が起こした暴力行為は前年度比5665件増
の1万7137件となり、過去最多を更新した
 中学校は2562件減の3万3121件、高校は386件減の6705件だった。
 高校の中退者は4万9001人で2年連続で減少した。

 加害者となった小学生は前年度比4341人増の1万5154人。
 特に小1(1098人)、小2(1804人)はいずれも前年度から7~8割増えた。
 暴力行為が大幅に増えたのは、低学年の児童間の「じゃれあい」なども暴力とみな
した結果とみられる

 小学生の暴力行為の内訳は「児童間暴力」が1万1395件で最も多く、「教師への
暴力」が2941件、「器物損壊」が2475件と続いた。

 高校中退者は前年度比4390人減の4万9001人。
 中退率は同0.12ポイント減の1.40%だった。
 中退理由は「進路変更」が1万6889人と最も多く、他は「学校生活・学業不適応」
(1万6726人)、「学業不振」(3758人)などだった。

-----------------------------------

(2016/10/28日経朝刊)
年間欠席日数 90日以上57% 小中学生の不登校

 文科省は今回初めて、小中学生の不登校の状況を欠席日数別に分類した。
 それによると、2015年度は不登校の小中学生の57.4%に当たる7万2324人が
年90日以上学校を欠席していた
 一般的な登校日全体の半数を休んだことになり、深刻な状況が浮かび上がった。

 全く登校していない場合も含め、出席日数が年10日以下という児童・生徒は
1万3264人。
文科省は「一律の対応では逆効果になる」としており、スクール
ソーシャル
ワーカーの配置を拡充するなど、きめ細かな支援態勢の整備を進める。

 2

-----------------------------------------

クラスの担当を持たずに、種々の問題への専任者を指名し、その任にあたらせる。
児童数・生徒数にもよるかもしれませんが、一定のクラス・人数が在校する学校では
必須と考えます。
近すぎて見えない部分、見落としがちなこともあります。
情報収集も、担任としては、ためらいがあったり、遠慮があったり、後の影響を考え
したりと、後手に回ることも多い・・・。
そのために第三者として行動する、活動できる教諭・スタッフが居ればよい・・・。
いじめ、不登校、暴力などへの対応は、そういう組織体制を敷くことからではないか
と思います。

以下は、前回私が書いたものです。
再掲しました。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

いじめの定義、受け止め方が人により異なる。
いじめを受けている子どもたち、それぞれの受け止め方・感じ方が違うことがまずありま
す。
そしてその感情・感覚を表現する、訴える方法・程度・レベルにも違いが生じる。
それらの中から、教員が、いじめのすべてを認知することは、無理です。
それを求めようとすること自体、土台無理です。

いじめの場・機会や、いじめを感じる、考える場・機会は学校という場・機会だけではあ
りません。
放課後の家、家の外という場と機会もいじめとつながっているのですから、教師にそこま
での関与と責任を求めるのは、ある意味筋違い・・・。
かといって、社会全体が、などとカッコをつければ、一層問題解決は遠のきます。

いじめ問題の根幹。
それは、いじめる人間自身にあるのです。
いじめをなくす、ということは、いじめ行動を起こす人間、生徒がいなくなること。
それは、大人の世界・社会で、暴力事件や恐喝、殺人事件をなくすことが困難なことと
同様です。
いや、それ以上に、いじめという概念・観念の領域と適用される行動が、あいまいで、
拡大するゆえ、なくすことは非常に難しいと考えるべきです。

学校に居場所がない・・・。
心地よさだけを学校に求めることには、違和感があります。
学校社会は、理想社会ではありません。
疑似大人社会であり、予行演習用社会でもあるのです。

ちょっと問題から外れるかもしれませんが、家が心地よい居場所の一つと言えない
子ども。
これが一番の問題と思っています。
そこでの心地よさというのは、自省、自分の人生、これからの自分を考える時間を
持つことができる基地・ベースの一つであることです。
そして、理想は、そこに必要があれば、あるいは望めば相談できる家族がいること。
時にそこは、逃げ場・逃避する場所であることも・・・。

本題に戻すと、いじめ行動をとる子ども、児童・生徒をなくすことに、より注力す
べきと考えるのです。

「現在の状況は、88.6%でいじめは解消・・・」
と中日新聞記事にありますが、私は、そんなことはありえない、と思います。

いじめ行動を取るこどもをなくす。
いじめ行動を現に取っている子どもが、その行動を取らなくなるようにする。
それも当然、問題行動調査を行い、活かすことの最大の目的です。

それに加え、いじめを悪と考え、端からその行動を取らない、取ったことがない
子どもに育成する、そういう子ども、人間に育つ、育てる・・・。
子ども、人間をそのように育成する社会。
その視点、課題に重点を置く・・・。
そのための教育の在り方を考えるべきと思うのです。

問題行動調査における、いじめ認知とは、だれの視点からの認知か。
だれがだれを認知するのか。
理屈じみているかもしれませんが、何気なく使い、表現している言葉が、いくつ
か持っているべき視点からずれてしまうことになるような気がするのです。

4

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

いじめ行動を起こす子どもにならないようにする。
人間の根源的な性格に、他を攻撃するという性向が少なからずあります。
それが、正義や倫理などに反する行為・言動に対するモノ、コトであるとき、その
批判を受ける者は、その理由が分からなければ、反対に相手を攻撃するか、根に持つ、
逆恨みするなどの反対行動に移ります。
ですから、その理由を伝え、分からせる必要があります。

そうではなく、理由もなく無意識での攻撃、あるいは利己的な理由で相手を攻撃す
る子どもならば、どのようにそれをやめさせるか?
単にそれがいけないこと、悪いことと言ったところで、聞き分けすることなどない
でしょう。
ではどうするか?
相手の気持ちを考えさせる、暴力はいけないことと言って聞かせる、相手の嫌がる
ことはしないように注意する・・・。
恐らく、どれも、望ましい行動変容につながることは期待できないでしょう。

私は、子どもであっても、そうした行動の多くは、成人の世界・社会においては犯
罪に当たる行為、罪を問われる行為であること伝え、説明すべきと考えます。
但し、未成年である時期には、成人同様に犯罪として取り扱われることはないが、
自分の親が保護者としての責任を問われたり、自身も、施設収容などにより更生する
ための期間が設定されること、そうした措置を受けることが、自分の将来にはマイナ
スになることなどを、授業を通じて教え、伝えることを必須とするのです。

社会性には、そうした刑法などを含む社会システムに基づいて、人間として求めら
れているルール・規範・法律に則った行動を取るべきことが含まれます。

そうした教育カリキュラムを整備し、必須化するべきです。
そういうカリキュラムが現状あるのかないのか知りませんが、どうなのでしょう?

ただ、そうした社会性や人に対する思いやりなどは、育った家庭環境に大きく影響
を受け、持つことが不可能であったケースが多いと指摘され、それらの子どもたちを、
被害者として見るべきと論じられることも時にあります。

そうした子どもたちにこそ、学校や地域社会が、親に代わって愛情を注ぐ仕組み、
システムを整備し、その機会を提供していくべきと考えます。
そういう可能性、あるいはリスクをもつ児童・生徒をできるだけ早く発見し、声を
掛け、社会性について語り掛け、理解できるよう活動を進める。

記事にあるような、専任教諭やスクールソーシャルワーカーの重要な役割・仕事に
なるわけです。
但し、その仕事のすべてを専任教師などに委ねるのではなく、学童保育なども含め
学校外の機関・団体・個人などが関わる必要があります。
それは、国・自治体が責任を持って取り組むべき課題です。

いじめを認知し、早期発見に努め、被害や問題の広がりを防ぐ。
それが当面の目標・目的だとしても、根本的には、いじめ行動を取る子どもになら
ないように、子どもたちを教え育むべき。
視点を、教育の在り方、基本教育のカリキュラム内容にも当てて、取り組む必要が
あるのです。

5

WordPressテーマ「Chill (tcd016)」

ピックアップ記事

  1. 中小企業庁のモデル事業。都市から地方へ経営幹部人材紹介は成功するか?
  2. 検疫・知的財産権などの非関税障壁。TPP問題と可能性:日経「食と農・平成の開国」…
  3. 山口県の新規就農支援・青年就農給付金優遇制度:人口減少自治体の移住者優遇対策事例…
  4. 大ガス・生駒市が再生エネで、地域新電力会社構想:エネルギーの地産地消が目指すもの…
  5. 日本遺産(9)宇治・城陽・八幡・京田辺・木津川市、宇治田原町(京都府):日本茶8…

関連記事

  1. 6

    政治

    課題・問題を抱える民主主義の改善を可能にする仕組み作りの責任:『シルバー・デモクラシー』から(7)

    『シルバー・デモクラシー――戦後世代の覚悟と責任』(寺島実郎氏著・20…

  2. 6

    政治

    与えられた戦後民主主義の理解とその後の懸念、そして今:『シルバー・デモクラシー』から(2)

    『シルバー・デモクラシー――戦後世代の覚悟と責任』(寺島実郎氏著・20…

  3. %e9%81%b8%ef%bc%98
  4. %ef%bc%96

    地球温暖化

    パリ協定批准読み違えの日本政府:リーダーシップを発揮すべき地球温暖化対策で恥

    ここ数回、廃炉問題を基本として、電力エネルギー行政を巡る国の失政を…

  5. エコ1
  6. K

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

worldbanner2
bitFlyer ビットコインを始めるなら安心・安全な取引所で
2018年2月
« 11月    
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728  
  1. 日本地図

    マーケティング

    「滞在型観光」化支援ファンド、地方金融機関が設立へ! その向こうにある「体験型観…
  2. ele2

    マーケティング

    電力自由化、各社新料金出揃い、評価・決定の要素・違いは?
  3. テスラ3

    政治・社会経済

    トランプ政権とは無関係の米国の良識と期待:NY州公立大学無料化、テスラ時価総額業…
  4. 5a116bad77ea680f25303e27e3445376_s

    政治・社会経済

    格差社会を考える原点は、自立心を養う小中学校教育に:公共性・個性を育む教育改革
  5. 破3

    原発問題

    検針票から考える、電力行政と原発政策のこれから:矛盾に満ちた原子力政策を考える(…
PAGE TOP