048

外国人人材

技能実習制度再構築の必要性を突き付ける、監理団体提訴問題:目的・意義は何か?

先日、外国人就労者を増やすための課題として
日本への留学生の就職者数、15年最多1.5万人は、多い少ない?:外国人就労者を着実に増やすための課題(1)
外国人技能実習生制度の信頼度向上が不可欠:外国人就労者を着実に増やすための課題(2)
と、2つの視点での対策を考えてみました。
その後、留学生をめぐる最近の記事を紹介したのが、以下。
地域振興に留学生の参画:外国人就労へ、地方大学・企業の取り組み強化を

しかし、同日2016/11/23付中日新聞では、上の2つ目のブログで問題視した、技能実習生
の不当な扱いをめぐる事件を報じていました。以下、紹介します。

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 技能実習生「軟禁された」 福井、受け入れ団体を提訴へ
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 福井市の飲食店チェーンの工場で働いていた中国人技能実習生の女性(40歳)が11月22日、
受け入れを担う同市の監理団体の研修施設に約40日間、軟禁されたことは不法行為に当たる
として、名古屋入国管理局に通報した。
 女性は弁護士らと同日、福井市内で会見し、損害賠償を求めて監理団体を提訴する考えを
明らかにした。

 女性らによると、6月3日、中国人実習生の同僚女性とけんかをしたことを理由に、石川県
小松市にある研修施設に連れて行かれ、携帯電話や健康保険証などを没収された。
 7月20日まで施設への泊まり込みを強いられ、一人での外出を許されず、退職を強要され
続けたという。

 女性は監理団体が用意した同僚への謝罪文に署名し、職場に復帰したが、現在は有給休暇
中。
在留資格が切れるため、11月26日までに帰国する予定。
 女性は「団体に理にかなった説明をしてほしい」と話した。

 一方、監理団体の代表理事は研修施設に寝泊まりさせた理由について「女性は興奮状態だ
った。同僚とのけんかの仲裁が長引いた」と説明。
 「女性は一人で自由に出歩いていた。携帯電話は昼間は預かったが、夜間は返していた」
などと、違法行為はなかったと話している。

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不当な扱いを受けた、としているのは、技能実習生の受け入れを行っている監理団体
というのが、通常、就労先での問題であるのとは異なる点です。
監理団体が市の管轄であるだけに、ややこしい・・・。

記事内容では、40日間も軟禁状態、あるいは寝泊りした状態、にあったとしているこ
とや、現在は有給休暇中、とか、技能実習を受ける基本契約内容などについてまったく
触れておらず、不自然な点がいくもあります。
浅い取材に終わり、信用できる事実関係が提示されていないのです。

技能実習生をめぐるこれまでの問題は、劣悪な労働条件・労働環境を要因とするもの
が大半でしたが、今回は、同じ実習生同士でのトラブルが元とのこと。
その後の措置・判断が、監理団体の一存で行われたのか、就労先の意向も働いたのか
も不明です。
その事自体、技能実習制度の在り方に問題があることも示しています。

それよりも、飲食店チェーンの工場で、40歳の女性を技能実習生として受け入れる。
そこで、どんなスキルを身に付けるのか・・・。
飲食店チェーンの工場とは、セントラルキッチンなのでしょうか、店舗で調理に利用
する食材のプレ処理を行うのでしょうか、そこに特殊な、専門的なスキルが必要なのか、
疑問に思います。

単に、人手不足を、外国人労働者を安い人件費で補うことだけが目的。
そう捉えられてもしょうがないのではないか・・・。
技能実習制度の本来の目的は何か・・・。
今回の技能実習は、その制度に沿った活用・運用だったのか・・・。

むしろその方に焦点を当てて、技能実習制度を見直すことに意義・意味があると考え
ます。
恐らく、そのような職種・業種、労働環境・労働条件では、実習生は、そこで身に付
けた技能・スキルで、ずっと日本で働きたいとは思わないのではないでしょうか・・・。

実習生の監理団体の意識・認識では、人手不足に対応することが第一義となり、企業
サイドのニーズに応えようとする・・。そこに問題がありそうです。
技能実習制度の在り方を、外国人技能労働者の養成・増員政策として、中長期的には、
移民や難民受け入れ問題としっかりと結びつけて再構築すべき。
企業経営者の意識変革と共に。
そう考えます。

加えて、その時、単純労働領域の外国人労働者活用については、別に法制化すべき段
階に来ているとも考えられること、添えておきたいとと思います。

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