一般的に就業規則で副業を認めない企業がほとんどでしたが、最近は、そうでもなく
なりつつあるとか。
いわゆる、多様な<働き方>の範疇に入るということか・・・。
2016/11/29付日経の、副業推進レポートを紹介します。
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副業で人材育つ 好きなことを仕事に
顧客サポート ペット用品通販
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東京都品川区の住宅地にある一軒家。
山崎俊彦さん(34歳)は仕事から帰ると、愛犬のパグを傍らに置きパソコンでメールを
確認するのが日課だ。
メールの内容は全国から届くパグ専用服の注文。
山崎さんはネット通販会社のエンファクトリーで顧客サポート業務に携わりながら、副
業でパグ用品の通販サイト「はなペチャ家」を運営している。
首が太く胴体が短いパグの体形に合う服は「一般的なペット用品店でほとんど販売されて
いない」と山崎さん。愛犬の服が見つからず困っていたが、自分で仕立てて売ろうと思い立
ち、3年前に通販サイトを開設した。
豊富な品ぞろえやきめ細かなサービスが愛犬家の心をつかみ、ニッチな市場ながら毎月の
売上高は30万円に達する。
「趣味など好きなことを仕事にできる醍醐味がある」と山崎さんは副業の魅力を語る。
平日は帰宅してから就寝までの2~3時間を副業にあてる。
本業の顧客サポートの経験を生かしながら、ホームページの使い勝手などを改良している。
それまで決済管理やマーケティングなどの仕事をしたことはなかったが、ネット通販では
ほぼすべての業務をこなさないといけない。
副業での経験を通して「本業の違う部署の苦労が分かるようになり、同僚とのコミュニケ
ーションも円滑になった」と振り返る。
本業では得られない仕事の経験を「副業で得られ、プロ意識が高まった」。
エンファクトリーの加藤健太社長は「副業は人材育成のメリットが大きい」と指摘する。
「専業禁止」をうたう同社では、社員の約4割にあたる10人が副業を持つ。
副業を通じて仕事への責任感も養われるため、同社では副業する社員のほとんどが各部署
のリーダーを務めるという。
副業を持つことで本業では出会えない業界関係者との交流も活発になる。
「幅広い業界の最新情報が入り本業との相乗効果も見込める」と加藤社長はみる。
副業を優先して退職した社員もいるが、「フェロー」として業務を委託することで関係を
保ち続けている。
これまでのキャリアで培った経験を生かして副業に取り組む人が増えている。
情報漏洩といったリスクを勘案して社員の兼業に慎重な企業もある一方で、多様な働き方
を認め、社員の能力を高めると同時に社外人脈の獲得に期待する企業も出てきた。
政府も働き方改革の一環で副業を後押ししようとするなか、副業の現場から効用を探って
みた。
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シェアビジネスコンサル 組織運営の経験生かす
貸しスペース仲介のスペースマーケットに勤める斉藤晴久さん(37歳)は、副業でコンサル
タント業も手がける。
本業では物件開拓などを担うビジネス開発部ゼネラルマネージャーだが、アマゾンジャパン
などIT(情報技術)企業に勤務した経験を生かして経営相談に応じている。
組織マネジメントの相談では、アマゾン時代に担当していた部署の陣容が5人から50人に
急拡大したことなど、身をもって経験した苦労などが役立っている。
こうしたマネジメントでの経験は「市販のビジネス書ではわからない」。
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政府後押し、追い風
総務省の就業構造基本調査によると、雇用者のうち副業を持つ人の割合は3.4%にとどまる。
日本総合研究所アナリストの小島明子氏は「副業を持つ人の約7割は本業収入が300万円未
満。生活費補填が目的のケースが多い」と分析する。
「本業に注力してもらうため副業は奨励しない」(大手食品会社)とする企業が多いことも
副業が広がらない一因だ。
一方で10月の働き方改革実現会議で安倍晋三首相は「副業・兼業はオープンイノベーション
や起業の手段として有効」と強調した。
政府は企業の副業促進を後押ししようと指針を策定する方針だ。
小島氏は「企業側は副業も含めて社員が多様な働き方を選べる環境を整える必要がある」と
指摘する。
企業の副業への意識も変わろうとしている。
ロート製薬は2月に社員の副業を認める制度を導入。
社外活動で経験を積ませ、社員の自律性や能力を高める狙いで、60人以上が応募している。
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政府の<働き方改革>推進政策における副業については、働き方改革9項目の一つ
「テレワークや副業・兼業など柔軟な働き方」に該当します。
これについては、別ブログサイト<人事人材.com>の中で
◆働き方改革、9項目は、真に改革レベルの課題か?:日経記者コメントに絡む(1) (2016/10/4)
◆「働き方改革」は、国による「働かせ方改革」だ! :日経記者コメントに絡む(2) (2016/10/5)
で考え方を少し述べてきました。
ロート製薬の制度についても、同様
◆ロート製薬、副業認める「社外チャレンジワーク」の不思議。お薦めは「社内チャレンジワーク」制 (2016/8/10)
で紹介しました。
そもそも副業を禁止することなど、ある意味違法と考えています。
主業も副業も、本来、個人の生き方の中では、線引きは不要のもの。
それを、雇用者側が兼業・副業OKとして、どういう意味を持つのか・・・。
エンファクトリーの場合などは、端から、いずれ退社・退職してくれることを想定・
推奨していると言ってもよいと感じます。
企業の新陳代謝を図る経営方針であると・・・。
フェローという退職社員との契約方式がそれを示しています。
まあ、リクルートみたいな企業を目指している感があります。
どんどん副業で成功し、独立してくれれば、それが企業の特徴・方針としてPRされ、
独立心旺盛な人が応募・入社してくる・・・。
いわゆる雇用の流動化促進政策に、アベノミクス流<働き方改革>シナリオと合致す
るわけです。
いっとき企業で仕事をし、そこでの経験や人脈などを活かして、独立する。
あるいは、自分の時間を使って培ったビジネス領域で起業する。
そういう生き方、働き方を選択する人が、どんどん増えて欲しいと私は考えます。
私自身も、38歳を前にして独立し、もうすぐ経営コンサルタント業も30年になろう
としています。
事業規模は小さくとも、やりがいがある仕事を続けてこれたことを有り難く、嬉しく
思っています。
独立事業主としての生き方。
副業から、内緒に準備してきたビジネスの種をぜひ花開かせて頂きたい。
心から応援したいと思います。
お仕着せの働き方改革ではなく、自らの意志で働き方を変え、生き方を変える改革。
副業はそのための一つの方策と言えます。
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話は飛びますが(外れますが)、山崎さんのパグ・アパレルショップ。
我が家も、10年以上パグの母娘と同居していた頃があったので、懐かしく、微笑ましく
そのサイトを眺めていました。
パグは、ほんとに可愛いいです・・・。
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