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いじめ

「いじめ防止対策推進法」に頼る大人社会の矛盾:「いじめのない社会」実現を考える(11)

震災被災で、やむなく避難・疎開した他地域の学校でいじめを受ける。
そのことで自殺にまで至ってしまうという悲しい出来事。
本来気遣ってあげるのが普通と思うのですが、なんといじめ行動に出る。
どういう精神構造をしているのか、どういう育ち方をしているのか・・・。
まったく信じられないのですが、それが、一件やそこらで極めて稀なこと、ではなく
多くの地域・学校で起きている。

日本人も実際には大したことはないんだ、と思わせられるのですが・・・。

社会的な問題と認識はされ、「いじめ防止対策推進法」も施行されていますが、相変わ
らず、悲しい事故・事件は起き続けています。
言ってはなんですが、想定されることではあります。

2017/2/8付日経に、被災児童へのいじめ問題の多発から、その法律に、「震災いじめ」
についての条項を加えるという以下の記事が掲載されました。

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 「震災いじめ」防止を明記 対策協、国の基本方針に改定案
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 国のいじめ防止対策協議会(座長・森田洋司鳴門教育大特任教授)は2月7日、国の基本
方針に
「東日本大震災で被災した児童生徒に対するいじめの未然防止・早期発見に取り組
む」などの項目
を新たに盛り込んだ改定案を大筋で了承した。
 いじめ防止対策推進法は、基本方針の策定を国と学校に求めており、国の見直しは初めて。

 改定案は、心身への被害の大きい「重大事態」への対応を示した指針案とともにパブリッ
クコメント
(意見公募)を実施した上で、3月中に決定する。
 震災いじめの項目は、基本方針のうち特に学校での対策をまとめた別添資料に加えた。
 被災した児童生徒が受けた心身への影響や、慣れない環境への不安感を教職員が十分に理
解し、
心のケアを適切に行うとした。

 別添資料ではほかに、性的少数者(LGBT)へのいじめ防止のため、教職員の理解を促
進するよう
明記。
 障害のある子供が被害者、加害者となる場合は、個人の特性を踏まえた適切な指導も必要
だとした。

 改定案ではいじめが「解消された」と判断できる要件として、加害行為が相当の期間なく
なった上で、
被害者本人が心身の苦痛を感じていないと認められる場合と提示。
 相当期間は3カ月を目安とし、この間にも注視を続けることが不可欠だとした。

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「「いじめのない社会」実現を考える」と題して、いじめ問題を注視してきています。

いじめ防止対策推進法」。
これだけでいじめが防止されるなら、もともといじめ自体そう起きない社会になっている
でしょう。
 人間の精神構造上、人を責める、威嚇するという行動を起こし、その心情を持つ可能性は
だれにでもあり得る。しかし、実際にその行動をとる人は少ない。
 性格的に、理性的に・・・。
 しかし、その判断ができず、その是非や、反対の立場の人を思う精神構造も持たない人間
が必ずといってよく存在する。
 その性向、可能性、リスクを持つ人間の行動を抑止させ、望ましい判断、望ましい社会的
思考・行動様式を身に付けさせる。
その手法・手段として、<いじめ防止対策推進法>は用いられているのか。
そのために用いるような方法・仕組みを提供・提示しているのか・・・。

 なんとも裏付け・信頼度が薄い法律に留まっているのでは、と思っています。

先月は、以下を投稿。
自治体が弁護士を講師に「いじめは犯罪」授業。必修化で加害者化の抑止へ:「いじめのない社会」実現を考える(10) (
そこで申し上げたかったのは、いじめは刑法に規定された犯罪行為に充たるものというこ
とを学童のうちから知ること。
自らのその行為で被害者を発生させた時は、加害者として刑事責任を負い、社会的な責め
を負い、その償いをする必要があることを教えるべき、というものです。
ところが、こうした法律があり、当然認識もしているはずなのに、まったくそういう常識
さえ持っていない、自覚していないのが教育現場であり、そのマネジメントを行うべき行政
であることが、2017/2/14付日経の以下の記事で、証明されました。

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  金銭授受 一転「いじめ」 横浜原発避難生徒 教育長が認め謝罪
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東京電力福島第1原子力発電所事故で福島県から横浜市に自主避難した中学1年の男子
生徒(13歳)のいじめ問題で、横浜市の岡田優子教育長が13日、記者会見し、これまでの
見解を一転させ、男子生徒が同級生に遊興費などとして金銭を支払ったことをいじめの一
部と認め、謝罪した。

 会見の冒頭で深々と頭を下げた岡田教育長は「男子生徒の気持ちをしっかり受け止めてい
なかった。認めるまで長くかかったことは申し訳ない」と述べた。
 その上で「いじめ防止対策推進法の趣旨に沿って、いじめの一部と認識、再発防止に取り
組む」と発言した。
 また当時の学校関係者と共に、生徒側へ謝罪することも明らかにした。

 市教育委員会の第三者委員会が昨年11月にまとめた報告書によると、男子生徒は小5のと
き、同級生から「賠償金をもらっているだろう」と言われ、ゲームセンターでの遊興費など
を負担した。生徒側によると、総額約150万円に上る。
 報告書はこうした金銭授受について、いじめから逃れるためだったと推察できるとする一
方、いじめとは認定していなかった。

記者会見で謝罪する横浜市の岡田優子教育長(右から3人目)ら(13日、横浜市役所)
※恒例になった記者会見での謝罪のシーン
記事中の画像を転載させて頂きました。

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「いじめ」と呼ぶ限りは、犯罪ではない。
遊びの延長線上、仲間外れが高じた結果、みたいな感覚で捉えられることの理不尽さ・無感覚さ
を重視すべきと考えるものです。

まあ皮肉を交えて言えば、このケース、「いじめ」と認識していなかったのは妥当と言える。
なぜなら、その行為を、いじめをはるかに通り越した、「恐喝」という立派な?「犯罪」と認識
していたならば、その方がより適切・的確だったから。

そのくらいの認識を、教育現場や教育官僚は持っていて当然。
いじめ防止対策推進法の趣旨に沿って」云々と言わなければならないこと自体、恥とすべき。
一般常識として的確に判断できる普通の見識を持ち、それに基づいて行動すればいいのです。
こういうレベルの大人に教育を受けているのですから、考えてみれば恐ろしい話、不安だらけで
す。

横浜市教育長が女性だったのに・・・。残念なことです。
本質的な優しさがあれば、当然判断は間違わなかったはず。
管理者になると基準が違ってしまうのでしょうか・・・。

が、教育現場と管理者・行政を責めていればよくなるというものでは決してないことも明らか。
まずは大人は、自分の子どもが、間違っても、いじめや、犯罪に近い「脅し」や「暴力」を、大
人しい子どもに行っていないか確かめることが必要でしょう。
加えて、その犯罪(性)で一生自分自身がハンデを負って生きていかねばならないリスクがある
ことを教え伝える。

その親としての務めは、当然「いじめ防止対策推進法」の主旨に則って行うという類のモノでは
ないことであります。

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