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地方・観光

農業大学校は経営人材育成の専門職業大学へ。林業大学校卒業生は就職、引く手あまた

昨年の米国大統領選前後から、共和・民主両党候補者ともTPP離脱を政策としていたこともあり、農業問題に
関する話題・報道が顕著に減少していました。
本質的には、TPP如何を問わず、林業を含めた農業改革は不可欠であるわけで、実業のレベルでは、ICT化を
含めて、改善・改革は進められているはずです。
そして、その中での構造的課題は、就労者の高齢化と現場からの離脱による慢性的な就業者減少と不足。
農業法人等による事業規模の拡大が図られていますが、まだまだ、産業基盤の強化にまではほど遠い状況と
言えるでしょうか。

そうした中で、先月、人材育成と就業者の増加に直結する、農業大学校、林業大学校に関する記事を2つ
見る機会がありました。
まず、2017/1/17付日経記事を紹介します。

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 農業の経営人材育成 農水省、農業大学校で高等教育
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農林水産省は大規模農業の担い手である農業法人を経営できる人材の育成に乗り出す
 農業大学校を新しい高等教育機関に衣替えするほか、経営ノウハウを教える農業塾も開く
 農業法人は増えているが、経営感覚を持った人は少ない。
高度な人材を育てて規模拡大を後押しする。

 全国に約40ある農業大学校は高卒レベルの若者を受け入れており、主に2年制。
 農作業の習得に力点が置かれ、法的な大学ではない。

 農水省と文部科学省は農業大学校に対し、2019年度にも制度化される「専門職業大学」への衣替えを求める。
 大学の新しい類型である同大学は特定分野で高い教育水準が必要で、修了者には一般の大学と同じ資格を与える
 衣替えする大学校は実業界で経験を積んだ教員が、財務や労務管理などを教える。

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「農業高校は国際規格を」

 自民党の小泉進次郎農林部会長は1月16日、都内で記者団に、全国の農業高校に農産物の安全性に関する国際規格
グローバルGAP」の取得を後押しする意向を示した。
「将来的に日本の農業高校すべてでグローバルGAPが必須の環境をつくっていきたい」と述べた。

1

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もう一つは、2017/1/26、<時事通信>配信の、林業大学校に関する記事。
以下に紹介します。

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 即戦力養成へ林業大学校=人材不足で開設相次ぐ―就職先に橋渡し
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戦後に造成された人工林が伐採期を迎え、林業の担い手不足が深刻化している。
東京五輪・パラリンピックの施設への利用促進など、国産木材の需要増加も見込まれ、即戦力となる人材の育成は急務。
こうした中、林業大学校の開設が各地で相次いでいる。
都道府県により設置されている林業大学校は、2011年度以前は全国に6校しかなかったが、現在は14校。17年度にも
岩手、兵庫、和歌山の各県で開設の予定だ。

京都府立林業大学校(京丹波町)は、12年4月に西日本第1号として開校。
高卒者を対象とした2年制の「森林林業科」(定員20人)は、全国で初めて高性能な林業機械の操作研修を取り入れ、
資格も取得できる。
これまでに送り出した卒業生58人のうち、約9割が林業関係の職に就いた。
林野庁によると「京都の林大を卒業すると業界から引く手あまた」という。
高い就職率の背景には、2年生の9~10月に林業関係企業や森林組合などで行う実務研修がある。
学生が希望する二つの異なる研修先に行き、1カ月ずつ現場を体験。
「希望する就職先がイメージ通りか評判だけでは分からない。受け入れ先も学生を見極める機会になる」と、就職先へ
の確実な橋渡しを重視している。

高知県立林業学校(香美市)では15年4月、1年間の基礎課程が開講。
カリキュラムの7割を実習に充て、就業に必要な12の資格(修了証)を1年間で取得できる。
県森づくり推進課によると、他の林業学校では2年間のコースが一般的だが、「短期間で技術を学び早く就職したい」
という社会人経験者らのニーズに合っている。

15年度は14人の卒業生全員が県内の関係企業などに就職するという高いマッチング率となっている。
18年度からは、基礎課程よりも詳しく学びたい人を対象に、1年間の専攻課程を設け、本格的に開校。
木造建築や木材加工、急峻な斜面で木材を運ぶ「架線技術」を専門的に学べるようになる。

林野庁研究指導課の中島朝長課長補佐は「(林業分野は)経営基盤の弱い事業者も多く、人材育成が負担となる。
そのため、基本動作を身に付けた人材を雇いたい」と語り、林業大学校のニーズはますます高まると指摘。
一方で相次ぐ開校には「将来的に学生の奪い合いになることを心配している」。
中島氏は隣接する県が連携した林業大学校の設置も一つの方法だとしている。

速水3

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林野庁の発表による平成26年の林業におけるトピックスの中に、木材自給率の改善を取り上げた以下の資料がありました。

木材自給率

また、少し前ですが、平成22年には、林業就労者数の減少にはまだ歯止めはかからず、高齢者のリタイアにも原
因はありますが、若い世代の就労者構成比率が高まりつつある傾向が示されています。

林業就労者推移

こうした傾向が、記事にある林業大学校の増設と拡充、卒業生の増加と就業者・被雇用者の増加などにより、
産業構造の改善・改革につながることを期待したいですね。

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農業・林業、どちらも、国内の第一次産業分野として、自給自足、地産地消の機能を持ち、その生産物は、製造物、
建造物資材、消費財等として生活に直結する重要な産業連関マップを形成しています。
そして、それらは、地方再生・地方創生の切り札的な要素であり、加えて、その連関マップを辿っていくと、観光
資源としても位置付けられ、高い付加価値を創出する可能性をもつものでもあります。
また、木材チップの活用によるバイオマス発電が、再生可能エネルギーの拡充政策の一環として実現性を高めてい
る状況もあります。
そうした観点から、農業大学校、林業大学校とも、これまでの現場での専門技術・技能の修得はもちろんですが、
広く、経営、マーケティング、ICT、製造等の水平的・垂直的な技術とマネジメントに関する教育・学習機能を備え
た場・組織に変わっていく必要があります。

こうした取り組みによる、5年後、10年後の業界の変化を楽しみにしたいものです。

速水5

 

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