12

いじめ

いじめで最悪を想定しない、自らのいじめの自覚もない教育現場の鈍感さと怠慢:「いじめのない社会」実現を考える(12)

児童・学生によるいじめではなく、教師のいじめが原因、と大きく取り上げられている
愛知県一宮市立浅井中学校3年生の男子生徒の自殺をめぐる報道。
ここ10日間ほどの記事を、追ってみました。

まず、2017/2/12付日経です。
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 愛知の中3男子、飛び降り自殺 担任に「人生壊された」

 愛知県一宮市教育委員会は11日記者会見し、市立中学校3年生の男子生徒(14歳)が2月
6日、
大阪市内の商業施設から飛び降りて自殺したと明らかにした。
 市教委によると、生徒のゲーム機に「遺言」とする5日付の文章が保存されていた。
 担任について「私の人生全てを壊された」と記述。
 生徒が担任に不信感を抱いていると、保護者が学校へ伝えていたという。

 市教委は弁護士や心理学の専門家らでつくる委員会を設置。死亡の経緯や学校の対応を調
べる。

 中野和雄教育長は「担任と学校に対する不信感などから自ら死を選ぶまでに至ったことは、
申し
訳なく、強く責任を感じている」とコメントしている。
 市教委によると、生徒は6日午後11時35分ごろ、大阪市北区のJR大阪駅周辺の商業施設
「グランフロント大阪」の7階から飛び降りた。

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次は、2017/2/13付中日新聞夕刊から
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「担任の指導 不適切」 一宮・中3自殺で校長謝罪

 愛知県一宮市立浅井中学校3年生の男子生徒が6日夜に大阪市内の商業施設のビルから
飛び降りて自殺した問題で、上田隆司校長が13日、市役所で会見し、「担任の生徒への
指導が不適切だった」と謝罪した。
 前夜に同校であった臨時のPTA総会で「担任のいじめがあった」と発言したが「遺族
の気持ちをくみ取り、いじめという言葉を使った。いじめの有無は不明で、第三者委員会
で検証していく」と修正した。

 PTA総会は12日午後7時すぎから体育館であり、1~3年生の保護者460人が参加。
 担任の男性教諭は出席しなかった。

 出席者らによると、上田校長は冒頭「かけがえのない生徒の命を守れなかった」と謝罪。
「教員によるいじめという認識に立ち、改善に取り組みたい」と言及。
 担任に対し「厳しい処分を考えている」と話した。

 上田校長の説明によると、男子生徒は、普段から担任の男性教諭に不信感を持っていたと
いう。
 原因として、プリント類の配布を男子生徒ともう一人の生徒ばかりに命令していたことや、
昨年の体育祭の組み体操で両手の親指を骨折したのに十分な対応をされなかったことなどを
挙げた。

 その上で「学校の対応は生徒にとって十分でなく、思い悩んで今回のような取り返しのつ
かない結果となった」と話した。

 この会見で上田校長は、男性教諭は、男子生徒の保護者が手のけがについて電話で問い合
わせた際に、同僚との飲み会を優先して対応しなかったことや、昨年度のクラスの級長を決
める選挙で、自らの都合の良いように結果を改ざんしていたことなど問題があったことを明
かした。

 男性教諭は男子生徒への対応について「プリントの配布を頼んだことはあったが、いつも
ではない」などと一部を否定しているという。

 13日朝には学校が全校集会を開き、全校生徒に謝罪した。

 男子生徒の父親は本紙の取材に「立場を利用して嫌がらせをしたということで、いじめと言
われれば、そう思う。ただ、学校は担任だけの責任にしようとしているようにも感じる。
相談していたのに対応しなかった学校の責任の方が大きいと思っている」と話した。

記者会見し、謝罪する愛知県一宮市立浅井中学校の校長(右)(13日午前、一宮市役所)
※記者会見で
記事中の画像を転載させて頂きました。

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以下は、PTA総会開催後の父兄への聴き取りからの、同日同紙の記事です。
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保護者「組織の責任は」 一宮・中3自殺

 PTA総会に参加した保護者は、総会や総会後の取材で学校の対応に対する不信感をあらわ
にした。

 保護者らによると、総会では「問題があったのに、なぜ担任を代えなかったのか」「校長と
して
担任にどのように指導していたのか」など学校への批判が相次いだという。

 ある母親は総会後、取材に「担任個人のせいにし、組織の責任からは逃げようとしているよ
うに感
じた」と話した。別の母親は「一人の命がなくなる前に、ちゃんと対応できなかったの
か」と憤った。

 3年生の父親は、自殺した生徒の親が何度も学校に相談していたことを挙げ、「親が学校に
相談する
のは相当なこと。自分の子どもだったらと思うと許せない」と話した。

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2017/2/14付日経では、市長の記者会見について掲載
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 愛知の中3自殺「不適切な指導」 一宮市長が説明

(この問題で)中野正康一宮市長は13日、記者会見を開き「担任の不適切な指導が原因に
ある。
しっかりと事実関係を調査する」などと説明した。
 市教育委員会などは、問題点として、生徒がけがをした昨秋の体育祭当日、担任教諭が対
応しな
かったことなどを挙げた。
 市教委などによると、男子生徒は昨年9月、体育祭で親指を骨折。担任はその日に保護者
から問
い合わせを受けたが、「用事がある」などと言って対応しなかったという。
 同僚らとの打ち上げに参加していたとされる。

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そして、今回の最後は、その続報の、2017/2/18付中日新聞記事です。

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ネットに学校の不満 一宮・自殺中3、市教委が第三者委

 (この)問題で、男子生徒がインターネット上で会話するチャット型交流サイトで、受験
の悩
みや学校への不満を漏らしていたとみられることが、分かった。

 男子生徒によるとみられる書き込みは「56」というハンドルネームで、亡くなる数日前
まで
続いていた。

 昨年9月に両手の親指を骨折したと診断された日の書き込みには、「受験生として史上最強
困難なことになっている」「ペンを使うなど日常的なことがほぼ不可能になった」などとつ
づら
れていた。

 以降、自殺をほのめかす言葉が出始め、自殺する一週間前には「次は最後の挨拶で終わるかな」
と書き込まれていた。学校や、担任の男性教諭を名指しで批判する書き込みもあった。

 両親によると、男子生徒は昨年9月24日の体育祭で両手の親指を骨折。
 以降、ペンを十分に持つことができずに学習が進まず、成績が落ち、悩んでいた。

 男子生徒は携帯ゲーム機に残した「遺言」というメモの中でも、同じハンドルネームを使用。
 書き込みを見た父親(50歳)は、「内容的にも(男子生徒に)間違いないと思う」と話した。

 市教委は17日、男子生徒の自殺を受け、原因を調べるため、弁護士や保護者代表など6人で構
成する第三者委員会を設置。来週中の初会合時に委嘱し、名前や肩書を公表する。

 


※自殺した男子生徒のものとみられるインターネット上の書き込み
記事中の画像を転載させて頂きました。

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何と言えばいいんでしょうか。
今回は、教師のいじめ、というより、陰湿な嫌がらせ、精神的な暴力という感じです。
そして、事もあろうに、その保護者が学校に相談をしたにもかかわらず、具体的な対応を見せ
ることなく、自殺にまで至らしめてしまった。

いじめ問題がこれだけ大きくなり、しかも途切れることがない事実を、教育現場と教育所管組
織はどれだけ真剣に考えているのか・・・。
いじめの行きつくところは、「死」。
もうこれは、常に想定すべき最悪の事態。
そういう認識を教師、校長、教育委は持っているべきなのですが・・・。

人生をどう考えるか、のように哲学的な悩みではなく、人間関係におけるいじめや疎外などを
要因とする児童・学生の自殺。
社会人としての自立を為す前に、死を選んでしまう。
何とも残念で、切なく悲しいことです・・・。

自ら考える「死」。
その「死」を選択させる要因・原因が自分にある。
あるいは、その「死」を選ばざるを得なくする要因・原因をもたらす「人」が、児童・学生や
周囲や教師に居る。
教育現場が、常にそのことを考え、対策を講じるために、神経を研ぎ澄まさなければならない、
そのため、教員や学校が常にピリピリしているというのも、ある意味異常です。
しかし、そのリスク、可能性を感じた時には、常に最悪の事態を想定し、早期に行動を起こし、
具体的な対応を、見えるように、分かるように打って欲しい。

後手に回らぬよう、手遅れにならぬよう、悔いを残さぬよう・・・。

自殺する人、自殺を考える人には、「命」の価値を量ることができなくなっている。
「死」が現実になったとき、「命」の価値を訴えても、その価値を自覚すべき、知って欲しい
「当人」は、もういない・・・。

「死」の意味、「命」の意味と価値を教え伝えるのが、教育現場の役割・責任の絶対的課題の
ひとつ。

人としてのデリカシーだけは、しっかり持っている教師、教育現場であって欲しい。
そう願います。

もちろん、親も子に伝えるべきことでもあります。

これらの報道から不思議に思うこともあります。
例えば、SNSで自殺をほのめかした記述があり、それを見た人がいたであろうに、事前に学校や
他の誰かに、誰かが伝えはしなかったのか・・・。

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