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地方・観光

豪州方式によるコメ生産性向上と低コスト化:農業再生の具体策を考える(1)

 

第一次産業の改革で地方創生、地方の人口減少抑止を!
と、素人考えで勝手な理想論・希望論をこれまで述べてきました。

⇒ 人口減少地域の農業改革で地方再生・地方創生を
⇒ 人口減少地方創生の基本は、土地活用政策と新・第一次産業改革
⇒ 基盤産業である農林水産業の構築が人口減少対策・地方創生の基本:日経「地方創生 地域の視点」から

そろそろ
種々の記事や情報から、その裏付け的なレポートを、と考え、
整理しつつあります。

今回、その1回目として利用させて頂くのは
4月10日付の日本経済新聞<経済教室>の

「農業再生と地方経済(下) :コメ生産、低コスト化可能」
と題する
岡本雅美・元日本大学教授 石井敦・筑波大学教授 に拠る小論です。

「地方創生」と「強い農業」。
両者が互いに相乗効果をもたらすような具体的な解決策を。
というものです。

以下、かなりの部分を引用させて頂きました。
(色文字化した部分です。一部加筆・省略しています。)

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コメ生産性向上とコメ生産コスト低減可能な平地地域農地

全国の田畑の面積とその内訳は
◆田:247万ヘクタール。内、平地:150ヘクタール、中山間地:97万ヘクタール
◆畑(普通畑):116万ヘクタール

平地地域とは農林水産省の分類で、
過疎に悩む中山間地域と対置される「平地農業地域」と「都市的地域」のこと。

この<平地>が平地地域田に当たる。
こうした地域では、都市(中心市街地や近郊・混住地域)や工場の周囲に
広い水田地帯が広がっている。

コメづくりには灌漑(かんがい)が必須で、堰(せき)やポンプで河川取水する
水路ネットワークなどの水利インフラが必要で、通常その建設には多額の投資が必要。

現在の日本の生産者のコメ出荷価格は国際市場の取引価格をはるかに超えている。
それでもコメがつくられているのは、年間の総所得の大部分を
◆農業以外の他産業から得ている兼業農家や、
◆高齢の年金生活者で「飯米農家」と呼ばれる人たちが稲作を続けているから。

コメを輸出する主要な国のうち、発展途上国は国際市場価格に見合う低コストで
生産可能な低賃金だからであり、日本の比較対象にはならない。

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日本の農地は狭隘なものがほとんど、という既成概念がありますが
確かに、言われてみれば、
町の横や少し外れに、田畑があるのはよく見る風景です。

特に平地を流れる比較的大きな川の両岸には、田畑が広がっているのは
一服の風景画を見る感じもしますね。

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豪州方式の大規模コメ生産経営モデルの導入へ

日本で国際競争力をもつコメ生産を考えるには、オーストラリアが参考になる。

豪州は、コメの総生産量も輸出量も少なく、水資源にも恵まれていない。
しかし100年以上、国際市場でコメ輸出を続けてきた実績を持つ。

豪州のコメ生産構造の特徴は以下の2点に集約される。
◆大規模経営:1人あたりの経営規模=経営体の農作業や事務を担当する職員の
1人あたりの農地面積、が大きい。
そのため大型トラクターや大型コンバインで作業することが不可欠。
水田区画がある程度以上の大きさでなくては、大型機械が効率よく使えない。
◆水田に直に種籾(たねもみ)をまく「直播(じかまき)」方式:
大面積をこなすには、苗を移植する「田植え」方式ではだめ。

実際の現地調査によって
(1) 経営体構成員1人あたりの耕作規模(80~90ヘクタール)
(2) 大型機械(250馬力のトラクターなど)
(3) 大規模水田区画(5ヘクタール以上)
(4) 直播方式
という経営システムが、低コスト稲作を実現していることが分かった。

問題は、気象や品種などの条件が違う日本で、豪州方式の経営ができるかだが
日本国内ですでに豪州方式の栽培に成功している経営体がある。

福井市郊外の農事組合法人「ハーネス河合」。
経営規模が不足しており、真の低コスト稲作を実現する条件をまだ備えてはいないが、
15年以上、連続した5ヘクタール規模の水田などで直播方式の栽培を続けている。
当初は職員3人(耕作担当2人、事務1人)で、
5ヘクタール規模に整備した水田を含む総計150ヘクタールの水田を耕作してきた。

ハーネス河合

他にも、少数だが全国各地で、5~7ヘクタール区画水田での耕作や直播栽培に
成功している経営体がある。

しかし、平地地域であっても、地域ごとに5ヘクタール区画にはできない水田が残る。
多くで兼業農家や飯米農家が耕作している現実があるが、
大規模経営体が一部の農作業を請け負ったりしてコメ生産を持続することは可能だ。

5ヘクタール区画水田を造成する区域内に、兼業農家や飯米農家の耕作水田があり、
彼らが耕作継続を希望する場合は、「耕作地調整」により耕作地を移してもらい、
コメづくりを続けてもらう・・・。

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こういう具体論をもっと農業業界?に広める努力も必要かと・・・。
今まで農協は、こうした課題にどう取り組んできたのでしょうか?
特に海外の農業事情についての研究を農協はどの程度やってきたのか、
気になるところです。

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高付加価値農業との棲み分けとグランドデザインの必要性

一方、水田以外の在来の畑の農業(野菜や花など)は高い付加価値をもたらすものに
改善すべきで、ICT(情報通信技術)技術を利用し、より付加価値の高い土地集約的な
施設農業(ハウス・温室・植物工場)が展開されている。

平地地域の農地は都市近郊であるから、輸送距離が短く、
消費者の需要に対応した高品種少量生産の畑作が可能という利点もある。
これらの畑農業や施設農業の経営体は、必要な農地面積が水田農業よりも狭いから、
両者の農地利用はすみ分けが容易である。

この各種の農業が併存する状況をつくり出すには、旧市町村の枠を超えた、
地域全体の農業と農地のグランドデザインが不可欠である。

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コメをつくる水田を時代遅れの土地利用型農業として放棄し、
高付加価値農業の推進・振興のみに偏向することは、
水田や水利インフラという遺産を放棄することになるだけでなく、
耕作放棄されて荒れ放題の土地を大量に生み出す。
従い、水田耕作を続行することは、都市の周辺環境の保全に不可欠である。

水田の耕作を放棄すると、数年を経ずに地域環境が激しく劣化する。
戒めるべきである。

一方懸念すべきは
大規模経営体のような「担い手」に水田を集めて
大規模・大区画のコメづくりを手掛ける方式だけでは、担い手はごく少数で済むから、
「農業栄えて農村滅ぶ」という事態になりかねない。

平地農村の再生には、地域の人口を維持、あるいは増加させることが不可欠で、
少子化時代に入った現在では、農業専業者や兼業農家の家族だけでは、
地域社会(集落)は存続できない。

幸い、平地農村の各地では、農家の子弟が家業の農業を継がずに
都市や工場の他産業に就職しても、自宅から在村通勤するケースがある。
結婚・出産となれば、集落の人口増加につながる。
さらに、都市の官公庁・オフィス街・商業地区への道路やバスなど公共交通手段も
整備され、しかも住環境としては都心より優れているから、
都心の劣悪な住環境から周辺集落に住居を移すことも促進できる。

農村集落を維持・発展させるための人口維持は、都市からの在村通勤圏であれば可能で、。
住環境の劣悪な都心からの移住希望者を平地農村へと誘導する政策が求められる。

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別のブログでも書きましたが
人口減は、一人当たりの農地面積が広くなることを意味します。
従い、IT化や製造業の品質管理・改善技術などと融合することで
付加価値や生産量を上げることができ
収入・収益の向上、生活の質の向上を実現する基盤ができてきます。

そうした魅力が
若い世代の人材の意欲を高め、そして流入を促します。
そこでのプロダクトの主なマーケットは、域外であり
そのことで
ヒト、モノ、カネが循環し、流れ、かつその循環の輪が広がり
流れの速度も増し、一層生産性が高まります。

TPP問題も
こうした農業再生と地方創生との統合した取り組みの中に
組み入れる覚悟と創造力を求め、発揮するチャンスと捉えたいと
思うのです。

真の、第一次産業の改革のフェーズに入るべき時代が来ています。

土地は、未来永劫、引き継いでいく貴重な資産・資源。
これを大事に、より付加価値が得られる形で活用していきたいものです。
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