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地方・観光

二元代表制における地方議会と首長とのあり方は機能しているか?:『地方議員の逆襲』から(26)

地方議員の逆襲』(佐々木信夫氏著・2016/3/20刊)
を参考にしながら、地方創生と地方自治・地方行政とを関連付け、合わせて
国と地方の<政治>について考えるシリーズです。

「第2章 地方民主主義と地方議員」に入っています。
第19回:政活費が流行語大賞に選ばれなくてよかった!?地方議員、冷や汗の2016年
第20回:増える住民投票が意味する、地方議会・議員・首長・自治体不信
第21回:好都合の無所属議員。その意味・意図は?
第22回:2017年、都議会議員選で地方政治が変わるか?
第23回:地方議員も、働き方改革の中での、一つの、一時期の職業の選択肢に
第24回:「地方自治・地方行政基礎講座」で学ぶ、地方議員のあり方
第25回:2000年地方分権改革は機能しているか?

今回はその第8回、通算第26回です。
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 第2章 地方民主主義と地方議員(8)
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地方議会における与党と野党

 議員内閣制(一元代表制)を採用する国会は「国権の最高機関」とされる。
 行政を主導する内閣の代表である首相は国会が指名する。首班指名をめぐって与野党が
形成される。原則として多数派である与党は、内閣を支え内閣と一体となって自党の政策
を推進することになる。これが議院内閣制だ。
 一方、少数派の野党は政権批判と対抗政策の提示を通して政権交代をめざす。このよう
な議院内閣制は与党、野党の形成を制度の必然として求めている。

 つまり与野党の形成がなければ議院内閣制は機能しない。したがって、国会の与党に課
せられる最大の使命は首班指名、内閣の形成であり、自党の政策の遂行である。それに対
し、野党の使命はそのあり方を監視統制し、常に対案を持って政権批判を行うことだ。

 一方、首長と議員を別々に直接公選し、双方が異なった役割を持ちながら、2つの政治機
関は対等な機関として権力的に抑制均衡関係を保つのが二元代表制である。
 そこで自治体が採用している二元代表制のもとでの議会は、「議事機関」(憲法第93条)
とされる。これを文字通り解釈すれば、「議事する機関」つまり「討議する機関」という
ことになる。首長と議会の法律上の権限配分は別として、それぞれが市民の直接選挙によ
って構成された政治的に正当性を同じくする、対等な代表機関(政治機関)である。決し
て首長の下請け機関であることを求めているわけではない

 もう一つ、首長と議員の選挙は別々に行われるので、議会における与野党の形成は必然
的なものではない。あえて「与党」「野党」という表現を用いるなら、自治体では、首長
に対する支持派、不支持派という表現になろう。不支持派が多くを占める場合、首長の政
治執行が行き詰りがちになるかもしれない。しかし、だからといって首長が議会を解散す
るとか、直ちに議会はけしからんと批判するようなことにはならない。

 この政治制度を「機関対立主義」という。執行機関と議事機関は対立することがあるべ
き姿とされる。しかし、その対立は、妥協を生まない対立ではない。国会の真似をして会
派ごとに党議拘束をかけて、首長の提案に一致団結して賛成、反対を表明する。そうした
ものではない。「会派あって議会なし」の姿は正常ではない。ある意味、首長の暴走を抑
え、独裁政治に陥らないように監視し、修正を試みるところにこの制度のよさがある

 議会は地域の代表、職層の代表、女性層の代表など多様な層の代表から形成される。
 地方議会はその地域にとって「民意を鏡のように反映できる」装置のはずだ。首長のよ
うに特定の価値観を持つ個人ではなく、多様な価値観の集まりである。だから首長の提案
をもとに議会が民意を基礎に修正を重ねながら法案を練り上げていくことが大切なのであ
る。

 ところが、地方議会はよくオール与党化している、とされる。多数派が常に首長との駆
け引きの中で結論を出していくということになる。少数意見は反映されず、議論も首長と
与党会派の中だけで進みがちになる。会派という政党政治の隠れ蓑のような集団が議会を
制することは、本来の民意を鏡のように反映するという議会のよさ、強みを自ら失ってし
まうことにもつながりかねない。牽制機能を失ったオール与党といわれる体制自体、地方
政治の機能麻痺と言えるだろう。議員個々が自分の採決行動に責任を持って議会活動をす
る、それが二元代表制での議会活動の基本ではなかろうか。

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※次回、<議会は広義の野党機能>に続きます。

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 圧倒的に多い、地方議会における無所属議員。
 それが、どの程度、文中にあるような、多様な価値観を持つ個人のまりとなり、地方政治
・行政に反映されているか、は、なかなか見えにくいですね。
また、その元になる民意自体が、どの程度の多様性をもち、その多様性がオープンにされ、
決定までにどういうプロセスをたどるのかも、つかみにくい。
というか、そこまでの関心が持たれること自体、ほとんどないかもしれない。

国政とのギャップは、あまりにも大きいですね。
劇場型地方自治・地方政治が展開される東京都は、例外中の例外。
大阪府・大阪市も、大阪都構想を問うた維新の会の活動では注目を集めましたが、負けた
住民投票後は、パワーが大きく減退しています。

全国紙での地方版、地方紙、CATVでの地方専門チャネル。
そして、市政だよりな自治体発行の広報誌。
それらから発信される地方議会・地方自治関連情報に、どれほど日常生活で関心を持ち、
民意として個人や関わっている組織の一員として、情報発信やキャッチボールを行っているか。

議員の後援会にでも入っていない限り、非現実に終わっている人がほとんどでしょうか。
恥ずかしながら、私もこれまでそうでした・・・。
今は?
党派・会派には無縁のままになるのではと思うのですが、今月からシリーズを始めた
ポピュリズムとは何か』の中で見た「一人政党」、そんな感覚での情報収集・発信活動
を意識してみる。
そんなところからの地方政治・地方行政、国政・行政への情報アプローチ・スタイル。
模索を始めているところです

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【『地方議員の逆襲』構成】
はしがき
第1章 なぜ、地方議員が問題なのか
第2章 地方民主主義と地方議員 
第3章 地方議員の待遇
第4章 地方議員と選挙
第5章 地方議会、地方議員は変われるか
第6章 地方議員の政策形成入門
第7章 「大阪都構想」と地方民主主義
終 章 地方からこの国を新しくする

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【『地方議員の逆襲』から:ブログリスト】
「はしがき」

第1回:保育・介護など身近な問題を地方自治・地方創生との関連で考えていく
第2回:存在感が薄い地方議会と地方議員の職務怠慢
第3回:全国1788自治体の地方議会議員総数3万3438名の内、女性議員1割の現実
第4回:ボーナスが出る地方議員報酬。大阪府の議員定数削減・報酬引き下げをモデルとすべき
第5回:教科書の世界に止まる民主主義、地方民主主義

第1章 なぜ、地方議員が問題なのか
第6回:地方議会・地方議員について何も知らない自分
第7回:地方分権で増す地方議会・地方議員の役割責任と現実
第8回:地方議員も人の子、というのは甘すぎますか?
第9回:地方議員の政務活動費は、使途を公開し、成果を評価されるべき
第10回:初の女性都知事誕生を、女性議員比率向上の好機に!
第11回:小池新東京都知事と都議会議員との透明性をめぐる闘いに期待!
第12回:政務活動費=政活費は、議員の生活費?
第13回:公職としての地方議員の義務・責任のあり方
第14回:生活費と政活費の区別ができない富山市議。同類は他地方議会にも
第15回:地方首長選出方式の改革による地方自治改革を考える
第16回:右肩下がりの地方選投票率。政務活動費問題が投票率アップにつながれば・・・
第17回:岡崎市議選投票結果で考える地方市議会・地方自治の今後
第18回:トランプ新大統領選出で囁かれる民主主義の危機は、地方政治では?

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【佐々木信夫氏・プロフィール】
◆中央大学教授。1948年岩手県出身。早稲田大学大学院政治学研究科修了。
 慶應義塾大学にて法学博士取得。
 東京都企画審議室などを経て、聖学院大学教授、94年から現職。
 日本自治創造学会会長。地方制度調査会委員、大阪府・市特別顧問など兼任
◆専門は行政学、地方自治論
◆著書:『人口減少時代の地方創生論』『新たな「日本のかたち」』
『東京都政』『日本行政学』『現代地方自治』『道州制』『地方議員』など多数
◆テレビ、ラジオ出演、新聞・雑誌でのコメント、各地での講演も多数

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当ブログのカテゴリーの一つが<地方>。
地方創生・地方再生問題を多面的に捉えて、その在り方を考えていくもの。
これまで『ローカル志向の時代』『地方創生の正体』『地域再生の失敗学』の3冊を参考に
『ローカル志向の時代』から『地方創生の正体』から『地域再生の失敗学』から
の3つのシリーズを投稿してきています。

その中で、地方創生・再生問題を考えるとき、必ず、国の政治と地方自治体の行政の在り方と
関連させて考えることが不可欠であることを認識。
加えて、別に運営するブログサイト<世代通信.net>介護相談.net>でテー マとしている
保育や介護問題等が、同様に、国の政治や地方自治体行政と関 係付けて考えるべきことも一
層強く認識。 それが、この「地方議員の逆襲』からシリーズを始めた要因です。

 

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