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地方

基盤産業である農林水産業の構築が人口減少対策・地方創生の基本:日経「地方創生 地域の視点」から

 

日本経済ん新聞の<経済教室>で5月4日~6日に3回連載で
「地方創生 地域の視点」と題して3人の小論が取り上げられました。

今回その3つを順番に取り上げようと思っていたところ
今日5月6日の最終回に
これまで私が述べてきた以下のブログと重なり合う部分、
というか、十分補足してもらえるような内容がありましたので
こちらを先に紹介します。

⇒ 人口減少地方創生の基本は、土地活用政策と新・第一次産業改革
⇒ 人口減少地域の農業改革で地方再生・地方創生を

中村良平岡山大教授による
『地方創生地域の視点(下)』<『稼ぐ力』持つ産業伸ばせ>
からの引用を交え、考えてみます。

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序論として

政府は14年12月に「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」を閣議決定し、
雇用創出と人口増加の好循環による地方創生の基本方針を示した。

多くの市町村が地方人口ビジョン・地方版総合戦略プランの作成に着手。
今年度中の策定が、次年度の地方創生の交付金にも反映されるから。
しかし各市町村にとって人口を維持していく具体的なプランを示すことは容易ではない。

市町村の振興計画を顧みると、最も欠けていたのは
客観的数字に基づく評価指標とそれを読み解く知識と経験。
施策を実施した時に生まれる地域経済効果の定量的把握である。
だが、作成には時間と費用、ノウハウが必要となる。

人口を維持するには、所得をもたらす産業の形成と雇用機会の確保、
そして両者の連関構造を築くことが基本。
まちに外から所得をもたらしている産業は何かという視点と
雇用を吸収している産業は何かという視点が、地域経済をみるのに必要。
地方版総合戦略を実のあるものとするには、
わがまちの経済構造をしっかりと読み解く必要がある。

0-92

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と述べ
まちの経済構造をみる時、産業を以下の2つに分類します。

1.派生産業あるいは非基盤産業=人や企業の存在があって成り立つ産業

人や事業所がないと成立しない産業、つまり人口や企業集積の必要な産業。
◆対個人サービス業;小売店、飲食店、不動産業、病院など
◆対事業所サービス;保守点検サービス、会計事務所、広告業、情報処理サービスなど

2.基盤産業あるいは移出産業=域内市場から派生するものではない、
自然の条件(ストック)があって成り立つ産業

人口集積や企業集積とはあまり関係なく立地できる業種。
この場合の需要者の多くは地域の外にいる。
製造業における工場部門、場所を必要とする農業、林業、水産業、鉱業など。
サービス業でも、情報通信技術の発達で基盤産業化が可能になった。
ネット販売、形になるデザインやアイデア、パッケージで提供できる
サービスなどは移出産業となりうる。

これらはお金の流れでいうと、域外からお金を稼いでくる産業である。
これに対し、前者の派生産業は域内でお金を循環させる産業といえる。

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ここで取り上げている基幹産業・移出産業が農林水産業です。

工場誘致も一つの手段ですが
工場経営は永遠に続くもの、絶対的に保証されるものではない。

第一次産業こそ、土着・地域密着の産業であり
域外への販売・流通により、価値・収益を域内にもたらす可能性を
持つのです。

しかし、過去のような労働集約型産業からの脱却が必要であり
就労者の高齢化と減少をくい止め、
改善改革、システム化、法人化などに生きがいをもって取り組む
若い世代の参画が絶対条件になります。

労働生産性が高い、付加価値が高い第一次産業を再構築するのです。

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そこで中村氏は

重要なのは、域内市場産業だけでは「まちの経済」つまり
地域経済は成り立たない。
域外からお金を稼いでくる産業がないと、やがて地域は衰退。
人口が減少している多くの地域は、域外市場産業である基盤産業が
衰退していることが多い。

域外からお金を獲得せずとも資金は域内需要で循環させられるが、
それではいずれ頭打ちに。
域外市場からお金を獲得することが持続可能性維持の必要条件。

2つの産業の間には、
基盤産業の規模が非基盤産業を規定するという因果関係があることが、
理論的にも実証的にも知られている。
この割合のことを基盤・非基盤比率と呼ぶ。
この値が大きいほど基盤産業からの雇用の波及効果が大きい。
すなわち基盤産業を見極められれば、そのまちの人口規模を予測できる。

と分かりやすく述べています。

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このことから
人口減少地域は、地域内で生産・消費が完結する地域循環型経済、
地域循環型社会であってないけないことを示唆します。

いや、
それで完結すればまだ良い方で
地域内の資源、お金や人材が域外に流出する自体になる事こそ
根本的な問題と言えます。

あまり適切な例ではないですが
介護や保育といった事業は
実はその運用原資のかなりの部分は、自治体からの補助金、イコール
税金や赤字公債で充当されます。
それに従事する職員の給与もかなりは、税金で賄われている。
ですからその地域内でお金が循環している、まさに地域循環型経済のモデル
みたいなものです。

よく、子育て環境が整っている、
出産や子どもを持つ家庭に手当てや補助金や減免措置を提供することで
若い世代を自地域に流入させる政策をとる自治体があります。

しかし
それも実は、その生計の元となる仕事が
基幹産業・移出産業に携わる人々であることが順序としては先です。

派生産業・非基幹産業従事者による人口増は
基幹産業・基幹産業従事者の人口増があった上で実現する・・・。
そのために
域内在住者では不足し、域外から専門家や地域出身者のUターン、Jターン組や
その地域に関心を持った人々がが移入する。

そういう人と技術と、加えて資本の流入の好循環を創りだすことが
地方創生のシナリオと言えるかと思います。

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その後の論述で
数値を用いた例や、どういう指標・指数・係数を用いればよいか
そうした計画立案者のための提案をしていますがここでは省略します。
(実際には、その文章を読んだだけで、即、自治体スタッフがそれを
活用しての実効性がある企画を立てることができるかどうかは疑問ですが)

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しかし
国が、地方自治体に「地方人口ビジョン・地方版総合戦略プラン」の作成を
交付金支給の条件とし、かつ個別の戦略について、実施結果の根拠を数値で
示すことを要求していること。
自分たちの予算執行結果評価は棚に上げて、随分、上から目線ではないかと
思うのですが・・・。

 

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