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政治

70年安保・全共闘世代、団塊の世代の責任とは?:『シルバー・デモクラシー』から(3)

シルバー・デモクラシー――戦後世代の覚悟と責任』(寺島実郎氏著・2017/1/20刊)。
早稲田大学が、革マル総本山のひとつの象徴でもあった時代に、その場所で、
「右翼秩序派」 と他から称されて、異なる活動をしたという1947年生まれ、
団塊の世代に属する寺島氏。
早くからマスコミ・論壇に登場し、氏のその存在感をTV視聴者として感じていた私。
読み始めて、納得と異議が、交互に打ち寄せるこの書を紹介しながら、もうしばらくは、
望ましい指針を見失っているこの社会を生きてみるつもりでいる私の、思うところをメ
モして いくことにします。

「第1章 戦後民主主義の総括と新たな地平 -「与えられた民主主義」を超えて」
第1回:2017年3月11日に思う昭和、平成、そして来る次の時代
2回:与えられた戦後民主主義の理解とその後の懸念、そして今

今回は、第3回です。
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 丸山眞男の『である』ことと『する』こと -60年安保のキーワード
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戦後民主主義を考える時、忘れてはならないのが「60年安保」とそれを思想的に
支えた丸山眞男であろう。岩波新書『日本の思想』(1961年)に収録されている
「『である』ことと『する』こと」は、1958年10月の岩波文化講演会での講演に
基づく論稿だが、戦後最大の政治の季節「60年安保」の市民運動を支える基盤と
なった。
「政治を職業政治家の集団である『政界』の専有物として国会のなか封じ込める
こと」を拒否し、「民主主義とはもともと政治を特定身分の独占から広く市民にま
で解放する運動として発達した」と語り、「~である」とご託宣を論ずることより
も、「行動すること」の価値を示唆した議論は、60年安保に向き合った人々の心に
響いた。ピーク時、国会前に33万人、全国で580万人が安保改定阻止のデモに参加
した。

だが、その丸山眞男も、70年安保における全共闘運動においては、「ブルジョア
民主主義」の担い手として指弾され、研究室を追われた。60年安保における市民運
動の敗北を引きずり、若者は角材とヘルメットで武装し、「ゲバルトの論理」(永井
陽之助)に陶酔した。しかし、大学の中だけの嵐にすぎなかった運動は孤立と挫折
を迎え、70年代の後期高度成長期を背景に、ゲバ学生さえ企業戦士として産業の現
場にあえなく吸収されていった。

私自身(寺島氏)は、まさに70年安保と全共闘運動の世代であり、早稲田大学政
経学部の学生として、学部の3年から4年生にかけて、荒れるキャンパスの当事者で
あった。「左翼黄金時代」の早稲田には、あらゆる左翼運動が入り乱れていたが、
私自身は当時の価値座標軸からすれば「右翼秩序派」というレッテルを貼られなが
ら、一般学生を糾合して大学の自治の確保と大学変革運動を率いる一人として、混乱
の渦に巻き込まれていた。まだ大学への進学率が25%程度の時代であったが、「あの
時、どうしていたか」は、我々の世代に大きく投影しており、あの時、時代のテーマ
に背を向けて逃げていた人間は、その後の生き方においても、常に時代から逃げ続け
てきた、という印象が私の中にはある。熱狂と混乱の中で自分はどう生きるべきかを
誰もが考えざるをえない状況だった。

戦後生まれの日本人の先頭世代である「団塊の世代」が、自分をどう認識し、戦後
の日本にいかなる役割を果たしてきたかについては、第2、3章において、これまで
発表してきた三本の論稿を再録することで認識を踏み固めておきたい。これらの論稿
は、自分自身の世代の自画像を直視し、時代と並走しつつ「世代の責任」を確認する
作業でもあった。

1

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「あの時、どうしていたか」を問うことを強いる人間は、「その後、どうしたか」「どう
してしていたのか」を逆に問われると認識すべきです。 加えて、本来ならば、「あの時、
何が残せたのか」も問われるべきでしょう。
とりわけ、同氏のように、時代の、世代の先頭を生きてきたと自負する人においては。

しかし、そうした意気に感じてその時代を生きた人が、何かしらの責任を負う必要は、彼
らの自意識ほどにはないと考えます。
そこまで自分を買いかぶらないでほしい、と・・・。

所詮、改革を叫んでも大学内だけのこと。
文頭で引用した「60年安保」時の丸山の言を、読んだ瞬間に、彼の行動の表面性がいと
も簡単に、安っぽく感じられたのです。その本質と同様に、というか、表面的には異にし
ながらも、内実は、社会とは繋がること、連帯することができず、断絶した、ままごと遊
びにすぎない閉鎖的活動であった全共闘運動。
社会を変革する使命感をもつものならば、戦術的には、まったく異なる方法を取るべき
であったことは、小学生でも分かったこと。
いかに、異国の革命の士の言葉をもってしても、所詮異質な歴史と文化・土壌でのもの
が、この日本で水のごとく地が吸収するように馴染むはずはなかった・・・。
まして、暴力で権力とやらに対峙しようとしたこと自体、恥ずべき日本の歴史に何も学
んでいなかったことを示したのだから、その幼稚さには、あきれかえってしまいます。

当時、少し回り道をして、大阪外国語大学2部に籍を置き、昼は、大学生協の食堂で、
ノンポリとしてアルバイトを始めた春、早々のことでした。
当学もバリケードと自己批判 を強いる、自らの顔をきちんと外に示すことを忘れた
「学生」という皮をかぶった子ども たちの遊戯で、学ぶことも働くこともできなくな
った私。
やむなく
この地を去る決意をし、 再度これからの生き方を振り出しに戻すべく、以降
大学には戻らず、他学の再受験を目指すべく、受験料稼ぎのためのアルバイトを他に
求め、勉強と受験に臨みました。

ノンポリ。
寺島氏が一つのくくりとする、あの時の時代のテーマに背を向けた人間の一人であった
ことになるのかどうか・・・。
しかし、あの時の時代のテーマが、果たして、すべての学生と社会において、時代のテ
ーマと認識されていたかどうか・・・。
それは、社会との対峙の仕方と連係の在り方を見誤った、あるいは、元々その視座を持
ちえていなかった、成熟していると自己過大評価して、時代の先頭を走る申し子のごと
く思いこんだ、一握りの幼き若者たちの行動でしかなかった・・・。

マスとしての団塊の世代においては、筆者が言うように、大学進学率は25%程度。
団塊にも、多種多様な塊があり、石もあれば、粒、砂もあります。
それらが連帯して、時代・世代の責任を負うべきという認識は、恐らく期待できない。
また当然、義務・責任もない。
それは、70年安保時代を戦った自負する、全共闘世代の戦術の誤りの一端を示すモノ。
そのくらいの自己批判があるならば、まだ可愛いところがあると思ったりもします。

しかし、その団塊の世代が、団塊ジュニアをもうけ、様々な社会の様相に直接・間接の
影響を及ぼしてきたことも事実ではある・・・。
しかし、過去の責任云々よりも、ここでは、残すこれからの時代における生き方を問い、
そこでの責任を担う、負う。
そういう視点で、同時代を生きる世代と共にこれからを考えるべき責任は、生きてきた
過去の長さの分、後に続く世代よりも大きい・・・。
その自覚をもって、望ましい行動を選択していくべき。
そう思うのです。

6
※次回は、<私生活主義の台頭 -70年代以降>です
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【『シルバー・デモクラシー――戦後世代の覚悟と責任』構成】
はじめに - 戦後日本のタイムカプセルを開くような考察の試みとして
第1章 戦後民主主義の総括と新たな地平 - 「与えられた民主主義」を超えて
第2章 戦後世代としての原点回帰 - 1980年という時点での自画像
第3章 それからの団塊の世代を見つめて - 21世紀に入っての2つの論稿
第4章 2016年参議院選挙におけるシルバー・デモクラシーの現実
      - なぜ高齢者はアベノミクスを支持するのか
第5章 2016年の米国大統領選挙の深層 - 民主主義は資本主義を制御できるのか
第6章 シルバー・デモクラシーの地平 - 結論はまだ見えない、参加型高齢社会への構想力 おわりに 

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